3-4相談過程において必要な技能(後半)【テキスト編】
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テキスト&一問一答(第4版)P242~P249
仕事の理解の支援
仕事理解とは、職業理解とも表現され、具体的には、職業、産業、事業所、雇用・経済・社会状況について理解することをいう。
厚生労働省編職業分類
厚生労働省は、職業安定法に基づき、公共職業安定所(ハローワーク)における職業指導や職業相談などの職業紹介業務に共通して使用する職業分類を定めている。これを、厚生労働省編職業分類といい、2022年に改定が行われた。
2022年の改定では、それまでの大・中・小・細分類から、細分類が原則廃止され、大・中・小分類の三分類になった点には注意が必要である。また、最終的に分類された職業名の数は18,725となった。
厚生労働省編職業分類と日本標準職業分類の関連
公的な職業分類には他に、総務省が作成する日本標準職業分類がある。厚生労働省編職業分類は、統計の観点では日本標準職業分類に対応しつつも、求人・求職のマッチングをより円滑に行うため、より柔軟に社会構造の変化に対応できる職業分類として作成されている。
また、職業ではなく産業の分類では、総務省が作成する日本標準産業分類がある。
▼厚生労働省編職業分類・日本標準職業分類・日本標準産業分類の違い
| 分類 | 内容 |
| 厚生労働省編職業分類 | 厚生労働省が職業安定法に基づいて作成しており、ハローワークの職業紹介等において使用される分類で、大分類(15)、中分類(99)、小分類(440)の3階層に分類されている |
| 日本標準職業分類 | 総務省が法令に基づく統計基準として作成しており、大分類(12)、中分類(74)、小分類(329)の3階層に分類されている。国際労働機関(ILO)の国際標準職業分類との整合性が考慮されている |
| 日本標準産業分類 | 総務省が作成しており、産業を大分類(20)、中分類(99)、小分類(530)、細分類(1,460)に分類している。産業とは、財またはサービスの生産と供給において類似した経済活動を統合したものであり、実際上は同種の経済活動を営む事業所の総合体と定義される |
職業情報の分析
職業情報のための分析手法には、職務分析、職務調査、職業調査がある。中でも職務分析は、同一労働同一賃金やジョブ型雇用における重要な基礎資料となる。
▼職務分析・職務調査・職業調査の違い
| 手法 | 内容 |
| 職務分析 | 仕事の内容と責任(職務の作業内容)、要求される能力(職務遂行要件)を調査、分析して、それを一定の様式に記述する |
| 職務調査 | 「期待される人間像」を把握することに重点を置いて職務を把握する |
| 職業調査 | 仕事の内容だけではなく、入離職や労働条件等、広く職業全体を調査する |
ハローワークインターネットサービス
2020年のサイトリニューアル以降、スマートフォンやタブレットにも対応し、求職者及び求人者マイページを開設することができる。求人情報の検索のみならず、職業訓練(ハロートレーニング)の検索も可能である。
▼マイページでできること
| 求職者側 | 求人者側 |
| ・求人情報の検索 ・ 求人への直接応募(オンライン自主応募) ・求職活動状況の確認 ・メッセージ機能の活用 ・求職者情報の確認や変更 |
・求人の申込み(仮登録) |
ハローワークインターネットサービスで得られる情報等については細かな内容が問われることがあるため、サイトの内容は一度、実際にアクセスし、よく見ておく必要がある。
職業情報提供サイト
職業情報提供サイト(ジョブタグ)は、ジョブ、タスク、スキル等の観点から職業情報を見える化し、求職者等の就職活動や企業の採用活動等を支援するために厚生労働省が設置しているサイトである。
職業情報提供サイトでは、どのような職業があるのか、その職業ではどのような仕事、作業が行われるのか、それに必要なスキルや知識や、就業するための入職経路や賃金(年収)のデータ等を知ることができる。
就業経験のない人、再就職先を探している人などの個人での利用、学生のキャリア形成を支援する人、求職者への職業相談・職業相談を行う人などの支援者としての利用、企業内の人材活用に取り組む人などの企業での利用を想定しており、キャリアコンサルタントなどが行う相談、支援の際にも、無料で活用することができる。
職業情報提供サイトは、ハローワークインターネットサービスと連携しており、例えば、職業検索の結果から、その職業の求人検索をすることができる。
▼職業情報提供サイト(job tag)の機能と特徴
| 機能 | 特徴 |
| 職業検索・職業情報提供 | 約500種の職業情報では、職業解説・職業動画・しごと能力プロフィール等を掲載 |
| 自己診断ツール | 職業興味検査、仕事価値観検査、職業適性テスト(Gテスト)、しごと能力プロフィール検索等の自己分析ツールから適職を探すことができる |
| キャリア分析 | これまでの職歴から、スキルなどの自分のしごと能力プロフィールを作成できる |
| 人材採用・要件整理 | 求める人材の職務要件シート(求人票)を作成できる |
| 人材活用シミュレーション | 企業内の教育訓練・人材育成に際して、必要なスキル・知識等を明らかにすることができる |
| マイリスト | 検索した職業や、キャリア分析・人材活用シミュレーションの結果等を保存する機能 |
