第10回問11~問15の解き方

第10回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.キャリアに関する理論

 頻出のレビンソン、エリクソンについて理解しておけば正答を導くのは難しくはないものの、判断の難しい選択肢がありました。

1.○:レビンソンは児童期と青年期、成人前期、中年期、老年期の4つの発達期に分け、成人前期から中年期への移行期を「人生半ばの過渡期」と呼んだ。【岡田先生P78】

2.×:ユングではなく、エリクソンの説明である。エリクソンはアイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱し、それの形成を青年期の危機を示す用語であるとした。【岡田先生P79】

なお、ユングは、40歳から50歳の時期を「人生の正午」とし、「転換期」であり、「危機」であるとした。

3.×:中年期は岐路や危機と位置づけられ、比較的安定した時期とはいえない。なお、ブリッジズ以降の文章は第9回問11と同様の文章である。【岡田先生P82】

4.×:出典は不明であるが、ジェラットといえば、「積極的不確実性」を主要概念とする意思決定の枠組みを提示した。【渡辺先生①P99、②P119】

問12.キャリアに関する理論

 第9回に続き、シュロスバーグの4Sが問われました。頻出です。必ず取りましょう。

1.○:Situation(状況)、Self(自己)、Support(支援)、Strategies(戦略)の4つは正しく覚える。【渡辺先生①P138、➁P196】

2.×:転機における支援では、当然にラポールの形成が必要である。

3.×:シュロスバーグのトランジションは、発達段階の移行期を意味するトランジションではなく、人生上の出来事の視点からみたトランジションである。【渡辺先生①P130、②P188】

4.×:シュロスバーグは転機を「期待していた出来事が起きたとき」、「予想していなかった出来事が起きたとき」、「期待していた出来事が起こらなかったとき」の3つに分類している。【渡辺先生①P126、②P184】

問13.キャリアに関する理論

 頻出のブリッジスです。転機は終わりから始まる、と覚えておきましょう。

1.×:ブリッジズの転機といえば、「終焉」⇒「中立圏」⇒「開始」と覚えておく。【岡田先生P86】

2.○:「古い生き方と新しい生き方の間の空白地帯のことであり、一時的な喪失状態に耐える時期である。」【岡田先生P87】

3.×:終焉は転機の始まりである。【岡田先生P86】

4.×:「新しいものを手に入れる前に、古いものから離れなければならない。」としている。【岡田先生P87】

問14.個人の特性の知識

 個人の特性の知識からの出題の1問目は女性に関する出題でした。非常に判断の難しい選択肢が2つありました。なお、「働く女性の実情」からの出題は、第7回でも出題されています。令和3年版での記述を加筆しています。

 平成29年版働く女性の実情

 令和3年版働く女性の実情

1.×:女性の産業別雇用者数を職業別にみると、事務従事者、サービス職業従事者、専門的・技術的職業従事者、販売従事者の順である。【平成29年版P15】

事務従事者、専門的・技術的職業従事者、サービス職業従事者、販売従事者の順である同様である。【令和3年版P16】

2.○:男女間賃金格差は、過去最小の73.4となった。【平成29年版P28】

男女間賃金格差は、75.2となった。【令和3年版P29】

3.×:1人平均月間総実労働時間は、男性が160.0時間、女性が123.5時間であり、約77%である。【平成29年版P31】

1人平均月間総実労働時間は、男性が151.9時間、女性が118.2時間であり、約78%である。【令和3年版P31】

4.×:平成29年上半期の入職者のうち、パートタイム労働者の職歴をみると、転職入職者は減少し、未就業入職者は増加している。【平成29年版P37】

令和3年上半期の入職者のうち、パートタイム労働者の職歴をみると、転職入職者は前年に比べて減少し、未就業入職者は増加している。【令和3年版P40】

問15.個人の特性の知識

個人の特性の知識からの2問目は、前回同様にリハビリテーション・カウンセリングでした。このトピックは第4回、第8回、第9回に続く4回目の出題となります。支援の基本姿勢から常識的にアプローチして消去法で判断しましょう。

リハビリテーション・カウンセリング研究会のサイト(2020年5月時点閉鎖中)より、リハビリテーション・カウンセリングの定義を引用して紹介しておきます。一読しておきましょう。

リハビリテーションカウンセリングの定義
「リハビリテーションカウンセリングとは、身体障害、知的障害、発達障害、認知障害、情緒障害のある人の個人的な目標や、職業及び自立生活における目標を、最も統合化された場で達成するために体系化された支援過程のことである。このカウンセリング過程とは、本人自身による権利擁護の促進や、心理学的・職業的・行動学的な介入を通じて、コミュニケーション、目標設定、望ましい発達や変化を促すものである。」
(2003年Commission for Rehailitation Counselor Certification 全米リハビリテーションカウンセラー認定委員会による定義:八重田訳2008.05.31)

1.○:「障害があっても生活しやすい社会」は適切である。

2.×:「リハビリテーション・カウンセラーが主体となって」は誤り。

3.○:「障害のある人自身が主体的に自己を主張」は適切である。

4.○:「社会的な力をつけるように支援する」は適切である。

参考文献・資料

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

平成29年版働く女性の実情(PDF)

令和3年版働く女性の実情(PDF)

リハビリテーションカウンセリング研究会(サイト閉鎖中)

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