第23回問21〜問25の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問21.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】労働基準法上の休暇、休業に関する横断的な問題です。生理休暇、産前休業については、最近では国家試験の第17回問22で出題されていますので、あわせて確認をしておくと安心です。

正答:4

1.×:労働者が条件を満たしている場合、企業側は休暇の付与を拒否することはできず、事業主の時季変更権も認められていない。【参考サイト:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

2.×:1日の所定労働時間が3時間未満の短時間労働者にも、年次有給休暇は条件により比例的に付与される。

週所定労働日数が4日以下、かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者への年次有給休暇の付与日数は、週所定労働日数と継続勤務期間に応じて、比例的に付与される。【厚生労働省

3.×:生理休暇は労働基準法では、以下のように定められている。

使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。【労働基準法第六十八条

有給、無給に関しては、労働基準法の規定はない。なお、2020年度の厚生労働省の調査によると、生理休暇中に賃金が発生する事業所の割合は29.0%であった。【参考サイト:日本の人事部

4.○:請求がない場合には、就業させても差し支えない。

労働基準法の母性保護規定の産前・産後休業に関しては、以下のように規定している。

第六十五条 
・使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
・使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障ないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
・使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。【労働基準法第六十五条

問22.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】年俸制に関しては、選択肢レベルでの出題はこれまでに何度かあるものの、選択肢4つ分の大問では初めての出題でした。出題内容をインプットしておきましょう。

正答:2

1.○:年俸制においても、毎月1回以上の定期払いの原則が適用される。【東京労働局

2.×:年俸制においても、管理監督者などを除いて、労働基準法で定める労働時間を超えて労働させるときは、労働基準法第三十七条に基づき、時間外労働として割増賃金を支払わなければならない。【東京労働局

3.○:通勤手当は、労働の対償として支払われるものであり、通常は賃金総額に含まれる。年俸制であっても、月給制であっても、賃金総額に通勤手当を含めることは、労働基準法上、違法ではない。【石川労働局

4.○:賃金総額に賞与相当分を含んでいても違法でもない。

例えば、年俸制導入にあたり、年俸を16で割り、そのうち16分の1を毎月の支払とし、16分の4を賞与として、年2回、16分の2ずつ支払うことは可能であり、実務的にもよく見られるケースであり、労働基準法上、違法ではない。【東京労働局

問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】労働組合法に関しては、前回第22回問22でも問われており、大問としては2回目の出題です。実務で触れている人以外にはなじみのない内容が多く難しい問題でしたが、選択肢1は比較的判断しやすい内容でした。

正答:1

1.×:労働組合法における、労働者の定義は次のとおりであり、失業者も含まれる。

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。【労働組合法第三条

現在、職に就いているかどうかは問わない。

2.○:正当な争議行為によって使用者に損害を与えても、使用者は労働組合や組合員に損害賠償請求はできないが、違法な争議行為の場合には、損害賠償を請求することができる。

3.○:〇〇労働組合や△△ユニオンといった名称が多いが、決まりはない。なお、労働組合は2人から結成することができる。

4.○:発注企業が、請負企業に対して雇用主であるような地位である場合には、発注企業は「使用者」として団体交渉に応じる義務がある。【参考サイト:弁護士法人デイライト法律事務所

問24.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】女性活躍推進法に関しては、2級では第22回問1第26回問15で出題されていますが、国家試験ではあまり出題実績がないため、そろそろ…と思い、第23回対策総仕上げ模試の問33にて予想をしていました。お役に立てました。

正答:2

1.×:全ての企業ではなく、常時雇用する労働者が「101人以上」の企業において義務化された。【厚生労働省:PDF

なお、令和4年4月1日以前は「301人以上」の企業が対象だったため、対象範囲が「101人以上」へと拡大された。

2.○:一般事業主行動計画とは、女性活躍推進法に基づき、企業は自社の女性活躍に関する状況把握、課題分析を行い、その結果を踏まえた行動計画の策定、都道府県労働局への届出、外部への公表が義務付けられている。【厚生労働省

3.×:社内周知と公表を行い、労働基準監督署ではなく、都道府県労働局へ届け出を行う。

4.×:プラチナえるぼし認定企業は、一般事業主行動計画の策定・届出が免除される。【厚生労働省:PDF

問25.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【A】初めて出題されたキャリア教育に関する資料であり、作成された時期はかなり古い(平成16年!)資料です。「キャリア・カウンセリング」と「教科指導」を切り離して捉えることに違和感を覚えたかどうかがポイントです。

 キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書

正答:1

1.×:キャリア教育は学校のすべての教育活動を通して行わなければならない。

教科とりわけ普通教科・科目の学習においても、キャリア発達を支援する視点に立った指導の充実を図ることが求められる。【P24】

2.○:基本的なキャリア・カウンセリングについては、すべての教員が行うことができるようになることが望まれる。【P28】

3.○:教員養成段階においても、キャリア教育及びキャリア・カウンセリングにかかる基礎的・基本的な知識や理解が得られるようにしていくことが必要である。【P28】

4.○:学校におけるキャリア・カウンセリングは、自己の可能性や適性についての自覚を深めさせたり、適切な情報を提供したりしながら、子どもたちが自らの意志と責任で進路を選択できるようにするための、個別またはグループ別に行う指導援助である。【P29】

参考文献・資料

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

厚生労働省

労働基準法

日本の人事部

東京労働局/石川労働局

労働組合法

弁護士法人デイライト法律事務所

キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書(PDF)

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