【1級対策】教育指導のまとめ【本試験レベル問題】
【1級対策】教育指導のまとめに関するに関する、本試験を想定した四肢択一問題です。これまでの出題内容を概ね網羅するとともに、今後の出題が予想される周辺知識も盛り込んでいます。まとめ編で知識をインプットしてからご活用ください。
今回、「クリックして正答・解説を表示」の機能を新たに実装しました。また、問題用紙はPDFでも提供しています。学習環境に合わせ、ご都合の良い方法でご活用ください。
目次
問1:多様な学習方法と理論
学習方法に関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- 学習者自らが設定したテーマについて調査し、わかったことを整理、分析し、自らの意見をまとめ、発表するのは、アロンソンが提唱したジグソー学習である。
- 反転学習は、従来の「教員が知識を伝え、児童、生徒が学ぶ」という役割を反転させたものである。
- 有意味受容学習は、授業や講義で新しい知識を学ぶ際に、既知の知識に関連付けて理解を深める学習方法である。
- 学習の転移とは、学習者が受動的ではなく、能動的に学習に参加する教育方法のことである。
- アクティブ・ラーニングや反転学習、ジグソー学習は、機械的学習に該当する。
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正答:3
1. ×:これは「調べ学習」の内容である。
アロンソンが提唱したジグソー学習は、一つの課題を分割し、各メンバーが担当部分の専門家となって学び、パズルを組み合わせるように、その知識をグループ内で共有することである。
2. ×:役割の反転ではなく、学習の場の反転である。
反転学習は、従来の「授業でインプット→宿題でアウトプット」という流れを反転させたもの。事前に自己学習で知識をインプットし、授業では演習を通じてアウトプットする学習手法である。
3. ○:暗記などの機械的学習ではなく、理解を伴う有意味受容学習(オーズベル提唱)の説明である。
受容学習は授業・講義などの「伝達」によって学ぶ方法。対して、学習者自らが正解を見つけ出すのは「発見学習」(ブルーナー提唱)と呼ばれる。
4. ×:これはアクティブ・ラーニング(能動的学習)の内容である。
学習の転移とは、以前に学習したことが、後の学習や問題解決にプラス(またはマイナス)の影響を与えることをいう。
5. ×:これらは学習者自らが知識を見つけ出す「発見学習」などに該当する。
機械的学習とは、意味を考えずに知識を丸暗記するような学習のことである。
問2:ICTを活用した学習方法
学習形態や学習のプロセスに関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- eラーニングは、学習者自らが正解や知識を見つけ出す学習方法であり、アメリカの心理学者ブルーナーが提唱した発見学習の理論を背景としている。
- OCWとは、大人数の参加者を小グループに分けて自由な議論をした後に、代表者が発表して全体で共有する手法である。
- サイコエデュケーションは、カウンセリングは治療ではなく教育であるという考え方に基づき、川喜田二郎が提唱した。
- ICTの活用は、指導者と学習者の関係だけでなく、学習者同士のコミュニケーションも改善する可能性がある。
- ブレンディッドラーニングは、大学や大学院などの高等教育機関の講義とその関連情報を、インターネットを通じて無償で公開することである。
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正答:4
1. ×:eラーニングとは、インターネット等を積極的に活用した学習形態の総称である。
ブルーナーが提唱した発見学習の理論を背景としているのは、アクティブ・ラーニングなどである。
2. ×:これはグループ技法のバズ・セッションの内容である。
OCW(オープンコースウェア)は、大学等の講義や関連情報を、インターネットを通じて無償で公開する活動のことである。
3. ×:サイコエデュケーション(心理教育)の提唱者は、川喜田二郎ではなく國分康孝である。(川喜田二郎はKJ法の考案者)
心理教育とは、病気の人だけでなく健康な人も含め、よりよく生きるスキルを「学ぶ」プロセスのこと。クライエントを「患者」ではなく「学習者」と捉え、カウンセラーは「教育者」として関わるのが特徴。
4. ○:ICT(情報通信技術)の活用には、情報共有だけでなく、学習者同士のコミュニケーションを改善する可能性が含まれている。
5. ×:記述はOCW(オープンコースウェア)の内容である。
ブレンディッドラーニングとは、複数の学習方法(例:オンライン学習と対面研修)をブレンド(組み合わせ)し、効果的な学習につなげる手法である。
問3:アイデアの見える化や改善に役立つ方法
