【技能検定】第33回問11~問15の解き方

第33回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問11.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【B】人事考課における評価誤差(エラー)については、両試験で定期的に出題されています。特徴を確認しましょう。

なお、このトピックは「企業におけるキャリア形成支援の知識」から出題されることが多いですが、出題順序と出題問題数のバランスから、「職業能力開発の知識」からの出題に分類しています。

正答:1

1.×:対比誤差は、自分自身や他の誰かを基準にして評価してしまうことであり、文章の内容は、論理的誤差である。

2.○:ハロー効果は、一部の特徴的な印象でその人のすべてを評価してしまうことをいう。

3.○:寛大化傾向は、自らの自信のなさや、人間関係への配慮から、評価を甘くしてしまうことである。反対に、厳しくし過ぎてしまうことを厳格化傾向という。

4.○:中心化傾向は、評価が無難な中間レベルに集中してしまい、優劣の差が出ないことをいう。

そのほかには、最近の出来事が印象に残り、期間全体での評価が正しくされない、「近接誤差」がある。

テキスト&問題集第3版P111、合格問題集第2版P118問題3

問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】頻出の能力開発基本調査は問2に続いて2問目です。ランキングの1位は押さえておきましょう。

正答:4

1.×:OFF-JTの男女別の受講率をみると、「男性」の41.0%に対し、「女性」は26.6%と、女性の受講率が低くなっている。【P45】

2.×:正社員、正社員以外ともに、「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」の割合が最も高く、次いで「将来の仕事やキャリアアップに備えて」である。【P60】

3.×:令和4年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、「労働者全体」では10.8%である。【P63】

4.○:向上させたい能力・スキルの内容については、正社員では「マネジメント能力・リーダーシップ」が最多であり、次いで「課題解決スキル(分析・思考・創造力等)」である。

なお、正社員以外では「ITを使いこなす一般的な知識・能力(OA・事務機器操作( オフィスソフトウェア操作など))が最も多い。【P43】

楽習ノートプラスに令和5年度版のまとめや問題を用意していますので、ご活用ください。

問13.企業におけるキャリア形成支援の知識

【B】各種資料横断的にキャリア自律に関する内容が問われた珍しいタイプの問題でした。正誤判断が容易な定番の内容もありましたが、「キャリア自律が言及されるようになったのは何年代からか?」という、意外な点が問われました。

1990年代初頭にかけてのバブル経済の崩壊に伴う、終身雇用や年功序列制度などの日本型の雇用慣行の危機とともに、「キャリア自律」の考え方が提唱されるようになったと捉えると良いでしょう。

正答:1

1.×:キャリア自律の概念は、1990年代後半から 2000年代初頭にかけて打ち出された後、企業側でもキャリア形成の望ましいあり方として重視されるようになった。【参考資料:「キャリア自律」はどんな企業で進められるのか(P115):PDF

2.○:「キャリア自律」とは、「めまぐるしく変化する環境のなかで、自らのキャリア構築と継続的学習に取り組む、(個人の) 生涯に渡るコミットメント」と定義される。【参考資料:「キャリア自律」はどんな企業で進められるのか(P115):PDF

3.○:こうした関係者の協働が、新たな価値の創造につながるより高いレベルの学びを呼び込み、労働者のスキル・キャリアの向上を促していくという「学びの好循環」を生み、個人、企業、さらには経済社会の成長と長期的な雇用の安定につながることが期待される。【関係者の協働による「学びの好循環」の実現に向けて(P3):PDF

なお、この資料からは2級第30回問1で出題され、同趣旨の出題もある。

4.○:企業の中で、労働者の自律的・主体的なキャリア形成を促すために、企業内の課題解決に向けて、キャリアコンサルタントは経営者層へのアプローチなど企業への提案力、人事担当部署との協業をする能力が求められる。【働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書(P7):PDF

問14.企業におけるキャリア形成支援の知識

【A】「三位一体の労働市場改革」については、国家第26回問22で出題されており、内容も似ています。職能ではなく職務、ジョブ型の人事制度の導入を挙げています。

 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版

正答:1

1.×:個々の企業の実態に応じた「ジョブ型人事」の導入が挙げられている。【P10】

職能資格制度は、働く人の能力の程度に応じて「資格」を付与する制度であり、「人」を基準とした人事制度である

一方、職務等級制度は職務の重要度や困難度を「等級」区分で表したもので、「仕事(ジョブ)」を基準とした人事制度である。

2.○:キャリアコンサルティングの取組を官民で我が国全体に広げていくことが重要であるとしている。【P12】

3.○:具体的には、自己都合で離職する場合は、会社都合とは異なり、求職申込み後2か月ないし3か月は失業給付を受給できないが、これについて見直しが行われ、令和7年4月からは、教育訓練等を受けた場合には給付制限緩和の改正が行われる。【P13】

具体的な改正の概要は、以下の通りである。
自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする。【雇用保険法等の一部を改正する法律の成立について(P1):PDF

4.○:具体的には、職業情報提供サイト(job tag)の充実を図る点と、デジタル技術についての継続的な学びを実現するとともに、スキル情報を広く労働市場で活用するための仕組みを検討する点が挙げられている。【P13】

問15.企業におけるキャリア形成支援の知識

【C】選択肢2と4については、両試験を通じて初出の内容であり、初見では正誤判断ができなくてもやむを得ない問題でした。

正答:2

1.○:セルフ・キャリアドックの定義として適切である。

セルフ・キャリアドックとは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。【「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開(P2):PDF

2.×:厚生労働省の公表している一覧表では、社会保険労務士試験、ファイナンシャル・プランニング技能検定試験は、特定一般教育訓練給付や一般教育訓練給付の対象とされている。【厚生労働省:PDF

受講期間や受講料なども影響していると思われるが、厚生労働省では以下のように分類している。

専門実践教育訓練:特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象
特定一般教育訓練:特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象
一般教育訓練:その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象
厚生労働省

なお、「キャリアコンサルタント」は一般、特定一般、専門実践の3区分すべてに該当しているが、各養成講座はいずれかのうち一つに指定され(専門実践教育訓練給付がほとんどと思われる)、受講者はその講座が指定されている給付金のみに申請が可能である。

3.○:人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度である。【厚生労働省

なお、前回の2級第32回問15でも同様の内容が問われている。

4.○:雇用関係助成金検索ツールに関する出題は両試験を通じて初めてである。

雇用関係助成金検索ツールのホームページでは、雇用関係の助成金について、企業の「取組内容から探す」や、雇用の「対象者から探す」から検索ができる、リンク集としての機能を提供しており、以下の画面構成である。

「取組内容」には「労働者の雇用維持を図る」や「新たに労働者を雇い入れる」「在籍型出向を支援する」などがあり、「対象者から探す」には「障害者」や「高年齢者」「就職氷河期世代」などがある。【厚生労働省雇用関係助成金検索ツール

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