第23回問16~問20の解き方
第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問16.企業におけるキャリア形成支援の知識
【A】採用における留意点に関する問題です。「すべて」といったオール表現には注意しましょう。「すべて」とか「いかなるときも」といった表現があるときは、例外がなかったかどうかを確認しましょう。
正答:2
1.○:障害者の採用(雇用)にあたっては、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務がある。【厚生労働省】
2.×:「すべての」が不適切である。
例外として年齢制限が認められるのは次のような場合である。
・定年年齢を上限とする場合
・法令の規定により年齢制限が設けられている場合(例:警備業務など)
・長期勤続によるキャリア形成を図る観点からの場合
・技能継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定する場合
・芸術、芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
・60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象の場合
【ハローワークインターネットサービス】
3.○:就職差別につながるおそれがあるため、採用選考時に配慮すべき事項として、「本人に責任のない事項の把握」があり、本籍・出生地に関することや、家族に関すること、住宅状況に関することなどがある。【厚生労働省】
4.○:外国人を雇用する場合は、就労させようとする仕事の内容が在留資格の範囲内の活動か、在留期間を過ぎていないかを確認する必要があり、在留資格や在留期間は、在留カード、旅券(パスポート)面の上陸許可証印、外国人登録証明書(在留カードとみなされる期間において有効)等により確認することができる。【東京労働局】
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識
【B】頻出の官公庁資料、御三家筆頭(言い方が古い)と言っても過言ではない、能力開発基本調査からの出題です。やや細かな内容が問われていますが、調査結果のランキングの1位はよく確認しておきましょう。
正答:4
1.×:減少傾向である。
正社員に対して職業能力評価を行っている事業所 は50.2%であり、平成22年度調査から平成25年度調査までは60%台、平成26年度調査以 降は50%台で推移し、3年移動平均については、平成27年度調査以降では大きな変動はなかったが、直近では減少に転じている。【P29】
横ばいである。正社員に対して職業能力評価を行っている事業所 は54.3%であり、平成22年度調査から平成25年度調査までは60%台、平成26年度調査以 降は50%台で推移し、3年移動平均については、直近では横ばいで推移している。【令和4年度版P29】
2.×:職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は59.7%であり、利用していないとする事業所は39.8%である。【P31】
職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は60.8%であり、「職業能力評価における検定・資格を利用していない」とする事業所は39.1%であった。【令和4年度P31】
3.×:「人事考課の判断基準」が、活用方法として最も多い。次いで「人材配置の適正化」、「労働者に必要な能力開発の目標」である。【P32】
順位に変動はない。【令和4年度版P32】
4.○:職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組の問題点の内訳は、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」 (70.1%)が最も高い。【P32】
職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価に係る取組の問題点の内訳は、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」 (72.4%)が最も高い。【令和4年度P32】
問18.労働市場の知識
【C】成長率や名目賃金、実質賃金の変化、推移について、主要先進国との比較も交えて問われており、初見では回答が難しい問題でした。
正答:2
1.×:実質GDPの成長率には大きな差がある。【P101】
令和4年度年次経済財政報告(P101)
2.○:1990年から感染拡大前までの2019年までの累積で実質GDP は26%成長したが、時間当たり労働生産性の上昇と就業者数の増加が押上げに寄与する一方、一人当たり労働時間が押下げに大きく寄与し、就業者数と一人当たり労働 時間を合わせた総労働時間の寄与はマイナスとなっている。【P104】
3.×:主要先進国は名目、実質賃金ともに安定して増加しているのに対して、我が国の名目賃金、実質賃金はおおむね横ばいにとどまっている。【P106】
令和4年度年次経済財政報告(P106)
4.×:2013年以降は、時給の増加によるプラス寄与が拡大していることが確認できるが、労働時間当たり実質GDPの伸びと比較すると、時給の伸びはこれまで十分とはいえず、時間当たり労働生産性の伸びと物価上昇率の合計に見合った時給や賃金上昇の実現に向けた取組が期待される。【P107】
問19.労働市場の知識
【A】労働経済の分析からの3問目は第二部から「我が国の労働移動の動向」からの出題でした。
日本の雇用者の勤続年数が、正社員・正職員は主要先進国と比較して長期間であることを押さえておけば、正答を導くことは比較的容易でしたが、各選択肢で問われた内容を整理しておきましょう。
正答:3
1.×:逆である。
専門職・技術職や非定型のサービス職の就業者シェアは上昇する一方、「生産工程・労務作業者」のシェアは一貫して低下するとともに、1990年代以降、販売職はやや低下しており、労働市場の二極化が進んでいる。【P121】
2.×:逆である。女性の方が割合は高い。
転職入職率の推移をみると、男女別では、男性よりも女性の方が高い割合で推移している。【P139】
3.○:わが国では、勤続年数1年未満の雇用者の割合が国際的にみて低い一方で、勤続年数10年以上の雇用者の割合は、アメリカ、カナダ、イギリス、北欧諸国等と比較すると高く、イタリア、フランス等と同程度の水準となっている。【P148】
4.×:逆である。
就業形態別に転職入職率、離職率をみると、いずれも一般労働者よりもパートタイム労働者の方が高い。【P140】
問20.労働市場の知識
【A】労働力調査の用語に関する問題は、定期的に出題されていると言って良いでしょう。特に第19回問20とほぼ同じ問題でした。なお、労働力調査に関する用語の解説は、総務省統計局のサイトにあります。
下の図表を一度じっくりと確認しましょう。選択肢3の完全失業者の定義は頻出です。
正答:3
1.○:労働力人口は、15歳以上の人口のうち,「就業者」と「完全失業者」を合わせたものである。
2.○:就業者とは、従業者と休業者を合わせたものをいう。なお、家族従業者は無給であったとしても仕事をしたとする。
3.×:完全失業者は、次の3つの条件を(すべて)満たす者である。
①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)。
②仕事があればすぐ就くことができる。
③調査機関中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。
4.○: 完全失業率とは、労働力人口に占める、完全失業者の割合である。
参考文献・資料
厚生労働省
令和3年度能力開発基本調査(PDF)
令和4年度能力開発基本調査(PDF)
令和4年度年次経済財政報告(PDF)
令和4年版労働経済の分析(PDF)