学習形態や学習のプロセスに関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- 学習者が主体的に調査、探求を行う中で、学習者自らが知識を発見していく過程を重視した学習指導法を、リフレクティング・アプローチという。
- 大量のアイデアを生み出すことを目的とする集団発想法であり、批判禁止、自由奔放、量を重視、便乗発展の4つの基本ルールがあるのは、ブレーンストーミング法である。
- カードや付箋などにアイデアを書き出し、グループ化、関係を図解することで、情報やアイデアを整理、分析するのは、KPT法である。
- ブレーンストーミング法とKJ法は、組み合わせて用いられることはない。
- 仕事やプロジェクトを振り返り、続けること、問題点、試みることの3つ要素を洗い出すのは、KJ法である。
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正答:2
1. ×:記述は発見学習(ブルーナー)の内容である。
リフレクティング・アプローチは、聞き手とクライエントのやりとりについてチームで意見を出し合い、それを踏まえて再度話し合うことで、視点の違いをエネルギーに変える手法である。
2. ○:ブレーンストーミング法(オズボーン提唱)の4原則(批判厳禁・自由奔放・質より量・便乗発展)として正しい。
3. ×:これはKJ法(川喜田二郎)の内容である。
KPT法は、Keep(続ける)、Problem(問題点)、Try(試みる)の3要素で振り返る手法である。
4. ×:ブレーンストーミングで出したアイデアを、KJ法で整理するなど、組み合わせて活用することは効果的である。
5. ×:これはKPT法の内容である。
KJ法は、カードや付箋を用いてアイデアをグループ化・図解し、整理・分析する手法である。
問4:対話と学びのグループ技法の種類
ワークショップに関する次の記述のうち、 最も不適切なもの はどれか。
- アイスブレイクは、研修に参加したメンバー間の関係が十分に形成されず、多種多様な意見交換が難しい場合に行うのが良い。
- ある特定のテーマについて、肯定側と否定側の立場に分かれ、定められたルールの中で議論を行い、どちらにより説得力があったかを判定するのは、ディベートである。
- リラックスした雰囲気の中で、メンバーの組み合わせを変えながら話し合い、あたかも全員で話し合ったかのような一体感と知恵を生み出す手法を、ワールドカフェという。
- 多人数の研修などにおいて、6人程度の少人数に分かれ、6分程度の話し合いを行い、その結果を全体にフィードバックする討議法を、バズ・セッションという。
- 自由でフラットな討議を行うために、少人数で、円卓を囲んで対等な関係で議論する討議形式をワールドカフェという。
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正答:5
1. ○:アイスブレイクは、初対面や雰囲気が硬い時に「心の氷を溶かす」ための手法として適切。
2. ○:ディベートの内容として適切。論理的思考力や説得力の向上を目的とする。
3. ○:ワールドカフェの内容として適切。席替えを行い、他テーブルの内容を共有するのが特徴。
4. ○:バズ・セッションの内容として適切。ハチの羽音(バズ)のように賑やかに議論する。6名×6分で行うものはフィリップス66とも呼ばれる。
5. ×:円卓を囲んで行うのはラウンドテーブルディスカッションである。
問5:多様な学習理論
学習理論に関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- 状況的学習の考え方は、学習が実践と社会的な文脈の中で行われることを示しており、企業のOJTやインターンシップの理論的な支えとなっている。
- 従来の学習理論で説明されてきた直接経験による学習に加え、観察学習による学習を強調したのは、構成主義的なアプローチである。
- 知識がどのように記憶、整理、利用されるかを探求し、学習者が自ら意味を構成する過程を重視するのは、行動的アプローチである。
- 行動的アプローチには、古典的条件付けと呼ばれるオペラント条件付けと、道具的条件付けと呼ばれるレスポンデント条件付けがある。
- 構成主義的アプローチでは、唯一の正解が存在するため、教員の役割は専門知識を使ってクライエントを正しい方向へ導くことが重視される。
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正答:1
1. ○:状況的学習(正統的周辺参加など)の内容として適切。
実践の現場へ参加し、メンバーや環境との関わりの中で学習が行われるという考え方。(類似:経験学習)
2. ×:観察学習(モデリング)を強調したのは、バンデューラの社会的学習理論である。
構成主義的アプローチは、個人の経験や認知を通して能動的に知識を構築することに焦点を当てる。
3. ×:記述は認知主義的アプローチの内容である。
