3-1カウンセリングの技能【テキスト編】
Check Sheet機能をご活用ください。
テキスト&一問一答(第4版)P216~P221
全体をつかもう
この出題範囲からは、概ね1問から2問の出題があります。システマティックアプローチや、アイビイのマイクロカウンセリングなどは、キャリアコンサルタントとして共通に身につけておきたい技能です。学科試験対策のみならず、実技試験対策や実務においても重要な内容です。
包括的・折衷的アプローチ
キャリア・カウンセリングは、ある特定のカウンセリング理論や療法に偏ることなく、様々な理論や療法を「包括的・折衷的」に活用することが求められる。
そして、包括的・折衷的なアプローチでは、システマティックアプローチ、コーヒーカップ・モデル、ヘルピング、マイクロカウンセリングといったカウンセリングプロセスや技法を用いる。
システマティックアプローチ
キャリア・カウンセリングにおいては、クライエントとの間に良い人間関係(ラポール、リレーション)をつくった上でともに目標を定め、目標への計画を立て、計画を達成する方策などを体系的に進めるアプローチを取る。
このアプローチは一般に、システマティックアプローチといい、次のプロセスにより行われる。

なお、システマティックアプローチは、ペザンソンとデコフによって執筆された、カナダ雇用移民省の「個人雇用カウンセリング-システマティックアプローチ」により、1980年代に日本に導入された。
コーヒーカップ・モデル
コーヒーカップ・モデルは、國分康孝によって提唱されたカウンセリングモデルである。そのプロセスはコーヒーカップの断面図に似ていることから、コーヒーカップ・モデルと名付けられた。
コーヒーカップ・モデルは、次のようなプロセスによりカウンセリングが行われる。
①面接初期では、クライエントとのリレーション(信頼関係)をつくる
②面談中期では、クライエントの問題をつかむ
③面談後期では、問題の解決を試みる
カウンセラーは、いま相談過程のどの地点にいるのかを点検しつつ、カウンセリングを進めることが大切である。
ヘルピング
ヘルピングは、カーカフによって提唱されたカウンセリングモデルである。このモデルでは、カウンセラーをヘルパー、クライエントをヘルピーと呼ぶ点が特徴的である。
ヘルピングは、次のプロセスによって行われる。
▼カーカフのヘルピングのプロセス
| プロセス | 内容と具体的な技法 |
| ①事前段階 (かかわり技法) | ラポールを形成する。具体的技法には、かかわりへの準備、親身なかかわり、観察、傾聴の4つの技法がある |
| ②第1段階 (応答技法) | 言葉による応答を繰り返し、ヘルピーの現在地を明らかにするための自己探索を目指す。具体的技法には、事柄への応答、感情への応答、意味への応答がある |
| ③第2段階 (意識化技法) | ヘルピーの目的地を明らかにするための自己理解を目指す。具体的技法には、意味、問題、目標、感情の意識化の技法がある |
| ④第3段階 (手ほどき技法) | 目標達成のために計画を立てて、実行する段階である。具体的技法には、目標の明確化、行動計画の作成、スケジュールと強化法の設定、行動化の準備、各段階の検討がある |
| ⑤援助過程の繰り返し | ヘルピーの反応や行動の結果によって援助が繰り返される |
得点アップ
カーカフのヘルピングのプロセスの覚え方:かか お い て くり
マイクロカウンセリング
マイクロカウンセリングは、アイビイらによって開発された、カウンセリングの基本モデルである。アイビイは、様々なカウンセリングにかかわるうちに、多くのカウンセリングに共通して見られるパターンがあることに気づき、それを技法と命名し、マイクロ技法の階層表として表した。
階層表の下からみると、かかわり行動は、クライエントとのラポール(信頼関係)構築に重要な、視線の位置、言語追跡、身体言語、声の質の4つのパターンからなる。
基本的傾聴の連鎖は、かかわり行動を土台にして「聴く」技法である。クライエント観察技法、開かれた質問、閉ざされた質問、はげまし、いいかえ、要約、感情の反映を適宜、連鎖的に行う。それに意味の反映を含めたものを、基本的かかわり技法という。
また、マイクロカウンセリングの技法では、傾聴を基礎としながら、カウンセラーが能動的なかかわりを行うことによって、クライエントの問題解決への行動を促す。それらを積極技法といい、主な内容は次のとおりである。
▼マイクロカウンセリングの積極技法の内容
| 技法 | 内容 |
| 指示 | クライエントにどのような行動を取ってほしいかを明確に示すこと |
| 論理的帰結 | クライエントの行動により予測される良い結果や悪い結果を考えるよう促すこと |
| 解釈 | クライエントの状況に関する新しい観点を与えること |
| 自己開示 | カウンセラー自らが自分の考えや経験をクライエントに伝えること |
| 助言、情報提供、教示 | クライエントにカウンセラーの考えや情報を伝えること |
| フィードバック | カウンセラーもしくは第三者がクライエントをどのように見ているかを伝えること |
| 発言の要約 | カウンセラーが助言、コメントしたことを要約して伝えること |
階層表にある技法を折衷的に活用できるようになると、技法の統合の域に達したといえる。
ブリーフ・セラピー
ブリーフ・セラピーは、個人の病理には焦点を当てずに、解決に焦点を当て、「短期間(ブリーフ)で問題解決」を試みる心理療法である。未来志向型の療法であり、アメリカのミルトン・エリクソンに影響を受けた人たちが技法化した療法である。なお、青年期におけるアイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱したのは、エリク・ホーンブルガー・エリクソンで別人である。
ブリーフ・セラピーの一つに、解決志向アプローチがあり、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)とも呼ばれる。
ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)の技法には、ミラクル・クエスチョン、例外探しの質問(例外の質問)、コーピングの質問、スケーリングの質問、関係性の質問等がある。
▼ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)の質問の種類
| 内容 | 質問の名称 |
| 「寝ている間に奇跡が起こり、問題解決したとして、昨日とはどのような違いから奇跡が起きたことを知りますか」と、解決の姿を知るための質問 | ミラクル・クエスチョン |
| 「すべてがうまくいかない」という人に「うまくできたことがありませんか」と例外がないかを確認するための質問 | 例外探しの質問 |
| 「大変な状況の中で、どのように乗り越えたのですか」とクライエントの回復力などを評価するために行う質問 | コーピングの質問 |
| 「最高を10、最低を1として、今はどれくらいですか」と良いとき、悪いときの具体的な差異を明らかにする質問 | スケーリングの質問 |
| 「あなたの大切な人が、今のあなたの努力を見たら、どんな言葉をかけてくれると思いますか」と他者の視点を通じて自身の気づきや解決策を得る質問 | 関係性の質問 |
テキスト編は以上です。一問一答編で知識を確認しましょう。