第22回問21〜問25の解き方

第22回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問21.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 労働基準法から賃金に関する出題です。賃金に関してはこれまでも出題されており、対策はし易い内容です。知らなかったことはインプットしておきましょう。

正答:3

1.×:賃金の直接払いの原則である。未成年であってもその原則は変わらない。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。【労働基準法第二十四条

未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代って受け取ってはならない。【労働基準法第五十九条

2.×:通貨払いの原則とその例外である。

賃金は通貨で、直接労働者にその全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合には通貨以外のもので支払うことができる。【労働基準法第二十四条

3.○:一定期日払いの原則である。賃金は臨時のものを除き、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。

4.×:全額払いの原則。賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。【労働基準法第二十四条

例外としては、所得税や社会保険料の法定控除や、例えば社宅費用の自己負担分などの労使協定(協定控除)がある場合の控除は認められているが、分割払いは認められない。

問22.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 労働組合法、労働関係調整法は、これまでの出題も少なく、また一般的とは言えない内容であり、今回の最難問であったと感じています。初見では解けなくてもやむを得ないでしょう。

正答:1

1.×:労働関係調整法第7条では、「この法律において争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう。」とある。

同盟罷業はストライキ(労働者が労働力を提供しない)、怠業はサボタージュ(仕事の能率を下げること)、作業書閉鎖はロックアウトといい、使用者が作業所を閉鎖することであり、これは使用者の争議行為に該当する。

2.○:団体交渉の申し入れは労働組合側から行うのが一般的だが、利害関係のある者が代表者となって交渉を申し入れることができる原則から、使用者側からの申し入れは可能であると解することができる。【労働関係調整法第四条

3.○:労働組合は発起人を含めて複数人(2名以上)の労働者が集えば自由に組織することができる。【厚生労働省

4.○:「覚書」であっても、書面を作成し、労使の双方が署名、または記名押印することによって労働協約の効力は発生する。【参考サイト:労働組合対策相談室

問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 雇用保険法に関する基礎的な内容が多かったものの、正解選択肢(3)は、知らないと答えられない内容で、消去法で解いた方も多いのではないでしょうか。雇用保険の不正受給は、3倍返しだ!と覚えておきましょう。

正答:3

1.×:待機期間が存在する。離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を待機期間といい、その期間が満了するまでは雇用保険の基本手当は支給されない。【ハローワークインターネットサービス

2.×:雇用保険法における失業の状態とは、次の条件を全て満たす場合のことをいう。

①積極的に就職しようとする意思があること。
②いつでも就職できる能力(健康状態・環境など)があること。
③積極的に仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていないこと。

3.○:不正行為が行われた場合、その不正行為があった日以降の日について、基本手当等が一切支給されず、不正に受給した基本手当等の相当額の返還が命ぜられる。

さらに、返還が命ぜられた不正受給金額とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付(いわゆる「3倍返し」)が命ぜられることになる。

4.×:雇用保険の適用範囲は、31日以上の雇用見込みがあることと、1週間当たりの所定労働時間が20時間以上であることであり、「週所定労働時間数に関わらず」は不適切である。【厚生労働省

問24.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 職場における「人格的利益の保護」という切り口での出題はこれまでにもなく、驚きましたが、基本的人権を尊重する視点から正誤判断をしていきましょう。即答が難しい内容もありますが、選択肢3の選択は比較的し易いのではないでしょうか。

正答:3

1.○:髪型や服装等は本人が自由に決定すべきものであり、企業が一方的に禁止をすることはできないが、企業の円滑な運営や企業秩序の維持のため、就業規則に服務規律を設けることはできる。

ただし、その場合においても、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な限度にとどまるよう配慮する。

2.○:性的風評を流布する言動は、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任として、加害者は被害者が被った損害を賠償する必要がある。

3.×:秘匿しておきたい健康情報であり、社会的偏見・誤解を招きやすい情報であるHIV・肝炎感染等の検査を業務上の必要性あるいは本人の同意なく行うことは、プライバシーの侵害に該当する。【労働政策研究・研修機構

4.○:パワハラにより自殺した従業員について会社の損害賠償責任が認められた判例が実際に存在する。【参考サイト:弁護士法人アステル法律事務所

問25.学校教育制度及びキャリア教育の知識

 学習指導要領におけるキャリア教育の位置づけについて、キャリア教育が中学校から始まるものではないことを理解していれば、正答選択はそれほど難しくない問題ですし、さらに本問は第13回問26と全く同じ問題でした。

正答:1

1.×:特別活動を要としつつ、各教科等の特質に応じてキャリア教育の充実をはかることについては、中学校段階からではなく、小学校段階から明記されている。【新たな学習指導要領におけるキャリア教育P1:PDF

2.○:従来の実践的・体験的な活動の内容を吟味し、仕事の楽しさや完成の喜びを味わわせるなど、充実感や成就感を実感させるとともに、学習内容と将来の職業の選択や生き方との関わりの理解にも触れている。【中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 技術・家庭P17:PDF

3.○:ガイダンスとカウンセリングの双方の趣旨を踏まえた指導を行うことは、小中高のいずれの学習指導要領にも明記されている。【小学校学習指導要領(平成29年告示)P189:PDF】【中学校学習指導要領(平成29年告示)P166:PDF】【高等学校学習指導要領(平成30年告示)P120:PDF

4.○:キャリア教育及び職業教育が明記されており、地域や産業界等との連携を図り、就業体験活動の機会を積極的に設けるとともに、地域や産業界等の人々の協力を積極的に得るよう配慮するものとしている。【高等学校学習指導要領(平成30年告示)P99:PDF

参考文献・資料

労働基準法

労働関係調整法

厚生労働省

労働組合対策相談室

ハローワークインターネットサービス

労働政策研究・研修機構

弁護士法人アステル法律事務所

文部科学省

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