第23回問11~問15の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】官公庁資料のうち頻出御三家の一つの「第11次職業能力開発基本計画」からの出題です。「職業能力開発において企業の果たすべき役割が小さい」ということはなく、正答の判断は積極的に可能な問題でした。

 第11次職業能力開発基本計画

正答:4

1.○:社会全体のDXが加速化しており、あらゆる産業分野におけるITの利活用ができる人材(IT利活用人材)のニーズの高まりを見据えて、全ての働く方々に必要とされるITリテラシーの付与を推進する必要がある。【11スライド目】

2.○:労働者は、日々の業務を通じて職業能力の向上を図るとともに、企業任せにするのではなく、若年期から自身の職業能力開発の必要性を継続的に意識しながら、時代のニーズに即したリスキリングやスキルアップを図っていく必要がある。【14スライド目】

3.○:技能検定等の職業能力評価制度や職業情報提供サイト(日本版O-NET)については、それぞれの職業に必要な能力の把握や能力の客観的な評価に活用できるものであり、労働者のキャリア開発の目標設定・動機付けとして機能することにより、労働者の主体的な能力の向上にも資するものである。【25スライド目】

4.×:職業能力開発の促進を図るうえで、企業の役割が小さくなっているということはない。

企業や業界が、実習をはじめとしたニーズに即した実践的な教育訓練の機会の提供を行うことや実務経験を通じて労働者の職業能力を高めることが重要であり、国及び都道府県もその取組を支援することが必要である。【14スライド目】

問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【C】今後も頻出なサイトと予想される、職業情報提供サイト。

今回の出題は後半の出題範囲である「仕事の理解の支援」からの出題ではなく、「職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識」からの出題でした。

なお、「ポータブルスキル見える化ツール」は、2級第30回問40で大問として出題されたばかりでしたので、それをやっていた人には有利でしたが、全くの初見では非常に難問でした。

 ポータブルスキル見える化ツール(キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材)

正答:2

1.×:このツールは特に、ミドルシニア層のホワイトカラー職種の人がキャリアチェンジ、キャリア形成を進める際に活用することを想定している。【P4】

2.○:ポータブルスキルの定義として適切である。

「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことである。【P4】

3.×:ポータブルスキルの要素は大きく分けると、「仕事の仕方」と「人との関わり方」がある。【P4】

4.×:このツールによる診断の留意点として、相談者の専門能力や興味・価値観などを踏まえた診断ではないため、想定していなかった職務・職位 が提示される可能性がある。【P7】

問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」は2級第29回問12の選択肢で出題されていますが、国家試験では初めての出題でした。なお、本資料については、第22回対策みん合☆総仕上げ模試問1で出題していました。

資料を事前に見ていなかったとしても、養成講座などで学んだ、キャリアコンサルタントの支援の基本姿勢に照らして判断しましょう。

 職場における学び・学び直し促進ガイドライン

正答:4

1.○:学びが継続できるような伴走支援の取組例として適切である。【P16】

2.○:学びが継続できるような伴走支援の取組例として適切である。【P16】

3.○:学びが継続できるような伴走支援の取組例として適切である。【P16】

4.×:企業に代わって昇進や配置転換、処遇への反映を行うのはキャリアコンサルタントの役割ではない。

問14.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【C】人材開発支援助成金に関する大問は第6回問22以来の出題で、内容も細かな内容が問われており、初見では正答を導くことができなくてもやむを得ないでしょう。

 人材開発支援助成金(人への投資促進コースのご案内)

人材開発支援助成金には7つのコースがあるが、「人への投資促進コース」は令和4年~8年度の期間限定助成であり、次の5つの訓練への助成をしている。

・高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練(大学や大学院での訓練も含む)
・情報技術分野認定実習併用職業訓練(IT分野未経験者の即戦力化)
・長期教育訓練休暇等制度(長期休暇や短時間勤務等制度の導入)
・自発的職業能力開発訓練(従業員の自発的な受講への事業主への助成)
・定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)

正答:4

上記の助成メニューに存在しないのは、4の外国人労働者の職場定着支援制度の導入である。

なお、外国人労働者の就労環境の整備や職場定着に取り組む事業主への助成には、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」がある。【厚生労働省

問15.企業におけるキャリア形成支援の知識

【A】CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)に関する出題は、大問では第4回問22、第10回問20以来の出題です(この2問は全く同じ内容)。

本問は別の問題でしたが、その表現方法から、正答判断は容易でした。

今後の出題に備え、定義を確認しておきましょう。

「CDP(career development program)」とは、企業が従業員を育成するプログラムの一つで、個人の適性・希望を考慮しながら、教育研修や配属先を決定し、従業員の能力を最大化するための長期的なプログラムです。【HRpro

正答:2

1.○:CDPの内容として適切である。

2.×:労働者本人の意向や希望を考慮する必要がある。

3.○:従業員の能力を最大化するために有効である。

4.○:スキルズインベントリーとは、働く人のスキルや資格などを一覧表やデータベースにより管理をすることであり、「能力の棚卸し」に該当する。このような人材の見える化は、CDPに不可欠であると言える。

参考文献・資料

第11次職業能力開発基本計画

ポータブルスキル見える化ツール(キャリアコンサルタント等支援者向け活用教材)(PDF)

職場における学び・学び直し促進ガイドライン(PDF)

人材開発支援助成金(人への投資促進コースのご案内)(PDF)

厚生労働省

HRpro

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