【技能検定2級】第29回問01~問05の解き方

第29回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問1.社会・経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の認識

 今回の問1時事問題は、頻出資料の第11次職業能力開発基本計画でした。やや細かな内容が問われており、判断は難しい選択肢もあり、消去法にならざる得ないでしょう。

 第11次職業能力開発基本計画

1.×:介護領域の基礎的な知識等を学習できる動画の記載はないが、次の施策がある。

労働者が自発的な学び直しに取り組みやすくするため、関係省庁と連携して、IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的な知識等を学習できる動画を作成・公開し、オンラインで無料で学べる環境を整備する。【18スライド目】

2.○:新たに教育訓練休暇を導入・適用する企業に対して人材開発支援助成金により経費等を助成すること等により、教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及を促進する。【18スライド目】

3.×:助成割合の引き上げに関する記載はないが、次の施策がある。

教育訓練給付の対象講座の充実に努めるとともに、教育訓練給付の対象講座に関する情報が得やすくなるよう、学び直しに関するポータルサイトと連携する等の情報へのアクセスの改善に取り組む。【18スライド目】

なお、学び直しに関するポータルサイトには、文部科学省や厚生労働省などが提供する、マナパスがある。

4.×:企業内大学や教育研修カフェテリアプランに関する記載は無いが、次の施策がある。

労働者が実務経験を通じた主体的な能力の向上や学び直しの意欲の維持・向上が可能となるよう、社内公募制やフリーエージェント制等の導入その他の労働者の自発性、適性及び能力を重視した的確な配置並びに処遇上の配慮が可能となる制度の普及促進を図る。【18スライド目】

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 国家試験、2級技能検定の両方で頻出資料になりつつある、本報告書です。不適切なものを選ぶのは、比較的易しい問題でした。本資料は、移動時間などに、一度しっかりと目を通しておきましょう。

 働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書

1.○:キャリアコンサルタントに求められることと必要な施策の(1)である。【P6】

2.○:キャリアコンサルタントに求められることと必要な施策の(2)である。【P7】

3.○:キャリアコンサルタントに求められることと必要な施策の(3)である。【P7】

4.×:施策の(4)として、外部専門家との連携や外部資源を活用することが提案されている。【P8】

問3.キャリアに関する理論

 今回の試験で最も難しい問題でした。捨て問題でやむを得ないでしょう。出典は選択肢1~3は木村先生(下村先生共著)の6訂版、加筆箇所からの出題です(5訂版には記載がありません)。ワッツ、ゴットフレッドソン、フアドは、もちろん両試験で初出です。

キャリアコンサルティング理論と実際

※木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。

1.○:ワッツは、キャリアガイダンスには大きい社会問題の解決を促し、社会をより良いものへと変革する機能があることを強調している。【木村先生⑤記載なし、⑥P98】

2.×:キャリア支援で最も重要な要因として「社会階層」をあげているのは、ブルースティンである。

ブルースティンは、貧困・格差等の社会の問題でキャリアが阻害され、限定されるのであれば、そこに問題意識を持つ必要があるとした。【木村先生⑤記載なし、⑥P100】

3.×:クライエントの文化をカウンセラー自身がどう考えているのかを客観視(メタ認知)することを重視しているのは、フアドである。【木村先生⑤記載なし、⑥P95】

ちなみに、ゴットフレッドソンは、子供のキャリア発達に関する「制限妥協理論」を提唱している。これは、子供は自分の興味や関心によって職業を考えるのではなく、自分が考慮すべき選択肢を排除(制限)するように職業を考えることである。

例えば、男の子はケーキ屋さんや花屋さんといった職業を考慮すべき選択肢から外してしまうことである。【木村先生⑤記載なし、⑥P75】

4.×:ファドは選択肢3で解説したように、文化的に適切なキャリアカウンセリングモデルを提唱している。多文化キャリアカウンセリングの視点から、社会の非主流、少数派のクライエントに対して、文化に配慮したキャリアカウンセリングを行うことを提案している。

ちなみに、賃金をともなわないボランティアワークや奉仕活動も働くこと(Working)であるとしていることについては、渡辺先生の著書の「新しい潮流」の中で記述があるが(渡辺先生P227)、残念ながら提唱者については判明しておらず、積極的にこの選択肢が不適切であるとする論拠は見つかっていない。

問4.キャリアに関する理論

 スーパーの発達的アプローチに関する14の命題からの出題です。1990年に提唱した「14の命題」は渡辺先生の著書に記載があります。木村先生(下村先生共著)の著書にあるのは「12の命題(1957年)」で、内容が異なりますので、ご注意ください。

新版キャリアの心理学(第2版)

キャリアの理論に関する出題は、国家試験と同様に技能検定においても、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多いです。木村先生の著書と併せて、机上に用意しておきたい参考書です。表記しているページ数は第2版のページ数となります。

1.×:命題1.人はパーソナリティの諸側面および能力において違いがある。【渡辺先生P52】

2.×:命題3.職業に就いている人に多様性が見られるように、個人も多様な職業に就く許容性を有している。【渡辺先生P52】

3.×:命題5.ミニ・サイクルは、あるステージから次のステージへキャリアが移行するときに起こる。【渡辺先生P52】

4.○:命題13.仕事から獲得する満足の程度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。【渡辺先生P54】

問5.キャリアに関する理論

 キャリアに関する理論家について、人名とキーワードの正誤を問う問題です。正解選択肢以外は解きやすい選択肢でしたから、ギンズバーグに自信がなければ、消去法でも良いでしょう。

1.○:ギンズバーグは職業選択における発達過程に着目してそれを最初に理論化し、職業発達のプロセスを「空想期(10歳以下)」、「試行期(11歳~18歳)」、「現実期(18~20歳代初期)」に分けた。【木村先生⑤P34、⑥P70】

2.×:「組織の三次元モデル」を提唱したのは、シャインである。【渡辺先生P157】

3.×:「統合的ライフ・プランニング(統合的人生設計)」を提唱したのは、ハンセンである。4つのLの内容は適切である。【渡辺先生P208】

4.×:「プロティアンキャリア」を提唱したのは、ホールである。【渡辺先生P171】

参考文献・資料

第11次職業能力開発基本計画(PDF)

マナパス

働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書

(PDF)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2018年)

新板キャリアの心理学渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

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