行動的アプローチは、学習と行動の条件付け(変化)に着目する。
4. ×:組み合わせが逆である。
古典的条件付け=レスポンデント、道具的条件付け=オペラントである。
5. ×:構成主義的アプローチでは、唯一の客観的な正解はないと考える。
選択肢は、従来型の指導観(正解へ導く)に基づく記述である。
問6:教育評価
教育目標と学習評価に関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- ブルームは、教育目標を認知領域、情意領域、自己基準領域の3つに分類した。
- 改訂されたブルームのタキソノミーでは、認知領域を記憶・理解・応用・分析・評価・創造の6つの段階に分類している。
- 学習前に学習者の特性や事前知識などの状況を把握するために行う評価は、形成的評価である。
- 他の学習者の成績には影響されず、学習目標に到達しているかどうかで評価を行うのは、相対評価である。
- ルーブリック評価は、評価の観点と達成レベルの二軸で評価し、何がどの程度、できているのかを明らかにするものであり、相対評価の基準表として活用できる。
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正答:2
1. ×:3つ目は自己基準領域ではなく、精神運動領域である。
2. ○:改訂版ブルーム・タキソノミーとして適切。
当初の5段階から、2001年の改訂により「創造」が加わり6段階となった。
3. ×:学習前に行うのは診断的評価である。
形成的評価は学習の途中、総括的評価は学習の後に行う。
4. ×:これは絶対評価(目標準拠評価)の内容である。
相対評価は、集団内での順位や偏差値で評価するもの。
5. ×:ルーブリック評価は、絶対評価の基準を明確にするツールである。
問7:教育評価
学習評価に関する次の記述のうち、 最も不適切なもの はどれか。
- 教室場面での評価ではなく、社会で実際に直面する問題と同質な課題についての取組みの過程や、成果を評価するのは、オーセンティック評価である。
- 評価の種類について、プレゼンテーションやロールプレイにより、その場でどのように行動するかを評価するのは、パフォーマンス評価である。
- 絶対評価は目標準拠評価、相対評価は集団準拠評価とも呼ばれる。
- 筆記試験の正誤問題や選択問題は、評価者の主観を排除するため、ルーブリック評価表による評価が適している。
- 学習の終了時に、学習の成果や修了判定のために行う評価は、総括的評価である。
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正答:4
1. ○:オーセンティック(真正の)評価の内容として適切。
2. ○:パフォーマンス評価の内容として適切。
他にもポートフォリオ評価や観察評価などがある。
3. ○:記述の通り。
さらに自己基準評価は個人内評価とも呼ばれる。
4. ×:正誤問題等は客観的な正解があるため、ルーブリック評価表は不要である。
ルーブリックは評価が曖昧になりやすい記述式やパフォーマンス課題に適している。
5. ○:総括的評価の内容として適切。
問8:評価の留意点とその影響、態度の変容に関する理論
教育指導に関する次の記述のうち、 最も適切なもの はどれか。
- テストの形式や内容が学習方法に影響を与えることを、ピグマリオン効果という。
- グッドハートの法則とは、自分が持つ矛盾する2つの考えや認知の間に不快感を覚え、その不快感を和らげるために考えや行動を変化させようとする心理作用のことをいう。
- 注目されていると感じると、普段よりもやる気が出る現象のことを、キャンベルの法則という。
- 他者からの期待が低い場合に、本人のパフォーマンスを実際に低下させてしまう現象を、ホーソン効果という。
- 精緻化見込みモデルによると、情報の受け手の態度の持続的な変容を促す場合には、論理的で本質的な情報を提供する、中心ルートでのアプローチが効果的である。
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正答:5
1. ×:これはウォッシュバック効果である。
ピグマリオン効果は、他者に期待をかけると実際に相手がその期待に応えるようになる現象。
2. ×:記述はフェスティンガーの認知的不協和理論の説明である。
グッドハートの法則は、「ある尺度が目標になると、その時点で良い尺度ではなくなる」という法則である。
3. ×:注目されるとやる気が出るのはホーソン効果である。
キャンベルの法則は、指標が重視されすぎると不正や歪みの原因になることである。
4. ×:これはゴーレム効果(ピグマリオン効果の逆)である。
5. ○:精緻化見込みモデルの内容として適切である。
中心ルート(論理的理解)による説得は、持続的な態度変容につながりやすいが、周辺ルート(周辺的な手がかり)による変容は不安定である。