【技能検定】第30回問06~問10の解き方

第30回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問6.キャリアに関する理論

 直接的な出典はいずれも不明なものの、クランボルツのプランド・ハプンスタンスの考え方を理解していれば、正答を導くことは比較的容易な問題でした。不安な場合には渡辺先生の著書で確認しましょう。

正答:3

1.×:プランド・ハプンスタンスでは、「未決定」を望ましい状態と考えるため、目標設定や達成計画を重視してはいない。【渡辺先生P145】

2.×:偶然の出来事を個人のキャリアに生かすためのスキルを5つ提案している(好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心)。【ジルP47】

覚え方:コージくん 柔軟に 楽しく冒険

3.○:クランボルツの理論における学習は、新しい行動を獲得したり、行動を変化させることであり、それにより変化し続ける環境に適応していくことができるとしている。【渡辺先生P147】

4.×:想定外の出来事がキャリアに影響を及ぼすことは普通のことであり、かつ当然のことであること、望ましいことであるとしている。【渡辺先生P146】

問7.キャリアに関する理論

 動機づけ理論について、ロックの目標設定理論やデシや内発的動機づけの研究内容が問われるなど、主要参考書にも記述はなく、初見では解けなくても仕方がないCランクの問題でした。再出題に備えて、内容を確認しましょう。

正答:3

1.×:これはアメリカの心理学者ロックの「目標設定理論」である。

目標設定理論では、モチベーションをあげる3つの要素として、以下をあげている。

①【難易度】簡単に達成できる目標よりも、難易度の高い目標の方がモチベーションを高める。ただし、難しすぎてもやる気を削いでしまうため、本人の納得が大切。
②【具体性】曖昧で抽象的な目標ではなく、具体的な目標であるほうが、動機づけにつながる。
③【フィードバック】目標とフィードバックを組み合わせることで、モチベーションが高まる。
【参考サイト:日本の人事部

ロックの目標設定理論といえば、①難易度、②具体性、③フィードバックと押さえておく。

なお、マクレランドの達成動機(欲求)理論は、職場における「社会的欲求」が動機づけを高めるとした。その社会的欲求には親和欲求、権力欲求、達成欲求がある。【岡田先生P27】

2.×:ハーズバーグの2要因説は、「満足か不満足」の2要因ではなく、職場では「満足を与える要因」と「不満足を与える要因」の2要因があるとした。

前者は動機づけ要因であり、後者は衛生要因である。【岡田先生P26】

3○:デシは、外的報酬が内発的なモチベーションを低下させるとしている。

例えば、子どもが親の喜ぶ顔が見たくて自発的に家事の手伝いを始めたが、そのご褒美として小遣いを渡すようになり、子どもはそれでおやつを買うようになる。

そして、おやつが買えるように手伝いをするようになる。

その後、成長し、もう大きくなったから手伝いをしてもお小遣いはなし、としたらどうだろうか。お手伝いへのモチベーションが下がる。このようなケースである。

なお、デシは、自らによって困難を乗り越えたり、何かを達成したという有能感と、他者に強制されずに自分自身で決定できる自己決定感が高まると、内発的動機づけが高まるとしている。【岡田先生P22】

4.×:マズローの欲求段階モデルを修正し、ERGモデルを提唱したのは、バンマーネンではなく、アルダファである。ERGモデルは存在欲求、関係欲求、成長欲求の3つの次元から構成される。【岡田先生P26】

なお、バンマーネンは問3の選択肢1の「キャリアの立方体」を示した。

問8.カウンセリングに関する理論

 家族療法は個ではなく全体の中で捉える、システムアプローチの視点から正誤判断ができる選択肢もありましたが、難しいカウンセリング用語の意味が問われるなど、こちらも初見では、かなり難しい問題に位置づけられます。

正答:1

1.○:問題の外在化は、内面に潜んでいた問題を、客観的に外側から捉えられるようにするために、問題に名前をつけるなどして問題に取り組みやすくすることである。ナラティブ・セラピーや家族療法で用いられる。

2.×:家族療法では、不適応行動や症状が現れる原因は、その個人にあるのではなく、家族システムに問題があると考える。【心理学用語集

そのため、特定個人の人格的変容を促すような手段をとらない。

なお、IP(Identified Patient)は「患者」ではなく、「患者とみなされる人」の意であり、個人の不適応行動や症状は、その個人の問題ではなく、家族全体の問題と捉えている。

3.×:特定個人にのみ焦点を充てて問題の所在を明らかにするのは適切ではない。

4.×:「直線的因果律」とは、クライエントの問題は、特定の原因によってもたらされた結果であるという関係のことであり、家族療法では、「直接的因果律」ではなく、家族というシステムの成員間における円環的な関係(「円環的因果律」)で捉える。【心理学用語集

問9.カウンセリングに関する理論

 システマティック・アプローチに関する総論的な問題で、正誤判定はしやすい内容でした。積極的に選択しづらい場合には、消去法でアプローチしましょう。

正答:4

1.×:「ABC理論」は論理療法を想起させるが、論理療法、ABC理論はシステマティック・アプローチの理論的根拠ではない。

2.×:中でもヘルピング技法(カーカフ)を多用するわけではない。

3.×:目標設定はカウンセラーが主導して定めるものではない。

まず第1に重要な方策は、カウンセラーとクライエントの共同作業による「目標の設定」である。【木村先生⑤P286、⑥P379】

4.○:方策とは、カウンセリングの目標を達成するための行動計画(action plan)のこ
とである。

最終目標とそれを構成する必要なターゲットを見つけ、それに達するステップと具体的な行動を見つけ出し、それを実行することである。【木村先生⑤P290、⑥P383】

問10.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

 いずれもありそうといえばありそうな内容で、このような問題は判断が難しく、なかなか対策も困難です。違和感のあるものを除外していきましょう。

 第11次職業能力開発基本計画

正答:2

1.×:継続雇用の実現に向けては、次の内容が計画に記されている。

65歳超の高齢者の継続雇用の実現に向けて、生産性向上支援訓練の一環として、中高年労働者が身につけておくべき能力の習得に資する訓練コースを提供する。【スライド34】

求職者支援訓練は主に雇用保険を受給できない人を対象とした訓練であり、本計画の中で、特に高齢者への支援に関連しての記述はない。

2.○:就職やキャリアアップに特別な支援を要する方への支援の内容として、適切である。

就職氷河期世代は、一人ひとりの事情に応じた長期的・継続的な支援を行うことが必要であるとし、長期にわたり無業の状態にある方に対しては、地域若者サポートステーションにおける相談支援等により、長期的・継続的な支援を行っていく。【スライド37】

ほかには、外国人材の就職等に精通したキャリアコンサルタントの育成や、定住外国人への職業訓練、定住外国人職業訓練コーディネーターの配置などが、本計画には盛り込まれている。

3.×:公的職業訓練において、子育て中の女性が受講しやすくなるよう、託児サービス付きの訓練コースや「短時間」の訓練コースを設定する。【スライド31】

また、マザーズハローワークについては、次の内容が計画に記されている。

マザーズハローワーク等において、一人ひとりの希望、状況等に応じて、仕事と子育ての両立、長期の職業上のブランク及び長期的なキャリアの視点に配慮したキャリアコンサルティングを実施し、積極的な職業能力開発の機会の提供を推進する。

4.×:障害者の職業能力開発は、ハローワークではなく、障害者職業能力開発校や、一般の公共職業能力開発施設で行う。 【スライド35】

参考文献・資料

新版キャリアの心理学渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

日本の人事部

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

心理学用語集

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

第11次職業能力開発基本計画

問11~問15へ進む

全50問の目次