【技能検定】第29回問16~問20の解き方

第29回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問16.労働市場の知識

 消去法でアプローチしましょう。でも、選択肢4の「4年連続」には疑問があります。

 労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均

1.×:文章後半に注意。2021年平均の完全失業率は2.8%であり、前年と同率であった。

2.×:前年に比べ就業者が最も減少した産業は、「宿泊業・飲食サービス業」である。【P10】

3.×:前年に比べ就業者が最も増加した産業は、「医療、福祉」である。【P10】

4.○:「年齢階級別15歳以上人口の推移」の図表を見てみると、2017年から対前年で減少しており、2017年から数えると2021年まで「5年連続」で減少している。【P2】

選択肢4が正答になっているが、「4年連続」という表現は適切といえるのだろうか。疑問が残る問題である。「5年連続」には「4年連続」が含まれるからだろうか。

問17.労働市場の知識

 コロナ禍、コロナ後の雇用情勢、働き方の変化にはアンテナを張っておきましょう。また、肌感覚も大事にして、もしも違和感のあるデータがあれば特にインプットをしておきましょう。

なお、選択肢2と3は明確なデータが見つかっていないのですが、正誤判断は比較的しやすいと感じました。

1.○:「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」は内閣府が定期的に行っており、2020年6月に第1回、2022年7月に第5回の調査結果が公表されている。

2021年11月の第4回調査では、2020年に比べて2021年は、「テレワーク中心で、定期的に出勤を併用」と「出勤中心で、定期的にテレワークを併用」の割合が増加している。【新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査P6:PDF

2.×:内容は問16と似ている。

情報通信業や医療・福祉等は、就業者数は増加している。ただし、正規、非正規の区別での産業別での増減は、精査しているものの、労働力調査では確認ができていない。【労働力調査(基本集計)2021年平均(冒頭の要約P2):PDF

3.×:内容は問16と似ている。

宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業・娯楽業の就業者数は、大きく減少している。ただし、選択肢2と同じく、正規、非正規の区別での産業別での増減は、労働力調査では確認ができていない。【労働力調査(基本集計)2021年平均(冒頭の要約P2):PDF

4.×:2020年4月から2021年5月 までに実施された5つの調査結果では、雇用者が感じる主観的な生産性は、いずれも上昇より低下したとの回答割合が多い。【令和3年経済財政報告P176:PDF

問18.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 労働基準法から、賃金に関する出題です。前回の第28回問19に非常によく似た構成の問題であり、やっておいた方には容易に解ける問題でした。

1.×:未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取ってはならない。【労働基準法第五十九条

2.×:同意が必要である。賃金の銀行振込は、個々の労働者の同意を得て労働者が指定する本人名義の預金口座へ振り込まれること、振り込まれた給料の全額が所定の給料支払い日に引き出し得ることを満たせばできる。【厚生労働省

3.×:一方的な損害賠償請求権との相殺は、全額払いの原則違反となり認められないが、労働者の合意を得て行った相殺は有効である。【厚生労働省

4.○:賃金は毎月少なくとも1回は支払う、毎月払いの原則および、毎月○○日などの期日を特定して賃金を支払う、一定期日払いの原則の内容として適切である。【厚生労働省

問19.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 高年齢者雇用安定法に関する出題です。令和3年(2021年)4月に70歳までの就業機会の確保(努力義務)が追加されました。ご注意ください。内容については、下記の厚生労働省サイトが役立ちます。

高年齢者の雇用(厚生労働省)

1.×:事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければならない。

2.○:定年を65歳未満に定めている事業主は、①65歳までの定年引き上げ②定年制の廃止③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入の、いずれかの措置を講じなければならない。

3.×:継続雇用制度は、雇用している高年齢者を、本人が希望すれば定年後も引き続いて雇用する「再雇用制度」などの制度をいい、高年齢者雇用安定法の改正により、平成25年度以降は希望者全員が対象となった。

4.×:法律上の義務付けではなく、努力義務に位置づけられている。

定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている事業主又は継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主は、70歳まで定年年齢を引き上げるか、70歳までの継続雇用制度を導入、定年制を廃止等のうちからいずれかの措置を講ずるよう努める必要がある。

問20.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

 最低賃金法の出題ですが、本問は2級第26回問19とほぼ同じ復活問題でした。選択肢2だけ変更していましたが、正答は同じでしたので、26回をやっていた人には判断は容易でした。

1.○:地域別最低賃金の原則として、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする、とされている。【最低賃金法第9条

2.×:地域別最低賃金は都道府県ごとに設定されており、政令指定都市の属する都道府県、という問いかけは変化球だが、令和4年度で都道府県別最低賃金が1,000円を超えているのは、東京都、神奈川県、大阪府のみであり、それ以外の都道府県は1,000円を超えていない。【厚生労働省

3.×:刑事処罰の対象となり、五十万円以下の罰金に処する。【最低賃金法第四十条

4.×:最低賃金額は、時間によって定めるものとする。【最低賃金法第三条

参考文献・資料

労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)平均(PDF)

新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(PDF)

令和3年経済財政報告(PDF)

労働基準法

最低賃金法

厚生労働省

問21~問25へ進む

全50問の目次