第23回問26~問30の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【A】職場体験に関する大問は、2級第26回問21で出題された以外は、選択肢レベルの出題がある程度なので、出題に驚きましたが、各選択肢の選択は比較的容易でした。選択肢の「表現方法」に注意の問題です。

正答:2

1.×:事前学習等は必要である。「一切せずに」といった表現には注意。

事前学習と事前準備の活動が機能し、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間と効果的に関連しつつ展開していくことにより、職場体験自体の活動の質が高まり、そのねらいの達成に向けて、効果をより発揮することができる。【中学校職場体験ガイド

2.○:職場体験においては、生徒、受入先が安心、安全に活動ができるよう、感染症への対策が必要である。

3.×:キャリア教育は特別活動に限定して行うものではない。「限定して行う」には注意する。

特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図る。【新たな学習指導要領におけるキャリア教育P1:PDF

4.×:キャリア教育は職業教育ではない。また、特定の職業を学習の教材として用いる必要はない。「必ず」には注意する。

キャリア教育と職業教育の違い

キャリア教育:一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度であり、普通教育、専門教育を問わず様々な教育活動の中で実施される。
職業教育:一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度であり、具体的な職業に関する教育を通して行われる。 

問27.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【A】基礎的・汎用的能力の内容は、これまでにも何度も問われていますが、第12回問26以来、しばらく出題がありませんでした。

基礎的・汎用的能力の4つの能力は、しっかりとおさえておきましょう。なお、今回の出題形式は、第5回問36にとてもよく似ていました。

ちなみに、問25から「学校教育制度及びキャリア教育の知識」の問題が3問続いたのは両試験を通じて初めてでした。

 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)

正答:3

1.○:「人間関係形成・社会形成能力」【P16】

2.○:「キャリアプランニング能力」【P16】

3.×:他者理解能力ではなく、自己管理能力(「自己理解、自己管理能力」)である。【P16】

4.○:「課題対応能力」【P16】

問28.メンタルヘルスの知識

【A】うつ病に関する出題。内容的には精神疾患の特徴や治療に関するものではなく、治療や職場復帰支援に関する問題で、支援の基本姿勢からアプローチできる問題でした。

正答:2

1.○:うつ病は、本人が感じる気分の変化だけでなく、周囲からみてわかる変化もあり、早期発見のために大切なことである。

2.×:うつ状態では、物事の捉え方が否定的になるため、症状が悪化したときに、重要な決断を行うことは不適切である。

3.○:職場復帰支援の姿勢として適切である。

4.○:うつ病が疑われる場合の支援の姿勢、方法として適切である。

問29.メンタルヘルスの知識

【C】自殺対策白書からの出題は第20回問27以来の2回目。細かな内容が問われており、特に正答選択肢2の判断は資料を参照してもなかなか難しく、初見では答えられなくてもやむを得ない問題でした。

 令和4年版自殺対策白書(第1章)

正答:2

1.×:男性は平成22 年以降12年連続で減少しているが、女性は令和2年に続き令和3年も増加しているため、減少傾向とはいえない。【P2】

2.○:平成10年は確かに自殺者が急増しており、内訳をみると50~59歳のみならず、60歳~の増加も目立っているが、総数でみると「50~59歳」の増加の方が大きい。【P4】

令和4年版自殺対策白書P4より(オレンジ🟠が50~59歳、ピンクが60歳~)

なお、平成10年の自殺の急増の背景として、雇用、経済環境の悪化や、金融機関による 「貸し渋り・貸し剥し」により、多くの中小零細企業の破綻の引き金になり、自営者の自殺の増加に大きく影響していると見られている。

3.×:昭和53年から「無職者」の自殺者数が最も多い。次に「被雇用者・勤め人」が続く。【P6】

4.×:自殺の原因・動機として最も大きい割合を占めるのは「健康問題」であり、次いで「経済・生活問題」である。

ただし、「健康問題」は平成10年から高い水準を続けていたが、平成22年以降は減少傾向にあり、令和3年は統計開始以来最少の9,860人となった。【P7】

問30.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

【A】スーパーの「解放段階」の課題については、ほとんど同じ内容にて、第19回問30で出題されています。解放段階は65歳前後からの段階ですので、定年や引退前の仕事のペースや役割の変化や、定年、引退後の変化を想像して検討しましょう。

正答:4

1.○:解放段階の課題として適切である。【渡辺先生P47】

2.○:解放段階の課題として適切である。【渡辺先生P47】

3.○:解放段階の課題として適切である。【渡辺先生P47】

4.×:これは45歳前後からの維持段階における課題である。【渡辺先生P47】

ほかには、「常々やりたいと思っていたことをやる」が課題としてあげられている。

参考文献・資料

中学校職場体験ガイド

新たな学習指導要領におけるキャリア教育(PDF)

文部科学省

今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)(PDF)

令和4年版自殺対策白書(PDF)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

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全50問の目次