第23回問46~問50の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問46.相談過程の総括

【A】頻出の相談過程の総括は、木村先生の著書の内容を一度じっくりと読み込んでおきましょう。

正答:2

1.×:クライエントの進歩と成果を評価するのは、カウンセラーではなくクライエント自身である。【木村先生⑤P303、⑥P398】

2.○:目標が達成されなかった場合には次の内容を順に検討する。【木村先生⑤P303、⑥P398】

①適切な目標であったか、目標自体を検討する。
②目標達成のためのターゲット(下位の目標)が適切であったか検討する。
③ターゲットを達成するための行動計画は正しかったか、行動計画は正しく実行されたか。

3.×:逆である。評価は、クライエントの感情によるのではなく、実際に行動が変わったかという事実に焦点を置く。【木村先生⑤P303、⑥P398】

4.×:クライエントが、日標に照らしてどのレベルまで達成したか、しなかったかを、クライエントとカウンセラーが客観的に認識し、それを共有することは、これからさらに目標に向かって対処し、成果を維持するのに役立つ。【木村先生⑤P302、⑥P397】

問47.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動

【A】不適切なものを選ぶのは容易な問題でした。キャリアコンサルタントの守秘義務は法律においても明記されています。

正答:4

1.○:個人の興味・関心や価値観を企業のビジョンに融合させることで、組織と個人の相互作用が期待できる。

2.○:上司および部下の双方の成長支援が期待できる。

コーチングとは相手の話に耳を傾け、観察や質問、提案などをして相手の内面にあるものを引き出して目標達成の支援をする手法のことであり、コンサルテーションは照会のことであり、他の専門家の助言を得ることである。

3.○:人事部や職場関係者を巻き込んだ職場改善が期待できる。

4.×:キャリアコンサルタントには守秘義務がある。

「キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなった後においても、同様とする。」【職業能力開発促進法第三十条の二十七の2

問48.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識

【A】事例記録はキャリアコンサルティングの振り返りのみならず、スーパービジョンや、追加的、継続的なキャリアコンサルティングの際にも役立ちます。

正答:3

1.○:複数の専門家が役割を分担し、協力して課題解決に取り組む協業もしくは協働(コラボレーション)して支援にあたる能力が問われている。

2.○:資格取得に留まらない実践力の習得等に取り組む必要がある。 

3.×:事例記録は、選択肢4のようなスーパービジョンなどの際の事例検討に役立つだけでなく、追指導、継続的、定期的なキャリアコンサルティングに役立ち、効果が薄いということはない。

4.○:面談の記録などはスーパーバイジー(指導を受ける人)が準備をするのが通常である。

問49.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢

【A】選択肢3の積極的な正誤判断はかなり難しいものの、選択肢4を不適切とするのは易しい問題でした。

職業能力開発促進法

正答:4

1.○:キャリアコンサルタント試験に合格した者は、厚生労働省に備えるキャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、キャリアコンサルタントとなることができる。【第三十条の十九

2.○:第一項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。【第三十条の十九の3

3.○:信用失墜行為の禁止義務違反には行政処分がくだされるのに対して、守秘義務違反及び名称使用制限の違反は刑事罰がくだされる。

信用失墜行為の禁止義務の違反:厚生労働大臣は登録の取り消し、名称の使用停止のいずれかを命じることができる。 【第三十条の二十二の2
守秘義務違反:1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。【第百条
名称の使用制限の違反:30万円以下の罰金【第百二条の六

行政処分も十分に重たいが、行政処分には選択肢にある「量刑」という表現はそぐわないため、守秘義務違反が最も量刑が重いと捉えている。

4.×:キャリアコンサルタントでなくなった後にも守秘義務がある。

キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなった後においても、同様とする。【職業能力開発促進法第三十条の二十七の2

問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢

【A】職業倫理に関する出題は、大問では第14回問42級第27回問44で出題されていますが、どちらもケーススタディの形式の問題で、このような、「職業倫理」そのものの定義を問うような出題は初めてでした。

キャリアコンサルタント倫理綱領の位置づけや内容なども振り返りながら、消去法でアプローチしましょう。

正答:4

1.○:職業倫理について、Wikipediaでは次のように表現している。

職業倫理とは、プロフェッショナルとして期待される個人や組織の倫理的な行動基準をいう。

2.○:職業倫理には、コンプライアンスや社会の幸福や福祉の視点など、高次の要請も含まれる。

3.○:職業倫理は、実践のための指針でもあるべきである。

4.×:職業倫理は、社会や消費者からの信頼や期待、法令制度や文化なども反映されるものであり、その職業に就いている人の多数意見を基に定めることが最も妥当性が高いとは言えない。

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

職業能力開発促進法

Wikipedia

 

全50問の目次