【技能検定1級】第13回問11~問15の解き方

第13回キャリアコンサルティング技能検定1級学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問11.企業におけるキャリア形成支援の知識

【A】多様化する労働時間制度に関して、基本的な内容が問われています。本問で知識を整理しましょう。

正答:3

1.×:裁量労働制は、「みなし労働時間制」の一種のため、原則として時間外手当の概念はないが、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する労働基準法の規定は適用される。

2.×:「事業場外労働のみなし労働時間制」の対象となるのは、事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間の算定が困難な業務である。

そのため、使用者の指示に即応する義務がある場合は対象にはならない。【厚生労働省:PDF

3.○:除外される。

休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度である。【高度プロフェッショナル制度わかりやすい解説P1:PDF

4.×:管理監督者には、労働基準法の労働時間や休憩、休日の規定は適用されないが、深夜労働の規定は適用される。【労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために(厚生労働省)P4:PDF

5.×:フレキシブルタイムやコアタイムは必ずしも設けなければならないものではなく、コアタイムを設定しないことによって、労働者が働く⽇も自由に選択できるようにすることも可能である。【フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引きP3:PDF

問12.企業におけるキャリア形成支援の知識

【B】4が特に判断が難しいと感じましたが、みなさん、いかがでしたでしょうか。理由の1位はハーズバーグのいう衛生要因でした。他の選択肢は不適切である点を明確にしておきましょう。

正答:4

1.×:障害者の職場適応を支援する職場適応援助者(ジョブコーチ)は、訪問型、配置型、企業在籍型の3種類である。【厚生労働省

2.×:届出先は、労働基準監督署ではなく、ハローワーク(公共職業安定所)である。

外国人の雇入れと離職の際には、事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に、氏名、在留資格などを届け出なければならない。【厚生労働省:PDF

3.×:事業場間の移動中の災害は、A社の事業場での就業後、次の仕事のためにB社の事業場への移動を余儀なくされることから、B社の事業場での労務の提供に不可欠な移動とし、B社における通勤災害として労働者災害補償保険の給付を受ける。【参考サイト:公益財団法人労災保険情報センター

4.○:離職した理由は「自己都合」(76.6%)が最も多く、次いで、大きな差があるが、「倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職」(5.8%)である。

そして、「自己都合」による退職理由は、割合の高いものから「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」「満足の行く仕事内容でなかったから」「賃金が低かったから」の順である(3つまで複数回答可)。

以下が離職の理由別順位である。

1位:労働条件(賃金以外)がよくなかったから(28.2%)
2位:満足の行く仕事内容でなかったから(26.0%)
3位:賃金が低かったから(23.8%)
4位:会社の将来に不安を感じたから(23.3%)
5位:人間関係がうまくいかなかったから(23.0%) 【令和 2 年転職者実態調査の概況P18:PDF

5.×:70歳までの就業確保義務である。65歳までの雇用確保措置が法的義務であるのに対し、70歳までの就業確保措置は努力義務である。【厚生労働省:PDF

問13.企業におけるキャリア形成支援の知識

【A】不適切な選択肢を選ぶことは、それほど難しくない問題でした。諦めずに検討しましょう。

正答:5

1.○:能力に基づく職能給は年功序列的な賃金体系に陥りやすいデメリットがある。

一方、役割・職務給は、役割や職務に応じて決定される賃金であり、昨今の成果主義のなかで浸透してきている。

2.○:業績連動型賞与制度は、賞与額の決定にあたり、企業業績や部門業績、個人業績を連動させる制度のことであり、賞与の成果主義的要素を強化するものといえる。

なお、原則的な計算方法としては、まず、企業業績などに応じて賞与原資の総額を決定し、個人の成績に応じて支給額を決定する。【参考サイト:Schoo for Business

3.○:年俸制には、1年間の基本額として確定する完全年俸型(単一型)と、基本年俸を固定部分とし、業績年俸を個人の成績や会社の業績に応じて変動する部分とする、基本年俸・業績年俸分離型(複合型)がある。

欧米企業では、完全年俸型が多いようだが、日本企業は月給と賞与に分かれていた制度から移行したところが多いため、基本年俸・業績年俸分離型を導入している企業が多いとされている。【参考サイト:ビズリーチ

