第23回問41~問45の解き方
第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問41.仕事の理解の支援
【A】職業理解のための情報収集について、目的と手法の一致を問う問題です。一つずつ検討し、消去法で3が残りました。
正答:3
1.×:職業そのものに関する情報を得るために、わが国の労働市場や求人求職の状況を調べることは、適切とは言えない。
2.×:職業を取り巻く環境に関する情報を得るために、気になる企業の福利厚生や社会保険制度などを調べることは、適切とは言えない。
3.○:必要な職業訓練や就職活動のルールなどの入職方法を調べることは、適切である。
4.×:職場適応(定着)に関する情報を得るために、気になる企業の企業規模や事業所の形態を調べることは、適切とは言えない。
問42.自己啓発の支援
【B】インターンシップに着目すると「自己啓発の支援」からの出題の意図と思われますが、キャリア教育関連の出題として捉えると、問25、26、27の3問に加え4問目で大変多く、ややバランスを欠いている感もあります。
なお、この資料からの出題は、過去には2級第27回問21で出題がありますが、やや正答選択が難しい問題でした。
正答:1
インターンシップの高等学校段階での目的は次の4つである。
①働くこと、生きることの尊さを実感させ、勤労観、職業観を醸成する
②進路選択への積極性を醸成する
③学習意欲を向上させる
④「基礎的・汎用的能力」を育成する
問43.自己啓発の支援
【A】支援の基本姿勢に照らして判断をしましょう。また、トライアル雇用の仕組みについては厚生労働省のサイトで確認をしておきましょう。
正答:2
1.○:支援の内容として適切である。
2.×:早期の就職内定を獲得することが第一の目的ではない。自己理解、職業理解を深め、インターンシップが職業選択の材料になるように支援する。
3.○:トライアル雇用の内容として適切である。雇用のミスマッチを防ぎ、無期雇用へと移行するための仕組みである。【厚生労働省】
4.○:トライアル雇用に挑戦するには、ハローワーク等の職業紹介を受けて、「トライアル雇用求人」に応募する必要がある。【厚生労働省】
問44.意思決定の支援
【A】システマティックアプローチから、「目標の設定」に関する出題です。木村先生の出典そのままの表現ではありませんが、支援の基本姿勢からアプローチしましょう。
正答:3
1.×:目標は、明確に宣言され、かつ到達可能であるとき人を最も動機づける。【木村先生⑤P286、⑥P380】
2.×:クライエントの同意が必要である。
カウンセラーは、クライエントが自分と一緒に、日標に到達しようとしているかを確認する。【木村先生⑤P289、⑥P381】
3.○:目標設定は、カウンセリングの進展を客観的に測定、評価するのに役立つ。【木村先生⑤P288、⑥P380】
4.×:目標は固定的なものではなく、変更可能である。【木村先生⑤P288、⑥P380】
問45.方策の実行の支援
【A】すべて木村先生の著書に根拠はあるのですが、選択肢文章の表現方法に注意して検討しましょう。
正答:4
1.×:目標を立てるのはキャリアコンサルタントではない。
まず第1に重要な方策は、カウンセラーとクライエントの共同作業による「目標の設定」である。【木村先生⑤P286、⑥P380】
2.×:特定の職業能力のことではない。
学習方策における技能とは、単に特定の職業能力のことではなく、職業やキャリアを自分で探索、選択、決定、形成するのに必要な知識・技能である。例えば、人間関係、意思決定、情報探索、職業選択などの能力である。【木村先生⑤P297、⑥P391】
3.×:すでに自覚しているものではない。
行動パターン(習慣または性癖)は、クライエントが気づかない習慣的な行動パターンのことである。
例えば、責任回避、不平・不満を言う、対決回避、引き延ばしなど意思決定や学習に関連するクライエントの習慣や行動パターンである。【木村先生⑤P298、⑥P391】
4.○:意欲は、目標達成に向かおうとする意欲のすべてで、意欲のパターンやレベルはいろいろある。カウンセラーやコンサルタントは、結局はクライエントが意欲を持って行動しなければ、日標は達成できないことを知らしめる必要がある。【木村先生⑤P298、⑥P391】
参考文献・資料
高等学校キャリア教育の手引き(PDF)
厚生労働省
キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)