第25回問11~問15の解き方

第25回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【B】企業に対しては人材開発支援助成金、個人に対しては教育訓練給付金を思い浮かべることができたかどうかがポイントでした。個人的感想ですが、問うポイントがなかな渋いです。

 第11次職業能力開発基本計画

正答:1

1.×:労働者の主体的な職業能力開発を支援するため、教育訓練給付制度において、関係省庁とも連携しつつ、IT分野についても講座の充実に努める。【12スライド目】

2.○:企業内において高度なIT人材の育成に係る訓練を実施した場合に、人材開発支援助成金において訓練経費等を助成することにより、高度なIT人材の育成を促進する。【12スライド目】

3.○:個々の企業・業界のニーズに即した人材育成のため、人材開発支援助成金により訓練経費等を助成し、企業内又は業界単位での職業訓練の実施を促進する。【15スライド目】

4.○:在職者が自発的な学び直しのための時間を確保できるよう、新たに教育訓練休暇を導入・適用する企業に対して人材開発支援助成金により経費等を助成すること等により、教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及を促進する。【19スライド目】

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第11次職業能力基本計画は本問のように、具体的施策に関する出題が多いです。

【国家】第20回問12 第21回問12 第23回問11 第24回問3

【2級】第26回問12 第27回問1 第29回問1 第29回問11 第30回問10

問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】職業能力開発促進法の用語の定義や目的等に関する似たような問題は、これまでにも何度か出題されていますが、第13回問4以来の出題でした。

正答:2

1.○:この法律において「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいう。【職業能力開発促進法第二条5

2.×:この法律において「労働者」とは、事業主に雇用される者及び求職者をいう。【職業能力開発促進法第二条5】求職者も含まれる点がポイントである。

3.○:労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上に努めるものとする。【職業能力開発促進法第三条の三

4.○:キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。キャリアコンサルタントでなくなった後においても、同様とする。【第三十条の二十七

問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】能力開発に関する用語の定義の問題です。リカレント教育やリスキリングは特に確認しておきましょう。

正答:4(CとD)

A.×:この法律において「職業能力」とは、職業に必要な労働者の能力をいう。【職業能力開発促進法第2条

なお、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」は社会人基礎力の内容である。【経済産業省

B.×:生涯学習には、レクリエーション活動やボランティア活動も含まれる。

文部科学省での「生涯学習」の定義は以下である。あらゆるシーンが該当する。

「生涯学習」とは、一般には人々が生涯に行うあらゆる学習、すなわち、学校教育,家庭教育、社会教育、文化活動、スポーツ活動、レクリエーション活動、ボランティア活動、企業内教育、趣味など様々な場や機会において行う学習の意味で用いられる。【文部科学省

C.○:リカレント教育の定義は以下である。

「リカレント(recurrent)」とは、「繰り返す」「循環する」という意味で、リカレント教育とは、学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すことである。【政府広報オンライン

D.○:リスキリングの定義は以下である。

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること。【経済産業省審議会資料P6:PDF

問14.企業におけるキャリア形成支援の知識

【C】同一労働同一賃金の内容について、選択肢2と4の読み取りと判断が大変難しい問題でした。解答速報では、2と発表しており、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。

正答:4

1.×:正社員と非正規雇用労働者との間にある不合理な待遇差が該当し、各種手当や教育訓練、福利厚生等も含まれる。【同一労働同一賃金ガイドライン:PDF

2.×:パートタイム労働法では、職務内容等を考慮した上で、不合理な待遇差を禁止している(均衡待遇規定)。労働の内容に差がある場合の待遇差自体は認めているが、不合理な待遇差は禁止される。

問題文中では、「不合理と評価されても」がポイントである。

短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で待遇差を設ける場合は、①職務内容(業務の内容+責任の程度)、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情の内容を考慮して、個々の待遇ごとに、その性質・目的に照らして不合理と認められるものであってはならない。【パートタイム労働法第八条

3.×:不合理な待遇差を解消することを目的としており、職務給制度の導入が義務付けられたものではない。

4.○:パートタイム労働法上の規制は、無期雇用労働者同士や有期雇用労働者同士には適用されないが、労働者間での格差は、民法では違法と判断されることはあり得る。

問題文中では、「民法では違法と判断される可能性」がポイントである。

労働契約締結後は、民法上、労働者には「労務提供義務」、使用者には「賃金支払義務」の債務が生じるため、民法の「債務不履行(民法415条)」、「使用者責任(民法715条)」、「不法行為(民法709条)」などで争われる可能性がある。【参考サイト:HR PRO

問15.企業におけるキャリア形成支援の知識

【A】機会費用(原価)や企業特殊能力といった難しい言葉も登場しましたが、選択肢1の判断は比較的容易でした。

正答:1

1.×:Off-JTは職場から離れセミナーや研修において、OJTは仕事を実際に進めながら職場において知識やスキルを習得することである。それぞれに長所、短所はあり、組み合わせるなどして、教育効果の最大化を図るものであり、中心がOff-JTというわけではなく、OJTがそれを補完する関係でもない。

2.○:機会費用は、他の選択肢を採用していれば、得られた利益のことである。つまり、ある選択肢の採用により、逃してしまった利益といえる。機会原価ともいう。【参考サイト:経理COMPASS

例えば、研修実施のために営業活動ができず、得られたはずの売上(ひいては利益)が得られなくなってしまうことである。

3.○:このような機会費用が発生する可能性がある。

4.○:企業特殊能力は、ある企業内でのみ活用できる知識や技能のことであり、その企業内でしか高い評価が得られない可能性がある。なお、企業特殊能力に対して、他の企業においても転用可能な語学力などは「一般的技能」と呼ばれる。

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