令和6年賃金構造基本統計調査のまとめと本試験レベル問題
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賃金構造基本統計調査に関する問題は、これまでに何度か出題されていますが、このページでは調査結果のほぼ全容を確認できます。
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賃金構造基本統計調査は、令和6年版が令和7年3月に公表されています。
調査について
賃金構造基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の「雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等に明らかにする」ものであり、1年に一度調査があり、結果が公表される。【厚生労働省】
賃金構造基本統計調査は、労働者の雇用形態、年齢、性別などの属性と賃金の関係を明らかにすることを目的としている。
以下に記載の金額や数字、%の( )は前年の金額や数字、%を表しています。
1.一般労働者の賃金
(1)賃金の推移
賃金は、男女計の平均は330,400円(318,300円)、男性350,900円(363,100円)、女性 262,600円(275,300円)となっており、男性を100とした場合の男女間賃金格差(男=100)は、75.8(74.8)である。
趨勢(トレンド):男女間賃金格差は、約76と押さえておきましょう。令和5年は前年と比べると、若干ですが拡大しましたが、令和6年は1ポイント縮小しました。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況P6
趨勢(トレンド):令和4年から6年にかけて、男女計、男性、女性ともに賃金の上昇がみられる。令和6年は男性3.5%、女性4.8%と増加率が大きい。
(2)性別にみた賃金
男女別に賃金カーブをみると、男性では、年齢階級が高くなるにつれて賃金も高くなり、55~59 歳で 444,100円(427,400円)と賃金がピークとなる。
女性では、45~49歳の298,000円がピークだが、男性に比べ賃金の上昇が緩やかである。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況P7
(3)学歴別にみた賃金
男女計では、高校288,900円、専門学校306,900円、高専・短大307,200円、大学385,800円、大学院497,000円となっている。
趨勢(トレンド):学歴が高くなると賃金が高くなる傾向が見られる。
(4)企業規模別にみた賃金
企業規模別に賃金をみると、男女計では大企業364,500円、中企業323,100円、小企業299,300円となっている。
大企業を100としたときの、企業規模間賃金格差は、男女計・年齢計では、中企業88.6(90.0)、小企業82.1(85.0)である。
男性では中企業88.2、小企業80.4、女性では中企業91.5、小企業86.1となっている。
趨勢(トレンド):前年よりも大企業との賃金格差は広がっている。また、企業規模間での賃金格差はあるものの、女性は男性に比べると、企業規模間の賃金格差は小さい特徴がある。
企業規模別に賃金カーブをみると、男女いずれも企業規模が大きいほど傾きは大きくなっており、男性は女性に比べてそれが大きい。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況P9
(5)産業別にみた賃金
産業別に賃金をみると、男女計では「電気・ガス・熱供給・水道業」(437,500円)が最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」(269,500円)が最も低い。
男性では「金融業、保険業」(514,200円)が最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」(301,000円)が最も低い。
女性では「電気・ガス・熱供給・水道業」(348,600円)が最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」(233,700円)が最も低い。
趨勢(トレンド):平均賃金の高い産業、低い産業には令和5年調査から変化はない。
(6)雇用形態別にみた賃金
雇用形態別の賃金をみると、男女計では、正社員・正職員の348,600円(336,300円)に対し、正社員・正職員以外は233,100円(226,600円)となっている。
雇用形態間賃金格差(正社員・正職員=100)は、男女計で約66.9であり、男女別では男性68.8、女性71.5である。
趨勢(トレンド):雇用形態間賃金格差は男性の方が大きく、特に40代~50代で格差が大きくなる。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況P13
(7)勤続年数階級別にみた賃金
勤続年数階級別に賃金をみると、賃金が最も高い勤続年数階級は、男女計では、30 年以上433,900円、男性では、25~29年457,700円、女性では、30年以上359,600円となっている。
趨勢(トレンド):勤続年数が長くなるほど賃金が高くなる傾向がある。男性が30年以上で若干下がるのは、継続雇用制度などの影響の可能性がある。なお、令和5年版にはない調査結果である。
出典:令和6年賃金構造基本統計調査の概況P14
(8)役職別にみた賃金
一般労働者のうち、雇用期間の定めのない者について、役職別の賃金をみると、男女計では、部長級が627,200円、課長級512,000円、係長級385,900円となっている。
趨勢(トレンド):役職が上がるにつれて金額が高くなっている。
