令和6年度能力開発基本調査【2.事業所調査:まとめ編】
Check Sheet機能をOnにしてご確認ください。
事業所調査からは、キャリアコンサルティングの仕組みの有無、目的、効果に関する出題が特に多いです。資料を一読の際には、まずは内容を想像しましょう。自らや家族の勤務先ではどうか、照らし合わせてみましょう。細かな数字は暗記する必要はありません。Check Sheet機能を活用して、内容を確認をしていきましょう。
その内容がご自身の感覚とギャップがある場合には、よく印象付けておきましょう。まとめを確認したあとは、問題編(会員限定)で試験での出題に備えましょう。
「NEW」のマークは、令和6年度版で新たに公表された調査結果です。事業所調査では1項目ありました。
(1)教育訓練の実施に関する事項について【P12】
①OFF-JTの実施状況
OFF-JT:職場外での研修やセミナーを通じて体系的に知識やスキルを学ぶこと。
令和6年度能力開発基本調査より作表
・正社員または正社員以外に対してOFF-JTを実施したと回答した事業所は 73.8%である。
(内訳)
①正社員と正社員以外の両方に対して実施したのは29.0%である。
②正社員のみに対して実施したのは42.6%である。
③正社員以外のみに対して実施したのは2.2%である。
・正社員に対してOFF-JTを実施した事業所割合(①+②)は、71.6%である。
・正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所割合(①+③)は、31.2%である。
・OFF-JTを実施した事業所の割合を、産業別にみると、正社員、正社員以外ともに、「複合サービス事業」が最も高い。これは令和5年度版から変更はない。
複合サービス事業とは、郵便局や農業協同組合など、郵便事業や農業関連事業を行うとともに、銀行業務や保険業務、市町村等からの委託業務など、複合的にサービスを提供する事業所のことをいう。
・実施したOFF-JTの教育訓練機関では、正社員、正社員以外ともに「自社」の割合が圧倒的に高い。
・実施したOFF-JTの研修内容ランキング
新規採用者など初任層を対象とする研修(75.4%)
新たに中堅社員となった者を対象とする研修(47.5%)
・今後実施したいOFF-JTの内容
新たに管理職になった者を対象とする研修(35.4%)
マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)(34.6%)
※実施した&実施したいの1位は、令和5年度からの変化はありません。
②計画的なOJTの実施状況
OJT:職場で実際に仕事を進めながら業務に必要な知識やスキルを学ぶこと。
・正社員または正社員以外に対して計画的なOJTを実施したと回答した事業所は64.7%である。
(内訳)
①正社員と正社員以外の両方に対して実施したのは23.4%である。
②正社員のみに対して実施したのは37.7%である。
③正社員以外のみに対して実施したのは3.6%である。
・正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所(①+②)は61.1%である。
・正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所(①+③)は27.1%※であり、正社員に対する割合と比較して2分の1に満たない水準で推移し ている。
※P17の数値では合計27.0%と計算できるが、P18には27.1%の表記がある。
・計画的なOJTの実施状況を階層別にみると、新入社員が54.7%で最も多く、中堅社員、正社員以外、管理職層が続く。
・OJTを実施した事業所の割合を、産業別にみると、正社員では「金融業、保険業」、正社員以外では、「複合サービス事業」が最も高い。
・正社員、正社員以外ともに、企業規模別では規模が大きくなるほど実施率が高くなる傾向がある。
(2)人材育成について【P20】
・能力開発や人材育成に関する問題点
能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は、79.9%であり、約8割の事業所で、能力開発や人材育成に関する問題があることがうかがえる。
・「問題がある」事業所の問題点ランキング
指導する人材が不足している。(59.5%)
人材を育成しても辞めてしまう。(54.7%)
人材育成を行う時間がない。(47.4%)
ランキング上位に令和5年度からの変化はない。
令和5年度版ではこの後に「②人材開発支援助成金の利用状況」の記載があったがなくなった。
(3)労働者のキャリア形成支援について【P21】
①キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況
・正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は、50.0%である。
・(実際に一人以上)正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、49.4%である。
・(実際に一人以上)正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、31.4%である。
今回 | 前回 | |
正社員 | 49.4% | 41.6% |
正社員以外 | 31.4% | 24.7% |
正社員、正社員以外ともに、増加傾向がみられる。
・産業別では正社員、正社員以外ともに「金融業・保険業」の割合が最も高い。これは令和5年度版でも同様であった。
・企業規模別にみると、「1000人以上」の割合が、正社員(71.1%)、正社員以外(42.0%) ともに最も高くなっている。
・キャリアコンサルティングの実施時期(令和5年度から変更なし)
最も多い実施時期 | |
