令和6年度能力開発基本調査【1企業調査:まとめ編】

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能力開発基本調査は、労働経済の分析と並び、よく出題される官公庁資料です。

これまで、第3回と第25回の試験を除いては、本稿執筆時点の第29回試験まで毎回出題されており、同じ回に2問出題されることも珍しくありません。

そのため、しっかりと対策を立てることが重要であり、十分に準備ができる資料とも言えます。これまでに出題された箇所や、未出題ながら出題が予想される内容を中心にまとめ編と問題編(会員限定)を作成しました。

【攻略アドバイス】
これまでの出題内容から、試験対策として、細かな数字などを暗記する必要はありません。
正社員と正社員以外ではどちらが多いのか?割合はざっと何割くらいか?ランキング1位は何か?などを想像しながら、Check Sheet機能をONにして、マウスオーバーまたはタップをしながら要点を確認していきましょう。

資料対策の秘訣は、ご自身の感覚とギャップのあったものをよく印象づけておくことです。資料原本はぜひダウンロードし、印刷してファイリングし、すぐに参照できるようにしておきましょう。まとめ編や問題編での【P××】は資料でのページ数を表しています。(全72ページ)

 令和6年度能力開発基本調査

「NEW」のマークは、令和6年度版で新たに公表された調査結果を表しますが、企業調査ではありませんでした。

(1)OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用について【P1】

①OFF-JTまたは自己啓発支援に費用を支出した企業の割合は54.9%であり、OFF-JTに支出した企業は49.4%、自己啓発支援に支出した企業は27.2%である。

②支出した費用の労働者一人あたりの平均額は、OFF-JTは1.5万円であり(前回と同じ)、自己啓発支援は0.4万円(前回より0.1万円増)である。

OFF-JT(1.5万円)自己啓発支援(0.4万円)

(2)能力開発の実績・見込みについて【P3】

・正社員へのOFF-JT、自己啓発支援への過去3年間の支出実績

過去3年間 増加 減少 実績なし
OFF-JTの費用の実績 23.5% 6.3% 48.6
自己啓発支援の費用の実績 12.1% 4.2% 69.8

・正社員に対するOFF-JT、自己啓発支援への今後3年間の支出見込み

今後3年間 増加予定 減少予定 実施しない予定
OFF-JTの支出見込み 37.0% 1.3% 39.0
自己啓発支援の支出見込み 30.7% 0.3% 54.7

・正社員以外へのOFF-JT、自己啓発支援への過去3年間の支出実績

過去3年間 増加 減少 実績なし
OFF-JTの費用の実績 8.6% 2.9% 70.4
自己啓発支援の費用の実績 4.3% 2.1% 82.2

・正社員以外に対するOFF-JT、自己啓発支援への今後3年間の支出見込み

今後3年間 増加予定 減少予定 実施しない予定
OFF-JTの支出見込み 19.3% 0.8% 62.2
自己啓発支援の支出見込み 16.3% 0.2% 72.0

※令和5年度版の調査結果に存在していた「(3)能力開発の考え方について」の記載がなくなりました。

(3)労働者に求める能力・スキルについて【P5】

 労働者に求める能力・スキルについては、正社員(50歳未満)、正社員(50歳以上)、正社員以外に分類して調査結果が発表されています。

ランキングは1位を確認しましょう。なお、令和5年度版から第1位の変動はありません。

≪50歳未満の正社員≫

 チームワーク、協調性・周囲との協働力(58.6%)

≪50歳以上の正社員≫

 マネジメント能力・リーダーシップ(55.0%)

≪正社員以外≫

 チームワーク、協調性・周囲との協働力(57.5%)

(4)事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者について【P6】

①事業内職業能力開発計画の作成状況

令和6年度能力開発基本調査を元に作表

・事業内職業能力開発計画は、「すべての事業所において作成している」とする企業と「一部の事業所においては作成している」の両者を合わせて全体の20%しかなく、「いずれの事業所においても作成していない」とした 企業が79.8%と多くを占めている。

・産業別で事業内職業能力開発計画の作成企業の割合が最も高いのは、「情報通信業」(37.1%)である。

令和5年度版では、「電気・ガス・熱供給・水道業」の割合が最も高かった。

②職業能力開発推進者の選任状況

令和6年度能力開発基本調査を元に作表

職業能力開発推進者は、「すべての事業所において選任している」とする企業が10.5%、「一部の事業所においては選任している」は6.1%であり、合わせて16.6%である。「いずれの事業所においても選任していない」企業が83.2%と多くを占めている。

・産業別で職業能力開発推進者の選任企業の割合が高いのは、情報通信業(33.7%)であり、唯一、3割を超えている。

・職業能力開発推進者を選任している企業における選任方法は、「本社が一人を選任し、すべての事業所について兼任させている」が63.0%で最も多い。

事業内職業能力開発計画は約8割が作成しておらず、職業能力開発推進者も約8割が選任していないという状況です。

なお、職業能力開発推進者は、キャリアコンサルタント等からの選任が推奨されています。

【職業能力開発推進者には、専門的な知識・技術をもつキャリアコンサルタント等から選任しましょう!:PDF

(5)教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務制度及び教育訓練所定外労働時間免除制度の導入状況について【P10】

  導入している 導入を予定している 導入する予定はない
教育訓練休暇制度 7.5% 9.1% 83.4
教育訓練短時間勤務制度 6.2% 10.0% 83.7
教育訓練所定外労働時間免除制度 6.1% 9.6% 84.1

・教育訓練休暇制度を導入している企業のうち、長期休暇(30日以上連続の休暇) の取得、有給休暇としての取得可否については、「長期休暇の取得はできないが、有給休暇として取得できる」が最も多い(56.4%) 。

プラスα:教育訓練休暇給付金制度

教育訓練休暇のある会社の労働者が、30日以上の無給の教育訓練休暇を取得した場合に、雇用保険から賃金の一定割合の支給が受けられる制度で、給付額は基本手当(いわゆる失業保険)と同じである。給付日数は雇用保険の加入期間に応じて、最大150日である。【厚生労働省

プラスα:サバティカル休暇

企業が従業員に対して、一定期間の長期休暇を与える制度のことであり、一般的に、数ヶ月から1年程度の期間が設定され、従業員は自己啓発や、専門知識、語学力取得などスキルアップなどのために休暇を取得する。

参考:有給休暇を積み立てる、積立休暇制度の導入事例を紹介する(事例3)。【厚生労働省:PDF

・教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務制度及び教育訓練所定外労働時間免除制度の導入予定がない理由の第1位

 代替要員の確保が困難であるため

第2位は「制度自体を知らなかったから」、第3位は「労働者からの制度導入の要望がないため」である。

企業調査のまとめ編は以上です。対応する問題編で知識を固めましょう(みん合☆プラス会員限定)。

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