第23回問36~問40の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問36.カウンセリングの技能

【A】問35に続いて、キャリアコンサルティングの基本的態度に関する出題です。「べからず」がわかりやすく、正答選択は易しい問題でした。

正答:1

1.○:言語で語られる内容以外の表情や声といった非言語表現にも注意する。

2.×:キャリアコンサルタントの価値観でフィードバックをするのは不適切である。

3.×:キャリアコンサルタントの興味で質問をするのは不適切である。

4.×:不確かに感じていることに触れないようにするのは不適切である。クライエントが「不確か」に感じていることを確認、質問をするのも良いだろう。

問37.グループアプローチの技法

【A】「対人関係ゲーム」は両試験を通じて初登場で驚きましたが、正答選択肢のロジャーズ:エンカウンターグループは頻出ですので、正答判断は比較的易しかったのではないでしょうか。

正答:4

1.×:行動療法に基づく「対人関係ゲーム」は、田上不二夫が提唱した。小学校などの学級においてコミュニケーション力を高める技法として実践されている。【参考サイト:ベネッセ教育総合研究所

なお、國分康孝は「構成的グループ・エンカウンター」を提唱した。

2.×:サイコドラマはモレノが提唱した。

3.×:Tグループはレヴィンが提唱した。

4.○:エンカウンターグループはロジャーズが提唱した。

問38.キャリアシートの作成指導及び活用の技能

【B】令和3年4月に厚生労働省は履歴書の様式例を作成、公開しました。これについては、両試験で初めての出題です。リーフレットを一読して、再出題に備えましょう。

 新たな履歴書の様式例の作成について

正答:3

1.○:日本規格協会が、JIS規格の解説の様式例から履歴書の様式例を削除したため、厚生労働省において公正な採用選考を確保する観点から新たな履歴書様式例の検討を行い、様式例(厚生労働省履歴書様式例)を作成した。

2.○:性別欄は(男・女)の選択ではなく任意記載欄とし、未記載にもできる。また、「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の項目は設けないことにした。

3.×:ハローワークを通した求人に応募する場合に使用が義務付けられているわけではない。また、各企業が必要に応じ、この様式例以外の履歴書やエントリーシートなどを活用することも可能である。

4.○:性別の確認が必要な場合としては、制度上特定の性別の者を就業させることができない場合、男女の応募者数を把握したり、女性が相当程度少ない会社において女性を積極的に採用したりする場合などがある。

問39.相談場面の設定

【A】問35や問36でも問われている、キャリアコンサルティングの基本的な態度や、システマティックアプローチに関する問題です。支援の基本姿勢からアプローチしましょう。

正答:3

1.○:温かい雰囲気の中で、クライエントが安心して話のできる信頼関係を樹立する。【木村先生⑤P285、⑥P378】

2.○:まずはカウンセラーとクライエントの間に良い人間関係(ラポール、リレーション)をつくることが大切である。【木村先生⑤P285、⑥P378】

3.×:安心して話のできる信頼関係を樹立してから、問題を把握し、目標を設定し、方策を実行し、結果の評価を行う。最初の関係構築の段階から問題解決を急ぐことは適切ではない。【木村先生⑤P285、⑥P378】

4.○:ラポールづくりはなるべく短時間で切り上げること。カウンセリングは静かで、友好的な雰囲気の中で、しかもビジネスとして始まるのが望ましい。【木村先生⑤P306、⑥P402】

問40.自己理解の支援

【C】心理検査に関する難しい用語の内容が問われました。すべて木村先生の著書に根拠はあるものの、初見では解けなくてもやむを得ない問題でした。なお、今回は具体的なアセスメントツールに関する出題がありませんでした。これは第1回以来の異例のことでした。

正答:2

1.×:(全く)同一のテストを2回以上(一定の期間をあけて)、同一の対象者(対象集団)に実施し、その結果の相関を求めることを、再検査法という。【木村先生⑤P83、⑥P141】

なお、平行テストは、形式、内容ともに同じと見られる(同等レベルの)テストを同一の対象者(対象集団)に実施し、2つのテストの相関係数を求める。【木村先生⑤P83、⑥P141】

再検査法は全く同じテストであるため、測定間隔が短い場合には最初の測定結果が次の結果に影響を与えることがある。

その短所を補うため、平行テストが考え出されたが、目的、内容、難易度などが同等レベルのテストを作成することが難しいという課題がある。

2.○:測定誤差の内容として適切である。【木村先生⑤P83、⑥P141】

3.×:データが正規分布している場合、集団の中での個人の位置を数値に換算でき、複数のテストを相互に比較、総合することができるのは、標準得点である。【木村先生⑤P84、⑥P142】

なお、多変量解析は、それぞれの変数の相互関係を同時に分析し、各変数と他の変数間の相互依存関係を分析することである。【木村先生⑤P85、⑥P143】

4.×:100人中テスト得点の低い方から並べたら何番目に当たるかを示す数字であり、得点の分布が正規分布とは言えない場合などに用いられるのは、パーセンタイル順位である。【木村先生⑤P84、⑥P142】

なお、順位相関係数は、2つの変数(順位)の間の関係の強さを表す指数である。相関係数については木村先生の著書に説明がある。【木村先生⑤P84、⑥P142】

参考文献・資料

ベネッセ教育総合研究所

新たな履歴書の様式例の作成について(PDF)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

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