正社員 | 1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する |
正社員以外 | 労働者から求めがあった時に実施する |
・キャリアコンサルティングを行う目的ランキング(令和5年度から変更なし)
«正社員・正社員以外ともに»
労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため。
労働者の自己啓発を促すため。
・キャリアコンサルティングを行った効果ランキング
«正社員・正社員以外ともに»
労働者の仕事への意欲が高まった
自己啓発する労働者が増えた
・キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上での問題点がある事業所は正社員で69.2%、正社員以外で68.0%である。
・キャリアコンサルティングを行う上での問題点は、正社員は「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」が最も多く、正社員以外は「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多い。
令和5年度版では、正社員、正社員以外ともに、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多かった。
・事業所で相談を受けているのがキャリアコンサルタントであるのは、11.2%である。
・キャリアコンサルティングを行うしくみがない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由で最も多いのは、正社員、正社員以外ともに「労働者からの希望がない」である。
②ジョブ・カードの認知状況
・ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は1.9%である。
令和5年度版では、「ジョブカードの活用法」や「活用していない理由」が記載されていたが、なくなった。
③労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組について
・労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した施策として、正社員では「上司による定期的な面談(1on1ミーティング等)」(68.3%)が最も多い。
④労働者の自己啓発に対する支援の実施状況
・正社員を雇用する事業所のうち、自己啓発の支援を行っている事業所の割合は85.4%である。
・正社員以外を雇用する事業所のうち、自己啓発の支援を行っている事業所の割合は63.4%である。
・自己啓発に対する支援の内容は、正社員、正社員以外のいずれも、「受講料などの金銭的援助」が最も多い。
(4)労働者の能力開発と処遇への反映について【P30】
・労働者の能力開発を処遇に反映させている事業所は71.8%であり、反映させていないのは28.2%である。
・反映の内容では、正社員、正社員以外ともに「賃金( 賞与・給与)の引上げ( 一時金又は手当の支給を含む)」が最も多い。
(5)労働者の職業能力評価について【P31】
①職業能力評価の実施状況
・正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は53.1%である。
・正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対して職業能力評価を行っている事業所は37.2%である。
②職業能力評価の活用方法
・職業能力評価の活用方法は、「人事考課( 賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等) の判断基準」(85.8%) が最も多い。
③職業能力評価における検定・資格の利用状況
・職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は79.9%である。
・職業能力評価に利用している検定・資格については、「国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」が72.6%で最も多い。
・職業能力評価において技能検定等の検定・資格を利用している事業所のうち、検定・資格を「賃金の引上げに反映させている」とする事業所は83.0%である。
(6)技能検定について(P35)
①技能検定の認知状況
・技能検定を知っているとした事業所の割合は総数で47.1%であり、産業別では「建設業」(66.3%)が最も高い。
推測だが、これは建設関係の技能検定が多く存在するためと思われる。
②技能検定の利点、活用方法
・技能検定を知っているとした事業所のうち、技能検定に利点を感じるとした事業所は総数で86.0%となっている。
③技能検定の問題点
・技能検定に問題を感じるとした事業所は総数で69.7%となっており、産業別にみると、「医療、福祉」(89.6%)が最も高い。
推測だが、「医療、福祉」関連の技能検定がほとんど存在しない状況が影響していると思われる。
・技能検定の問題点の内容をみると、「技能検定の試験実施回数や試験地が限られている」(41.9%)が最多であり、次いで「技能検定の対象や試験内容が現場で必要な技能と合っていない」(39.0%)である。
(7)技能の継承について【P40】
・技能継承の取組を行っている事業所は84.6%であり、産業別では、「製造業」(94.9%)、「建設業」(94.3%)、「学術研究、専門・技術サービス業」(93.4%)で9割を超えている。
・取組の内容の内訳では、「中途採用を増やしている」が最も多い(56.4%)。
2事業所調査のまとめ編は以上です。対応する問題編で知識を固めましょう(みん合☆プラス会員限定)。