第22回問16~問20の解き方
第22回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問16.企業におけるキャリア形成支援の知識
職能資格制度(職務等級制度との比較)の問題は頻出です。内容をしっかりと理解しておく必要があります。なお、本問は第16回問15と全く同じ問題でした。
正答:2
1.×:職能資格制度は人に力点を置き、職務等級制度は職務(仕事)に力点を置く人事制度である。
2.○:職能資格制度は資格(等級)により賃金を決定するため、人事異動や職務変更に向いている。
3.×:職能資格制度における能力には、潜在能力も含まれる。例えば、熟練工の「長年の経験と勘」が重要視される製造業にも適しているとされている。
4.×:職能資格制度は、必ずしも職位と資格が連動しないため、資格等級と職務内容にずれが生じやすい。昇格しても(資格が上がっても)、昇進しない(役職が上がらない)こともある。
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識

セルフ・キャリアドックに関する出題は最近の試験では、毎回出題されると言ってよいでしょう。頻出の「セルフ・キャリアドック導入の方針と展開」が資料としては役立ちます。
今回は資料からそのままの出題内容ではなかったものの、同じような内容のページを紹介します。
正答:2(CとD)
A.×:キャリアコンサルティングの機会を確保し、労働者の職業生活設計のための援助を行うことは事業主の講ずる措置として職業能力開発促進法にも明記されており、企業の責任が限定的ということはなく、それを強く発信するのは不適切である。【P4】
B.×:例えば、全体報告書には、個別の従業員が特定されないよう配慮した上で、面談対象者全体のキャリア意識の傾向や組織的な課題、及びその課題に対する解決策(提案)を盛り込む。【P14】
C.○:面談の日程についての決まりは特に無いが、面談対象者や所属する組織の負担が少ない日程を関係部門の部門長や教育担当者等と相談して調整を行うのがよいだろう。
D.○:セルフ・キャリアドックの実施形態の例として、一定の段階ごとに定期的に実施する方法や、特定の条件にある従業員を対象に実施することがあげられている。【P10】
問18.労働市場の知識
頻出の労働経済の分析。令和4年版の出題も予想をしていましたが、令和4年版ではなく、前回(第21回問1)に続き令和3年版「新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響」から出題されました。
難しい内容で、正答率は低かったと思われますが、前回出題内容とあわせて、確認しておきましょう。
正答:1
1.○:経済活動の停滞に伴う就業者数や雇用者数の減少が、リーマンショック期には完全失業者の増加として現れていたところ、感染拡大期には休業者数や非労働力人口の増加としてまずは現れ、完全失業者数の伸びが抑制されていたことがうかがえる。【P105】
リーマンショック期には休業者数に大きな動きが無い。
令和3年版労働経済の分析P106(第1-(5)-19図)より一部転載
2.×:前回も同じ趣旨の選択肢が出題されているが、正規雇用労働者はコロナ禍においても増加傾向が続いている。
リーマンショック期の2009年には正規雇用労働者、非正規雇用労働者ともに前年同期比で減少していたのに対し、感染拡大期の2020年には、正規雇用労働者は年間を通じて増加を続けていた一方、非正規雇用労働者が大きく減少していた。【P110】
3.×:感染拡大期における労働投入量の最大減少幅はリーマンショック期より大きい一方で、総雇用者所得はリーマンショック期よりも小幅な減少にとどまっている。
これは、企業が雇用や賃金の維持に積極的に取り組んだことや、それを下支えする雇用調整助成金等の政策が効果を発揮したことがあるものと考えられる。【P111】
4.×:雇用調整を実施した事業所の割合の推移では、感染拡大期の2020年第Ⅱ四半期(4-6月期)にはリーマンショック期と同程度まで上昇している(49%)。
ただし、「人員・賃金削減」による雇用調整を行った事業所の割合は、リーマンショック期ほど高くなく、残業規制、配置転換、一時休業等、人員・賃金削減以外による雇用調整等を行った事業所が増加している。【P114】
問19.労働市場の知識
国が行う調査の種類については、第22回試験前に楽習ノートプラスにてまとめをお届けしていました。それを見た方はスムーズに回答できたのではないかと思います。お役に立てました。
国が行う調査の種類と特徴(楽習ノートプラス】
正答:2
1.×:就労条件総合調査は、主要産業における企業の労働時間制度、定年制度、賃金制度等について総合的に調査し、我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として、毎年、厚生労働省が実施している。【厚生労働省】
2.○:賃金構造基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等に明らかにするものである。調査は年に1回、厚生労働省が行っている。【厚生労働省】
3.×:毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間について、全国調査にあってはその全国的変動を毎月明らかにすることを、地方調査にあってはその都道府県別の変動を毎月明らかにすることを目的に、毎月、厚生労働省が行っている。【厚生労働省】
4.×:賃金事情等総合調査は、中央労働委員会が取扱う労働争議の調整の参考資料とするため、賃金(春闘の賃金妥結状況等)、退職金や定年制、労働時間などの情報収集することを目的として、毎年、厚生労働省が行っている。【厚生労働省】
問20.労働市場の知識
コロナ禍以前の雇用状況の変動について問われるとは思っていなかったので驚きました。データ対策の難しい点です。2009年というと、2008年後半に起きたリーマンショックの影響により、雇用状況が急激に悪化しましたが、それ以降、2019年までは、就業率、完全失業率、女性や高齢者の就業率等の雇用指標は軒並み、改善、好転を続けていました。
2020年コロナ禍によってブレーキがかかることになりました。
労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約
正答:2
1.○:15~64歳の完全失業率は、2010年の5.3%から、毎年低下し、2019年には2.5%まで低下している。【労働力調査(基本集計)2019年平均結果の概要 P14】
2.×:65歳以上の就業者数は、2010年の570万人から、毎年増加し2019年には892万人となった。【P5】
3.○:15~64歳の女性の就業率は、2010年の60.1%から、毎年上昇し、2019年には70.9%となった。【P7】
4.○:非正規雇用労働者数は、2009年の1,727万人から、毎年増加し、2019年には2,165万人となった。上記資料には、2014年からのデータが記載のため、2009年からの動きがわかる図表を掲載している参考サイトを紹介する。【生命保険文化センター(非正規雇用者数の推移)】
なお、本問とは関係は無いが、2020年、2021年はコロナ禍の影響等により2年連続の減少となり、2022年は再び増加に転じた。
参考文献・資料
令和3年版労働経済の分析(PDF)
厚生労働省