(9)在留資格区分別にみた賃金
外国人労働者の賃金は平均242,700円で、在留資格区分別にみると、専門的・技術的分野(特定技能を除く)292,000円、特定技能211,200円、身分に基づくもの300,300円、技能実習182,700円、その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)226,500円となっている。
趨勢(トレンド):今回は「身分に基づくもの」が最も金額が高かったが、例年、「専門的・技術的分野」での在留資格の外国人労働者の賃金が高い傾向がある。
なお、身分に基づく在留資格とは、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、永住者、定住者の在留資格をいう。
(10)新規学卒者の学歴別にみた賃金
新規学卒者の賃金を学歴別にみると、男女計で高校197,500円(186,800円)、専門学校222,800円(214,500円)、高専・短大223,900円(214,600円)、大学248,300円(237,300円)、大学院287,400円(276,000円)となっている。
趨勢(トレンド):新規学卒者の賃金は上昇傾向にあり、前年より大きく上昇している。
(11)都道府県別にみた賃金
都道府県別の賃金をみると、全国計(330,400円)よりも賃金が高かったのは4都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)となっており、最も高かったのは、東京都(403,700円)となっている。なお、最も低いのは宮崎県(259,800円)である。
2.短時間労働者の賃金
(1) 性別にみた賃金
短時間労働者の1時間当たり賃金は、男女計1,476円、男性1,699円、女性1,387円となっている。
男女別に1時間当たり賃金を年齢階級別にみると、1時間当たり賃金が最も高い年齢階級は、 男性では50~54歳で2,434円、女性では、30~34歳で1,545円となっている。
(2) 企業規模別にみた賃金
企業規模別に1時間当たり賃金をみると、男女計では大企業1,413円、中企業1,638円、小企業1,424円となっている。
男性では、大企業1,527円、中企業2,089円、小企業1,605円、女性では、大企業1,365円、中企業1,458円、小企業1,358円となっている。
趨勢(トレンド):短時間労働者の場合は、男女いずれも1時間あたり賃金は、中企業が最も高い点に注意する。
(3)主な産業別にみた賃金
主な産業別に1時間当たり賃金をみると、男女計では、「教育、学習支援業」(2,627円)が、男性では「医療、福祉」(3,833円)、 女性では「教育、学習支援業」(2,219円)が最も高くなっている。
まとめは以上です。
本試験レベル問題
問題文と正答、解説はPDFファイル、Webページの両方で用意しています。
問1「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」(厚生労働省)で示された賃金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.一般労働者の男女間賃金格差は、男性を100とすると、女性は約85である。
2.性別にみた賃金では、男性は女性に比べ賃金の上昇が緩やかである。
3.産業別にみた賃金では、男女計では「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高い。
4.都道府県別にみた賃金では、全国計よりも賃金が高かったのは、東京都のみである。
【Bランク】正答と解説
正答:3
1.×:男性を100とすると、女性は約76(75.8)である。
2.×:逆である。女性は男性よりも賃金の上昇が緩やかであり、男性の方が賃金の上昇、下降の傾きが大きい。
3.○:男女計では、「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高い。
男女別では、男性は「金融業、保険業」が最も高く、女性では「電気・ガス・熱供給・水道業」が最も高い。最も低いのは男女計、男女別でも「宿泊業、飲食サービス業」である。
4.×:全国計よりも賃金が高かったのは4都府県(東京都、神奈川県、愛知県、大阪府)であり、東京都が最も高い。
問2「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」(厚生労働省)で示された賃金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.男女別に賃金カーブをみると、男性では、年齢階級が高くなるにつれて賃金が高くなり、55~59歳に賃金がピークとなる。
2.企業規模間での賃金格差はあるものの、女性は男性に比べると、企業規模間の賃金格差は小さい傾向がみられる。
3.正社員・正職員と正社員・正職員以外の、雇用形態別の賃金は、正社員・正職員を100とすると、正社員・正職員以外の男女計では70に満たない。
4.短時間労働者の賃金を、企業規模別に1時間当たり賃金でみると、男性、女性ともに大企業が最も高い。
【Cランク】正答と解説
正答:2
1.○:男性では55~59歳、女性は45~49歳がピークである。
2.○:大企業を100とすると、男性は中企業88.2、小企業80.4、女性では中企業91.5、小企業86.1となっている。
3.○:男女計で約66.9であり、男女別では男性68.8、女性71.5である。
4.×:男性では、大企業1,527円、中企業2,089円、小企業1,605円、女性では、大企業1,365円、中企業1,458円、小企業1,358円であり、男女ともに中企業が最も高い。
書籍:テキスト&一問一答(第4版)P128 合格問題集(第2版)P126、P130、P268