第22回問36~問40の解き方

第22回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問36.グループアプローチの技法

 ロジャーズが創始した、エンカウンター・グループにおけるファシリテーターの役割に関する問題です。

正答に意外な思いを抱いた人もいるのではないでしょうか(私もそうでした)。

初見では解けなくてもやむを得ませんが、再出題の際には正答を導けるようにしておきましょう。出典とも思われる参考文献を見つけています。数ページの文献ですので、一読しておくのも良いでしょう。

 エンカウンター・グループ(滝沢広忠)

正答:4

1.○:エンカウンター・グループは、フリートークを主体としたグループアプローチであり、来談者中心療法のロジャーズが創始した。ロジャーズは、人はそもそも実現傾向を持つという人間観に立っている。

2.○:ファシリテーターの役割について、ファシリテーターはグループを促進していく役割を担っているが、最終的にはグループ・メンバーの1人になっていくのが望ましいとしている。【P79】

3.○:ファシリテーターの役割について、個人あるいはグループに対して感じていることを表明し、対決したりフィードバックをしたりするとしている。【P78】

4.×:ファシリテーターの役割について、グループ・プロセスの注釈は極力控えるとしている。【P79】テーマのない話し合いにおいて、しばしば沈黙が起こるが、ファシリテーターはほとんど介入しないのが普通である。【P79】

問37.キャリアシートの作成指導及び活用の技能

 ジョブ・カードについては、従来のジョブ・カード制度総合サイトから、「マイジョブ・カード」へサイトリニューアルし、WEB上のジョブ・カードの作成や保存ができるようになりました。サイトの内容は移動時間などに見たり、実際に使用したりすると良いでしょう。

マイジョブ・カード

正答:4

1.○:今後のキャリアについて自由に考えてもらう機会があっても良いが、マイジョブ・カードでは作成の順序、手順が整理されており、取り組みやすい流れになっている。【おすすめの作成の流れ

2.○:キャリアコンサルタントに語り、フィードバックを得ることで自己理解が深まることが期待できる。

3.○:あらかじめジョブ・カードを記入してもらうことで、相談時間をより多く確保できる。

4.×:内省を始めた際に、ジョブ・カードと記入された内容と異なる発言があった場合には、より自己理解が深まっている可能性があり、その声に耳を傾ける必要がある。
誤りを明確に指摘し、修正してもらうのは適切ではない。

問38.相談場面の設定

 相談場面の設定やクライエントとの関係構築に関する基礎的な内容が問われています。支援の基本姿勢からアプローチしましょう。

正答:1

1.×:キャリアコンサルタントが主導して目標を設定するのは不適切である。

2.○:そのような場合に支援の方針に矛盾がないかを確認することは適切である。

3.○:ラポールづくりが面談の目的ではないため、そのような設定も適切である。

4.○:これは第13回問40の選択肢1で似たような表現がある。同盟関係や協働の精神は、クライエントと構築すべきラポールに通じる内容である。【参考サイト:Wikipedia

問39.自己理解の支援

 自己理解の支援のための観察法に関する問題です。これは、第7回問39と全く同じ問題で、いずれも出典は木村先生の著書です。
過去に出題されているとはいえ、見慣れない用語たちと思いますから、知らなかった内容はインプットしておきましょう。

正答:2

1.×:観察において注意すべきこととして、ある特徴があるのだから、この特徴もあるはずであるとする傾向に陥らないようにする(包装効果あるいは論理的誤差)。【木村先生⑤P79、⑥P136】

2.○:自然(的)観察法とは、日常の自然に起こる事象をあるがままに観察し、記録する方法である。【木村先生⑤P79、⑥P136】

3.×:用具(的)観察法とは、検査、調査等を用いて観察し、記録する方法である。【木村先生⑤P79、⑥P136】

4.×:実験的観察法とは、場面・状況を設定し、または条件を統制したり、変化させて観察し、記録する方法である。【木村先生⑤P79、⑥P136】

問40.自己理解の支援

 心理検査のためのアセスメントツールについて、それぞれのツールの基礎的な内容が横断的に問われています。知らなかった内容があれば、整理しましょう。なお、本問は第6回問39と全く同じ問題でした。

正答:1

1.○:厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)は、11の紙筆検査と4つの器具検査によって、9つの適性能を測定する。【木村先生⑤P244、⑥161】

2.×:VPI職業興味検査はホランドの理論が反映されたものであり、6種類の興味領域(RIASEC)と5種の傾向尺度の個人の特性が測定できる。傾向尺度は自己統制、男女傾向、地位志向、希有反応、黙従反応を測定する。一貫性と分化は興味領域を示す。【木村先生⑤P247、⑥P164】

3.×:職業レディネステストの解釈においては、プロフィールの高低差がある場合には職業への準備性ができているととらえる。【木村先生⑤P247、⑥P164】

4.×:心理作業検査であり、好結果のために何回も練習させることは、その目的に照らして不適切である。【内田クレペリン検査

参考文献・資料

エンカウンター・グループ(滝沢広忠)(PDF)

マイジョブ・カード

Wikipedia

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

内田クレペリン検査

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