4.○:退職金前払い制度の内容として適切である。【参考サイト:企業年金連合会

5.×:業務目標について、従業員個人の判断で自己決定するのは不適切である。

目標管理制度は、組織の方針と働く人の目指したい方向性を擦り合わせ、一人ひとりの目標を設定し、目標までの道のりを管理するマネジメントの概念である。目標は、上司から一方的に指示して設定するものではないが、上司などと話し合いにより決定するものである。

問14.労働市場の知識

【A】積極的な判断が難しい選択肢もありましたが、働き方改革、そしてコロナ禍により、年次有給休暇取得率は上昇傾向である点を念頭に入れて選択しましょう。賃金の名目アップ、実質ダウンもトレンドと言えます。

正答:4

1.×:2022年は、15歳以上人口は1億1,087万人から1億1,038万人へ減少しており、労働力人口も6,907万人から6,902万人へ減少している。

ただし、15歳以上人口に占める労働力人口の割合である労働力人口比率は、62.5%で、前年に比べ0.4%の上昇(2年連続の上昇)であった。

これは、15歳以上人口の減少に比べると、労働力人口の減少の度合いが小さかった結果である。【労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均P2:PDF

2.×:2022年の雇用者数は、「宿泊業・飲食サービス業」は11万人、3.4%の増加をしている(3年ぶり)。【労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均P23:PDF

3.×:雇用人員判断DIについては、新型コロナウイルス感染拡大時においては製造業でプラスに転じた時期もあるが、2021年以降、概ねマイナス(不足)で推移している。【参考サイト:労働政策研究・研修機構

4.○:2022年の労働者一人平均の年次有給休暇取得率は 62.1%であり、昭和59年以降過去最高となっている。【令和5年就労条件総合調査の概況P6:PDF

なお、取得率を産業別にみると、「複合サービス事業」が 74.8%と最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が 49.1%と最も低くなっている。

5.×:2022年の現金給与総額(名目)は就業形態計では325,817円で2.0%増、一般労働者は429,051円で2.3%増、パートタイム労働者は102,078円で2.6%で増加している。

ただし、物価上昇率を加味した実質賃金に換算すると、就業形態計で-1.0%、一般労働者-0.7%、パートタイム労働者-0.4%で、いずれでもマイナスである。【毎月勤労統計調査令和4年分結果確報P1:PDF

問15.労働市場の知識

【B】有期労働契約に関する実態調査(事業所調査、個人調査)は、無期転換ルールの施行後の有期契約労働者及び無期契約へ転換した労働者に関するに関する調査で、令和2年と3年の対象を分けて実施されたようです。

興味深い内容ですが、資料がやや読み解きにくいのが難点です。問題でポイントを確認しましょう。

令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)

令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)

正答:4

1.×:実際に権利行使した者の割合は、権利行使しなかった者の割合を下回っている。

「無期転換ルールによる無期転換を申込む権利が生じた人」のうち、「無期転換を申込む権利を行使した人」の割合は27.8%、無期転換を申込む権利を行使せず「継続して雇用されている人」の割合は65.5%となっている。【事業所調査P13】

2.×:逆である。

無期転換を申込む権利を行使した人の割合を企業規模別にみると、「1,000人以上」39.9%、「30~99人」17.1%である。【P14】

3.×:有期契約労働者における性別の割合をみると、男性は39.0%、女性は60.8%となっている。【事業所調査P13】

4.○:有期契約労働者の無期転換ルールに関する知識について情報を入手したルート(複数回答)は、「勤務先(派遣会社を含む)」の割合が高く、次いで「新聞報道やテレビ、雑誌や本」、「職場の同僚や友人、家族等」13.2%、「厚生労働省ホームページ」と続く。【個人調査P38】

5.×:「正社員」と比較して「異動・転勤することがある」割合は、明らかに低い傾向がある。

調査では、「正社員同様職務型」、「高度技能活用型」、「別職務・同水準型」、「軽易職務型」、「事業所に正社員がいない場合」などの場合分けをして調査をしているが、正社員と比較すると割合は低い。【事業所調査P38】

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