【技能検定】第25回問31~問35の解き方

第25回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問31.個人の多様な特性の知識

 「治療と仕事の両立ガイドライン」からの出題です。正解選択肢の判断は難しいものの、他の3つの選択肢の判断は比較的しやすかったのではないでしょうか。ガイドラインの3ページの留意事項や4ページからの環境整備については一読しておきましょう。

 治療と仕事の両立支援ガイドライン

1.×:治療と仕事の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならない。【P3】

2.×:治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となるが、申出を行いやすい環境を整備することも重要である。【P3】

3.×:症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個人ごとに取るべき対応やその時期等は異なるものであり、個別事例の特性に応じた配慮が必要である。【P3】

4.○:労働基準法に基づく年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則であるが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることが可能(上限は1年で5日分まで)である。【P5】

問32.カウンセリングの技能

 カウンセリングのプロセスに関する出題ですが、木村先生の著書に詳述されているシステマティック・アプローチに照らして判断することが出来ます。

1.×:カウンセリングの開始においては、安心して話のできる信頼関係を樹立する。【木村先生⑤P285、⑥P378】できるだけ詳しく質問をすることが望ましいとはいえない。

2.×:目標の設定や方策の実行の支援、結果の評価などに関わる。【木村先生⑤P286、⑥P379】

3.○:システマティックにカウンセリング方策(カウンセリングの目標を達成するための行動計画)を実行する。【木村先生⑤P290、⑥P383】

4.×:問30と同じく、拙速であってはならない。できるだけ早く問題解決できるようにすることは、カウンセリングプロセスの中で重要なことではない。

問33.カウンセリングの技能

 相談技法に関する出題で、一部にロジャーズが用いる用語も登場していますが、出典が不明のため、理解を助ける参考情報として、養成講座テキストなどでも紹介されている、アイビイのマイクロカウンセリング技法に即して内容を解説しています。

マイクロカウンセリング技法

学科試験対策上ではマストの書籍ではありませんが、たくさんの逐語録が収載され、DVDにはロープレが収録されており、独学で出来る実技対策としておすすめの書籍です。

1.○:閉ざされた質問は短い言葉や、はい、いいえで答えられるため、選択肢文章のような効果もある。ただし、最初から矢継ぎ早に閉ざされた質問をすると、クライエントによっては尋問されているよう感じ、口を閉ざしてしまうこともあるため、注意が必要である。【福原先生P8】

2.×:感情を先取りして、は適切ではない。相手の話をよく聴いて、相手が直前に話したことや少し前に話したことに、しっかりついていくことが大切である。【福原先生P7】

3.×:話が脱線したり拡散した時や話が続けれられずに困っているときは、むしろ要約を行うことは適切である。要約はプロセスを活性化させるのに役立つ。【福原先生P9】

4.×:感じ取った感情表現をクライエントに伝え返し(ロジャーズのいう「反射(リフレクション)」)、その感情を言語化していくことを、マイクロカウンセリングが表現するところの「感情の反映」であると管理人は捉えている。

クライエントの言語化されない感情を注意深く観察し、それを手がかりとしてフィードバックしていくことは有効である。【福原先生P9】

問34.グループアプローチ・スキル

 グループアプローチや集団に関する研究内容に関する出題で、それぞれ未出題の内容ばかりですが、正解選択肢の判断だけは比較的容易でした。Tグループはレヴィン、ベックは認知療法という知識があれば正解を導くことができる問題です。レヴィンやモレノは最近、両方の試験で急に出題が増えています。

1.○:レヴィンはリーダーシップのタイプを専制型・放任型・民主型の3つに分類した。【参考サイト:インヴィニオ リーダーシップインサイト

2.○:モレノは集団の構成員の心理的・感情的関係性に注目し、その作用による集団の構造化や関係性の維持などについて、数学的に明らかにするために、ソシオメトリーを提唱した。測定はソシオメトリック・テストにより行われる。【参考サイト:心理学用語集サイコタム

3.×:Tグループを考案したのは、レヴィンである。Tグループはトレーニンググループを表し、参加者の自由なコミュニケーションにより、人間的成長を図るグループアプローチである。【参考サイト:リクルートマネジメント・ソリューションズ】ベックは認知療法を提唱した。

4.○:レヴィンによって研究された集団力学である。人の思考や行動は集団から影響を受けるとともに、集団に対しても影響を与えるという特性がある。【参考サイト:リクルートマネジメント・ソリューションズ

問35.グループアプローチ・スキル

 國分康孝先生が創始した構成的グループ・エンカウンターにおける、リーダーの役割に関する出題です。正解選択肢の積極的な判断は難しいものの、他の選択肢の検討は比較的容易な問題でした。

1.○:木村先生の著書では同様の表現ではないものの、リーダーは自己開示やインストラクションを積極的に行いプログラムを推進し、メンバー間の私的感情交流を促進させる役割を持つ。その結果、安心してメンバーはエクササイズに取り組むことができるため、メンバーの依存・模倣の対象となる。

2.×:抵抗や心的外傷への対応を行う。【木村先生⑤P316、⑥P414】また、リーダーは必要に応じて介入を行う。【木村先生⑤P317、⑥P414】

3.×:構成的グループ・エンカウンターでは、エクササイズ1つ1つのねらいや内容、留意点などを丁寧に説明する。【木村先生⑤P316、⑥P413】

4.×:リーダーは必要に応じて介入を行うことはあるが、指導は行わない。また、予定通り進めることが最も大切であるというのも適切ではない。

参考文献・資料

治療と仕事の両立支援ガイドライン(PDF)

マイクロカウンセリング技法福原眞知子著(風間書房2015年)

インヴィニオ リーダーシップインサイト

心理学用語集サイコタム

リクルートマネジメント・ソリューションズ 

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

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