職場情報総合サイト
職場情報総合サイト(しょくばらぼ)は、各企業の働き方や採用状況に関する職場情報を検索・比較できるサイトであり、厚生労働省が開設している。
職場情報とは、企業の残業時間(時間外労働時間)や有給休暇取得率、平均年齢、女性活躍や育児・仕事の両立などの職場の様々な情報を指し、サイトで企業を検索、比較することができる。なお、くるみん認定、えるぼし認定、ユースエール認定などの認定を受けた企業や、グッドキャリア企業アワードの受賞企業の検索もできる。
学生や求職者にとっては、希望条件に合った企業の選択に役立ち、入社後のミスマッチを防止でき、企業にとっては職場情報を開示することで企業のPRや優秀な人材の獲得につながる。
厚生労働省では、ハローワークインターネットサービス(求人情報)、職業情報提供サイト(職業情報)、職場情報総合サイト(職場情報)の3つのサイトを就職活動で活用することを提案している。
自己啓発の支援
自己啓発の支援では、特に啓発的経験の重要性が問われる。啓発的経験の例をおさえておく。
啓発的経験
啓発的経験とは、職業選択や意思決定の前に実際に体験してみることであり、インターンシップ、職場見学や職場体験、トライアル雇用等が例として挙げられる。啓発的経験は、その事前事後の指導の意義が大きいことに留意する。
▼インターンシップとトライアル雇用
| 種類 | 内容 |
| インターンシップ | 学生が企業等において、就業前に、実際に就業体験を行うことをいう。その期間は汎用的能力活用型インターンシップでは5日間以上、専門活用型インターンシップでは2週間以上であり、無給の場合と有給の場合がある |
| トライアル雇用 | 特定の対象者(求職者)を、ハローワーク等の紹介により、原則3ヶ月試行的に雇用し、企業と労働者の両者が合意すれば無期雇用へ移行する制度のことである |
意思決定の支援
クライエントが自己理解や仕事理解を深めた後には、クライエント自らが目標を設定し、その目標達成のための支援を行うこととなる。
目標設定の意義
カウンセリングの初期の段階で具体的な目標を、キャリアコンサルタントとクライエントの共同作業により設定することが大切である。目標設定には、次のような意義がある。
①目標はクライエントが行動することを援助するものであり、それは固定的なものではなく、変更可能なものである
②目標が宣言され、それが到達可能であることが最も人を動機づける
③目標により、キャリアコンサルティングの進展を客観的に測定し、評価することができる
④目標により、キャリアコンサルティングを合理的に進めることができる
意思決定の意義
意思決定とは選択を決定することであり、その前提は次のとおりである。
①クライエントは受動的ではなく、積極的な役割を果たす
②一つを選択するということは、他を捨てることである
③意思決定には不確実性が伴うため、複数の可能性を見出す
④意思決定は内容もさることながら、タイミングも重要である
学習方策の意義
学習には就職やキャリア形成に関連した技能(スキル)を学習することだけではなく、不適切な習慣を取り除き、適切な習慣を学習することも含まれる。
方策の実行の支援
方策の実行の支援においては、キャリアコンサルタントは方策の実行のマネジメント、助言を行う。
方策の実行のマネジメント
方策の実行は、一般的に次のステップにより実施される。キャリアコンサルタントは方策の進捗状況を把握し、現在の状況をクライエントに理解させ、今後の進め方や見直し等について、適切な助言を行う。
▼方策の実行のステップ
① 複数の方策から、選択肢のメリット・デメリットを比較検討し、適切な方策をクライエントが一つ選ぶ
② 方策を実行するプロセスを、利点・損失を含め、クライエントに説明する
③ 方策がクライエントのニーズに合わない場合には、方策を変更する
④方策達成のためにクライエントと契約を結ぶ。ときには契約書を取り交わすこともある
⑤ クライエントが方策を自分の責任で実行する。キャリアコンサルタントも役割を実行する
⑥実行について確認する。していない場合には実行するか、他の支援を行う
新たな仕事への適応の支援
方策の実行の結果、就職の後も、支援の姿勢を持ってクライエントに接することが、新たな仕事への適応を図るためにも大切である。新たな仕事に就いた後のフォローアップも相談者の成長を支援するために重要である。
相談過程の総括
相談過程の総括においては、キャリアコンサルティングの評価を、クライエントとキャリアコンサルタント両者で行い、クライエントに終了の同意を得た上でキャリアコンサルティングを終了する。
成果の評価
相談過程の総括においては、クライエントとキャリアコンサルタントが、目標に対してどこまで到達したかの成果を評価する。そして、クライエントの同意を得た上で、キャリアコンサルティングを終了する。その際、ケース記録は整理して保存する。終了後は必要に応じてフォローアップを行う。
キャリアコンサルティングの評価
キャリアコンサルティングの終了後には、キャリアコンサルタント自身が、自分自身の成果に対して、できるだけ客観的な評価を行う。その評価の基準の源は3つあり、第一にキャリアコンサルタント自身の反省と学習、第二にクライエント自身の受け止め方、第三にスーパーバイザー等の第三者の評価がある。
テキスト編は以上です。一問一答編で知識を確認しましょう。