【第18回対策】気になる未出題項目のまとめと問題

Check Sheet ONOFF

まだ出題されていないものの、今後のキャリアコンサルタント試験で出題されるかもしれない用語や公的サイト等をピックアップし、まとめと対策問題を作成しました。

出るか出ないかは神のみぞ知る!ですが、試験直前に一読しておくだけでも、もしものときには役に立つかもしれませんので、移動時間や勉強の合間のスキマ時間にご覧ください。

前回の第17回では、キャリアパスポートと、(やっと)職業情報提供サイト(日本版O-NET)が出題されましたので、今回の「気になる」からは除外しまして、新たに追加したもの、過去にもあげていたものも再検討して、併せてお伝えいたします。

出なかったらごめんなさい、なのですが…(汗)今から謝っておきます。

画面上部のCheck Sheet機能をONにして、キーワードなどを確認し、問題にトライしてみましょう。

第18回対策の気になるトピックはこちら。

コロナ禍における完全失業率の国際比較、エッセンシャル・ワーカー、ワーク・エンゲイジメント、しょくばらぼ、キャリア形成サポートセンター、地域若者サポートステーション、グッドキャリア企業アワード、アクティブ・ラーニング、反転学習

知らない用語、キーワードはありましたか?では、確認していきましょう。

世界的なコロナ禍における完全失業率の比較

【内容】コロナ禍が雇用に及ぼした影響について、完全失業率を国際的に比較してみると、最も悪化したときの完全失業率や、直近での改善具合に、国により差があることがわかる。

JILPT(労働政策研究・研修機構)では、「新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響」について、ホームページで随時情報を更新しており、完全失業率の概況について紹介する。各国それぞれ状況が、異なることがわかる。

図:国際比較統計:概況:完全失業率(季節調整済)、日本、アメリカ、イギリス 、ドイツ、フランス、イタリア 、スペイン、韓国

新型コロナウイルス感染症関連情報:新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響国際比較統計:完全失業率(JILPT)」より転載。

【解説】最も悪化した月の完全失業率は、日本では3.1%(2020年10月)であり、コロナ禍前の2020年1月の2.4%から0.7%上昇(悪化)している。

2020年1月と最大値となった月の比較を、上昇の幅で評価すると、イタリア(悪化幅0.5%)、ドイツ(同0.7%)、フランス(同0.9%)と同じレベルである日本(0.7%)は、諸外国の中でも、完全失業率の上昇を抑えている国の一つといえるだろう。

反対に、悪化の幅が最も大きいのはアメリカで、コロナ前の3.5%から14.8%(2020年10月)まで上昇しているが、直近の結果では5.2%(2021年8月)にまでに落ち着いている。他の国々も2021年8月の状況では、概ね落ち着きを取り戻している。

出典:新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響(国際比較統計)

令和3年版労働経済の分析にも記載があり、楽習ノートプラスの第Ⅰ部ダイジェスト(2)でも紹介していますが、雇用調整助成金等による完全失業率上昇の抑制(2.6%の試算)のほか、各種のコロナ対応緊急融資制度などの施策の効果であることも頭の片隅に入れておきましょう。

なお、試験対策として覚えておくべき完全失業率は、2019年平均2.4%、2020年平均2.8%です。2%を維持している点です。2021年もおそらく2%を維持することでしょう。

エッセンシャル・ワーカー

人々の基本的な生活やインフラなどの維持に、エッセンシャル(必要不可欠)な職種の従事者をいう。医療従事者や介護、保育従事者のほか、食料品販売員、運送業者、警察官、消防官、公共交通機関の従事者などさまざまな職種を指す。

【出典】コトバンク

ワーク・エンゲイジメント

平成30年版及び令和元年版労働経済の分析で紹介された概念だが、これまでのところ国家試験でも技能検定でも出題はまだない。

【内容】

・ワーク・エンゲイジメントは、次の3つが揃った状態として定義されている。

1.活力:仕事から活力を得ていきいきとしている

2.熱意:仕事に誇りとやりがいを感じている

3.没頭:仕事に熱心に取り組んでいる

仕事へ強いエネルギーを注ぎ、楽しく積極的に働いている状態といえる。そして、ワーク・エンゲイジメントの対局の概念は、バーンアウト(燃え尽き)である。

「令和元年版労働経済の分析P175」より転載

・ワーク・エンゲイジメント・スコアは、加齢又は職位・職責の高まりに伴って、高まる傾向がみられる。(P176)

・ワーク・エンゲイジメント・スコアは、「教育関連専門職」「管理職(リーダー職を含む)」「接客・サービス職」などの非定型的業務の比重が高いと思われる職種では高い傾向にある。(P176)

・正社員と限定正社員では、ワーク・エンゲイジメント・スコアは、限定正社員の方が高い。(P180)

・正規雇用労働者と、不本意非正規雇用労働者とを比較すると、不本意非正規雇用労働者のワーク・エンゲイジメントが高い状態にあると回答した者の割合は低い。(P182)

・正規雇用労働者と、不本意選択以外の非正規雇用労働者を比べると、正規雇用労働者の方が、ワーク・エンゲイジメントが高い状態にあると回答した者の割合は低い。(P182)

