論述試験対策を考える。




第1回キャリアコンサルタント試験で新たに試験内容となった実技試験の「論述」問題。試験実施後のアンケートでも「出題に戸惑った」というご意見が多く、対策をどうしたらよいのかというお問い合わせも頂いています。

勉強会においても話題になることが多いため、第1回試験の日本キャリア開発協会(JCDA)での出題内容について、私の感じたところを綴っておきますので、試験対策の参考にしていただければ幸いです。(2016年10月11日現在の所感です)

なお、過去問をWEBに掲示することは試験団体の規約に違反してしまうためできません。ご了承ください。実際に出題された問題については下記よりダウンロードすることができますので、まだ入手していない方は、是非ご確認ください。

日本キャリア開発協会(JCDA)過去問題

論述試験の配点について

2つの設問から成り、いずれも配点は25点で合計50点。内訳は設問1が各5点×5問、設問2の内訳は不明です。合計50点満点で、平均点は34.2点と発表されています。合格のために下回ることができない基準点は40%(20点)に設定されていますが、平均点をみると、基準点を下回ってしまった方は少ないのではないかと予想しています。

論述試験の解答のポイントについて

設問1について

設問1は、キャリアコンサルタントの応答が「相応しい」のか「相応しくない」のかを理由とともに解答させる問題でした。養成講座等で学んだ、コンサルタントの基本的な姿勢と照らしてみると、「相応しい」か「相応しくないか」については判別しやすい応答でした。

長文の記述が必要な設問2に比べると解答のし易さがあり、基準点をクリアするために手堅く得点しておきたい設問1でした。ただし、記述に時間のかかる設問2のため、時間的には早めに解答作業を終えたいところです。

設問2について

二つの事例(カウンセリング逐語録)の違いを5つ以上の指定語句を使用して350字以上400字以内で記述をさせる問題でした。このような記述式問題の場合は、条件を守ることが第一です。かつてのCDA資格認定試験においては、論述の字数をクリアしていないと採点しない旨が公表されていました。今回はそのような発表はありませんが、条件を満たしていない場合には、『採点してもらえないかもしれない』と思っていた方が良いでしょう。内容に自信がなくても、条件はクリアしましょう。

合格答案への最低条件=明記された用語選択や字数制限の回答条件を遵守すること

2つの事例については、一読してみると「良い面談」、「悪い面談」であるかは、養成講座を受講した方でしたら判読できたと思います。

字数と用語選択、アンダーライン以外は特に指示はなく、どのように論旨を展開するかについては、受験者に任されていました。

そのため、対比させたり、良い事例、悪い事例について指定用語を用いて解説したりと、論旨展開には様々な方法があるかと思いますが、大切なことは①字数制限、②用語使用(5つ)、③指定語句にアンダーラインを引く、という今回の設問の条件を遵守することが、合格答案作成に必要です。

条件を守っていない場合は、採点されないかもしれない、と心構えしておきましょう。

対策はどのように行うか?

出題の趣旨は、設問1も2も、「傾聴」でした。これは座学的に学ぶというよりも、面接(ロープレ)対策が最も効果的と感じていますが、強いて言うならばテキストや養成講座での下記の内容を復習して理論的な裏付けを確認しておくことも有効です。

TEXT1 キャリアカウンセリングとは何か

TEXT5 キャリアコンサルティングに必要なスキル 支援スキルなど

今回の問題で感じたことは、日本キャリア開発協会(JCDA)の論述においては、やはり同団体が最も大切にしている「傾聴」に重きを置いたカウンセリングをカウンセラーが心がけているかどうかが、問題用紙上で問われていました。

・自分の価値観や思い込みや興味本位で質問をしていないか?

・解決を急がず、じっくりと傾聴してクライエントに寄り添っているか?自己探索を促せているか?

・事柄にばかり注目していないか?

支援の基本スタンスとも言うべきカウンセリングの姿勢に照らし、各事例がそれに相応しいのか相応しくないのかを論じさせる問題でした。

 

対策は面接対策をベースに。

まさにそれは、「面接試験対策のロープレ」で繰り返し練習し、自らのクセなどを実感して修正し、改善するプロセスで体得できることでもあります。

問題用紙の事例は、ある意味、悪いロープレと良いロープレ。

今回の論述試験の内容を見ていると、まさに「面接対策」が有効と私は感じました。私もロープレではとても苦労しましたが、無意識で自らの価値観や興味に基づいた応答をしていないか、じっくりと第三者にも検証してもらい練習することが、今回のような論述試験にも対応できるものと感じています。

養成講座で学んだイケてない事例でこんなものがありました(笑)

クライエント:実は、今度、結婚するんです…。

カウンセラー:それはおめでとうございます!(で、いつ?どこで?誰と?)

みたいな…(大汗)

カウンセラーは悪い人ではないのかもしれません。ラポール形成のため?思い込みと興味を全開にして質問をしています(汗)が、価値判断や正誤判定は要らないのがカウンセリングです。

話題を元に戻しまして、今回のような意図で引き続き出題がされるのであれば…。

「傾聴」に重きを置いた、従来からの面接対策(ロープレ)対策が最も有効と考えています。

座学的にアプローチするよりは、実際に傾聴のスキルを磨く、ロープレ対策が良いというのが私の感想です。

そして、論述試験の平均点の高さ(34.2点/50点)を比して、面接試験の平均点の低さ(54.3点/100点)を見る限り、今回の日本キャリア開発協会(JCDA)の実技試験の合否を分けたのは、面接試験だったことが推測されます。

合否をわけるのは、面接試験!

CDA資格認定試験と同じく…、この試験の攻略法は下記に尽きるのではないでしょうか。

ロープレを繰り返し、丁寧にやっていきましょう。

また、試験対策に直結するような即効性はありませんが、せっかくカウンセリングを学ぶ機会を得たのですから、書籍などでこの世界を見渡してみるのも勉強になります。

私もいろいろ読んでみたのですが、特に良かったのはこちら。

やさしいカウンセリング入門 古宮昇著

本書のレビュー記事こちらのページへ。

プロカウンセラーの聞く技術 東山紘久著

合格目指して、頑張っていきましょう。応援しています。