第11次職業能力開発基本計画(第2部)【まとめ編】

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 第11次職業能力開発基本計画

このページでは、第2部「職業能力開発をめぐる経済・社会環境の変化と課題」のまとめをお届けします。第11次職業能力開発基本計画のスライド5からスライド11をご参照ください。この書類にはページ数がありませんのでご注意ください。

第2部 職業能力開発をめぐる経済・社会環境の変化と課題

第2部では、近年の雇用経済の変化と課題について整理しています。第11次職業能力開発基本計画では、令和2年からのコロナ禍による影響をふまえ、現状を認識し、課題を設定しています。

近年の労働市場の変化と課題

近年、日本経済は緩やかな回復基調にあり、雇用情勢は着実に改善し、令和元年の完全失業率は2.4%まで低下、平成30年8月の有効求人倍率は1.63倍まで上昇した。

しかし…。

令和元年後半からの中国経済の減速の影響や、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和2年の完全失業率は2.8%まで上昇、有効求人倍倍率は1.18倍まで低下しており、今後の雇用情勢には注意が必要である。

労働「需要」側の構造的な変化と課題

①第1次(農業等)や第2次(建設業や製造業等)から第3次(サービス業等)産業への労働需要の構造的な変化が起きている。特に医療福祉の就業者の割合が高まってきている。

②定型的な作業が多い職種の労働需要は減り、IT技術に代替されない職種の需要が高まる。

③感染拡大の防止と経済活動の両立の実現に向けて、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化が促進される。そのため、IT人材の確保は、情報通信業だけでなく幅広い業種で重要になる。

→非正規雇用労働者の能力開発機会の確保をはじめ、「失業なき労働移動」のため、産業構造の変化に対応した一人ひとりへの能力開発が重要である。

労働「供給」側の構造的な変化と課題

少子化の進展により、我が国の人口は平成20年の1億2808万人をピークに減少している(参考:令和3年5月1日現在1億2536万人)。そのため一人ひとりの労働生産性を高めていくことが重要である。

潜在的なものも含めた労働力(労働供給)には、特性ごとに以下の状況や課題がある。

①国際比較をみると、高齢者の就業意欲が髙い。

②女性の潜在的な労働力率と現実の就業率にはギャップがある。

③平成23年以降、転職者数は緩やかに増加傾向であり、「より良い条件の仕事を探す」ことを目的とする転職は増加している。

④雇用形態では、非正規雇用労働者数が増加している。

これについて補足すると、第10次の対象期間中(平成28年度〜令和2年度)の非正規雇用労働者数は、平成28年度の2024万人から令和元年度に2163万人まで増加しているが、令和2年度には11年ぶりの減少に転じ、2066万人と97万人もの大幅減少となっている。5年間で42万人増加しているとも言えるが、今後の動きに注意が必要である。

⑤ニート数の推移は、平成26年から令和元年までは50万人台で横ばいであったが、令和2年には前年比で69万人と13万人の大幅な増加となっている。

資料では「ニート」と表現されている「若年無業者」については、2020年(令和2年)の労働力調査の数値が資料に引用されている。

若年無業者数の推移を確認すると、近年は大きな変動が無かったが、2020年(令和2年)に15〜24歳の年代のみで、13万人増加している。

 労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約(P17)

⑥障害者の新規求職申込件数が増加しており、障害特性やニーズに応じた就職の実現のための環境整備が必要である。

⑦労働者の自己啓発への取組割合では、正規雇用労働者の取組割合が相対的に髙いが、正規、非正規ともに時間・費用による制約を問題としている。また、適切なコースや目指すべきキャリアがわからないなど、キャリアコンサルティング等の支援の重要性が示唆される。

⑧20代及び30代を中心に地方移住への関心の高まりや、パソコンを上回る世帯保有率のスマートフォンの急速な広まりなど、ライフスタイルやデジタル技術の変化にも留意する。