正規雇用労働者だからといって、ワーク・エンゲイジメントが高いとは限らないし、非正規雇用労働者だからといって低いとも限りません。意外に思われた場合には、令和元年版労働経済の分析P182の表を見るとわかりやすいです。

【出典】令和元年版労働経済の分析(第Ⅱ部)

なお、下記の厚生労働省制作の「令和元年版労働経済の分析要点動画」では、4:25以降で、ワーク・エンゲイジメントの内容を短時間で確認することができます。

しょくばらぼ(職場情報総合サイト:厚生労働省)

【内容】「しょくばらぼ(職場情報総合サイト)」は、各企業の働き方や採用状況に関する職場情報を検索・比較できるサイトであり、厚生労働省が開設している。

しょくばらぼ

職場改善に積極的な企業の時間外労働時間や有給休暇取得率、平均年齢などの職場情報を検索・比較することができる。

【掲載している情報】

・企業の基本情報 ・採用状況に関する情報 ・働き方に関する情報

女性の活躍に関する情報 ・育児・仕事の両立に関する情報

能力開発に関する情報(キャリアコンサルティングの実施なども含む) 

・ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報

なお、厚生労働省では、しょくばらぼ、ハローワークインターネットサービス、職業情報提供サイト(日本版O-NET)の3サイトを、就職活動に役立つ3サイトとして位置づけ連携させている。

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しょくばらぼより転載】

【サイトのメリット】

学生や求職者にとっては、ライフスタイルや希望条件に合った企業の選択に役立ち、事前に企業の就業実態を把握し、入社後のミスマッチを防止することができる。

データ登録企業にとっては、職場情報を開示することで企業のPRや、また、職場改善への取組が評価されることによる優秀な人材獲得につながる。

会社名や企業規模、業種、本社所在地、くるみんやえるぼし認定などの、認定や表彰などからも企業の情報を検索することもできます。一度、気になる会社、興味のある会社などを検索して内容を確認してみましょう。【しょくばらぼ

キャリア形成サポートセンター

ジョブカード制度総合サイトのメール相談サービスが2020年3月をもって終了した後、キャリア形成サポートセンター(旧ジョブ・カードセンター)でのキャリアコンサルティングの無料サービス等が開始された。キャリア形成サポートセンターのサイトから、主なサービス内容について確認する。

キャリア形成サポートセンター

【内容】キャリア形成サポートセンターでは、企業・団体、個人、学校関係者に対して次のようなサービスを提供している。

企業向け:ジョブ・カードやセルフ・キャリアドックを活用し、キャリアコンサルティングを行いながら、キャリア形成と職業能力開発を総合的に支援する。雇用型訓練の導入支援も行っている。

個人(在職者)向け:対面またはweb面談により無料のキャリアコンサルティングを行っている。

学校関係者向け:ジョブ・カードを活用したキャリア教育や就職活動支援、学生主体のキャリアプランニングの実施支援を行っている。

【拠点】2021年6月現在、全国各地に42か所の拠点がある。

地域若者サポートステーション

【内容】地域若者サポートステーション(愛称:「サポステ」)では、働くことに悩みを抱えている方に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っている。【厚生労働省

【対象年齢】15~49歳までの働くことに悩みを抱えている方。(2020年4月より対象年齢が39歳から引き上げられた。)

【設置】「身近に相談できる機関」として、全国の方が利用しやすいようすべての都道府県に必ず設置されている(全国177箇所)。厚生労働省が、支援の実績やノウハウがあるNPO法人、株式会社などに委託して実施している。

【過去問】1級第9回問9 2級技能検定では選択肢での出題がある(第21回問2第22回問44第22回問47)。

グッドキャリア企業アワード

【内容】従業員の自律的なキャリア形成支援について他の模範となる取り組みを行っている企業を表彰し、その理念や取り組み内容などを広く発信することで、キャリア形成支援の重要性を普及・定着させることを目的に、厚生労働省が実施している。

【過去問】2級第25回問42

【参考サイト】厚生労働省

アクティブ・ラーニング

学習技法に関するトピックからは、アクティブ・ラーニングと反転学習を紹介する。なお、第13回では eラーニング、討議法、ロール・プレイング法、ブレーン・ストーミング法が出題されている。[第13回問19

【内容】教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称である。なお、「学修」とは、学んで身につけることを意味している。

【目的】学修者の能動的な学修により、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。

【方法】発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

反転学習

【内容】ブレンド型学習の形態の一つであり、新たな学習内容を自宅等であらかじめ動画などを視聴して予習し、教室では新たな学習内容をインプットするような講義は行わず、従来では宿題とされていた演習課題などを、教員が個々の生徒に合わせて指導をしたり、生徒が他の生徒と協働してそれに取り組む形態の授業をいう。

授業を演習などの知識の応用に使えるため、学習意欲や学習効率の向上、知識の定着といったメリットがある一方、予習を各自で行わなければ、反転学習が意味を成さなくなってしまうデメリットがある。

予想問題

Q.コロナ禍の中での完全失業率を比較すると、我が国の上昇の幅は、アメリカと比べ大きいといえる。

A.×:2020年1月の完全失業率は日本は2.4%、アメリカは3.5%であり、最大値となった月では日本は3.1%、アメリカは14.8%であり、我が国の上昇の幅は、アメリカと比較すると小さいといえる。

Q.エッセンシャル・ワーカーとは、本来は社会福祉事業において主に相談支援や関係機関との調整を担う、社会福祉士や精神保健福祉士のことを指す。

A.×:文章の内容はソーシャルワーカーの説明である。エッセンシャル・ワーカーとは社会を支える必要不可欠な仕事に従事している人のことであり、医療、介護、保育、小売、清掃、警察、消防、公共交通機関などに携わる人たちのことである。

Q.ワーク・エンゲイジメントとは、仕事から活力を得ていきいきとしている様をいう。

A.×:ワーク・エンゲイジメントとは、仕事から活力を得ていきいきとしている(活力)、仕事に誇りとやりがいを感じている(熱意)、仕事に熱心に取組んでいる(没頭)の3つが揃った状態として定義されている。

Q.ワーク・エンゲイジメントの対局の概念は、バーンアウト(燃え尽き)である。

A.○:ワーク・エンゲイジメントは、仕事への態度・認知は肯定的で、活動水準が高い状態を表す。それに対してバーンアウトは、仕事への態度・認知は否定的で、活動水準は低い状態を表す。

Q.経済産業省では、企業の従業員の能力開発に関する情報などの職場情報を検索できるよう、しょくばらぼ(職場情報総合サイト)を開設している。

A.×:しょくばらぼ(職場情報総合サイト)を開設しているのは、厚生労働省である。しょくばらぼ(職場情報総合サイト)には企業が取り組む能力開発の内容も掲載されている。

Q.しょくばらぼ(職場情報総合サイト)は、企業の時間外労働や有給休暇取得率、育児休業取得率等の職場情報を検索・比較することができる。

A.○:ほかには男女別の平均継続勤務年数や、労働者に占める女性労働者の割合、管理職に占める女性の割合などもわかる。

Q.しょくばらぼ(職場情報総合サイト)では、登録企業が取り組んでいる研修制度やキャリアコンサルティング制度なども知ることが出来る。

A.○:ほかにメンター制度や自己啓発支援制度、社内検定制度などで検索し、企業の取組を知ることができる。

Q.しょくばらぼ(職場情報総合サイト)は、ハローワークインターネットサービスに求人掲載をしている企業を検索することはできない。

A.×:しょくばらぼ(職場情報総合サイト)はハローワークインターネットサービスと連携しており、ハローワークインターネットサービスへの求人掲載の有無により企業を検索することができる。

Q.キャリア形成サポートセンターは、企業に対しては、セルフ・キャリアドックの導入の支援や雇用型訓練の実施をしている。

A.○:他に、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを実施している。

Q.キャリア形成サポートセンターでは、個人(在職者)へのキャリアコンサルティングを対面またはWEBにより面談を行っている。

A.○:対面の場合には、全国のキャリア形成サポートセンターで行っている。(全国の拠点は2021年10月現在42箇所ある。)

Q.キャリア形成サポートセンターでは、学校関係者向けの支援は行っていない。

A.×:ジョブ・カードを活用したセミナーの実施など、学校関係者向けの支援を行っている。

Q.地域若者サポートステーションは、すべての都道府県に設置されているわけではない。

A.×:すべての都道府県に必ず設置されている(全国177箇所)。

Q.地域若者サポートステーションの利用対象年齢は、15~49歳までの働くことに悩みを抱えている人である。

A.○:2020年4月より対象年齢が39歳から引き上げられた。 

Q.グッドキャリア企業アワードは、従業員の自律的なキャリア形成支援について他の模範となる取り組みを行っている企業を表彰するものであり、経済産業省がキャリア形成支援の重要性を社会に広め、定着させるために行っている。

A.×:経済産業省ではなく、厚生労働省が行っている。

Q.アクティブ・ラーニングとは、パソコンやスマートフォンを活用し、インターネットにより遠隔での学習を行うことである。

A.×:アクティブ・ラーニングは、従来型の教育による一方的な講義形式の教育ではなく、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授法のことである。問題文の内容は、eラーニングの説明である。

Q.アクティブ・ラーニングの方法には、グループ・ワークやグループ・ディスカッションがある。

A.○:アクティブ・ラーニングの具体例として他にはディベートなどもある。

Q.反転学習とは、生徒が教員役となり、教員が生徒役になって講義を実践する教授法のことをいう。

A.×:反転学習とは、家庭等での自己学習で「授業」を動画教材等を用いて予習として受講した後、学校では本来は「宿題」として扱われるような演習課題や、学習内容に関わる意見交換などを行うものである。

Q.反転学習には、予習を各自で行わなければ、意味を成さなくなってしまうという問題点がある。

A.○:反転学習のデメリットとして適切である。まだ、メリットとしては、授業を演習などの知識の応用に活用できるため、学習意欲や学習効率の向上、知識の定着がある。