第15回問06~問10の解き方

第15回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

 たびたび出題されている、シャインのキャリア・アンカーに関する出題です。8つのキャリア・アンカーは、試験までには、ソラで言えるようにしましょう。

1.○:保障/安定(security/stability)は、8つのキャリア・アンカーの一つである。【渡辺先生P161】

2.×:現実/慣習は、8つのキャリア・アンカーではない。【渡辺先生P160】

3.○:奉仕/社会献身(service/dedication to a cause)は、8つのキャリア・アンカーの一つである。【渡辺先生P161】

4.○:純粋な挑戦(pure challenge)は、8つのキャリア・アンカーの一つである。【渡辺先生P161】

その他には、特定専門分野/機能別のコンピテンス、全般管理コンピテンス、自立/独立、起業家的創造性、生活様式(life style)があります。このような問題もありますから、8つは覚えておきましょう。

覚え方:せんぜん じぶんは ほうきをもって ほうしした じんせい。(専・全・自・保・起・奉・純・生)

養成講座の友人が当時発明してくれました、感謝。

問7.キャリアに関する理論

 シャインに続いては、同じく超頻出といえる、スーパーに関する出題です。判断の難しい選択肢もありますが、落ち着いて、間違い探しをしていきましょう。

1.×:ライフ・キャリア・レインボーは適切だが、統合的人生設計(ILP:Integrative Life Planning)を構築したのは、ハンセンである。【渡辺先生P208】

2.×:発展期が不適切である。成長期、探索期、確立期、維持期、解放(下降、衰退)期の5つの段階である。【渡辺先生P44】

語呂合わせを紹介します。

覚え方:せぃ、たかいか?(成・探・確・維・解)

「衰退」もあわせて覚えたい場合には、「せぃ、たかいっすか?」の若者言葉で覚えましょう。

3.○:それぞれの発達段階には、暦年齢にゆるく関連した移行期(Transition)があるとし、その移行期にはミニ・サイクルが含まれるとしている。ミニ・サイクルには、新たな成長、再探索、再確立といった再循環(リサイクル)が含まれる。【渡辺先生P45】

4.×:キャリア・アダプタビリティというとサビカスをまず思い出すが、最初にキャリア・アダプタビリティの概念を提唱したのは確かにスーパーであり、その後サビカスがキャリア構築理論の中核として発展させた。ただし、職業適応していく段階は、思春期ではなく、成人期以降のことである。【渡辺先生P94】

問8.キャリアに関する理論

 不適切なものを選ぶ点については、マズローの「権力欲求」に気づければ比較的回答しやすかったものの、初登場のマクレランドとアルダファって誰?という方がほとんどだったのではないでしょうか。

岡田先生の著書において、「職場における動機づけ理論」がこの4人の理論の紹介とともに、わかりやすくまとめられています。

1.○:ハーズバーグは、職場において満足を与える要因(動機づけ要因)と不満足を与える要因(衛生要因)があるとした。

そして、動機づけ要因の充足は長期間の満足と動機づけをもたらすが、衛生要因の充足は十分に満たされれば不満を予防するものの、満足はもたらさず、仕事への積極性を高めることはできない、という2要因説を提唱した。【岡田先生P26】

2.○:マクレランドは、達成動機理論を提唱し、社会的欲求は親和欲求、権力(支配)欲求、達成欲求の3つであり、これらはマズローの所属と愛の欲求、自尊と承認の欲求、自己実現の欲求に対応するとした。【岡田先生P27】

3.○:アルダファは、マズローの欲求段階モデルを修正し、ERGモデルを提唱した。ERGモデルは、存在欲求(Existence)、関係欲求(Relatedness)、成長欲求(Growth)の3つの次元から構成され、各欲求は連続的で、高次、低次の欲求が同時に生じることもあるとした点でマズローとは異なる。【岡田先生P26】

4.×:マズローの欲求階層モデルは、下位から①生理的欲求、②安全の欲求、③所属と愛情の欲求、④自尊と承認の欲求、⑤自己実現の欲求の5層から構成され、上位の欲求は下位の欲求が充足されて初めて発生すると考えた。【岡田先生P23】

問9.カウンセリングに関する理論

 人名と理論の名称やその特徴を示すキーワードの組み合わせの問題です。このような出題は定番となっていますので、クイズ感覚で間違い探しをしていきましょう。

1.×:精神分析療法は、フロイトにより確立され、防衛機制などがキーワードである。【ジルP102】なお、共感的理解は来談者中心療法のキーワードであり、ロジャーズが提唱した。【ジルP111】

2.×:スキナーは、行動療法に位置づけられるオペラント条件付けを提唱した。【ジルP123】なお、論理療法を提唱したのは、アルバートエリスである。不合理的な信念は、非論理的な信念(イラショナル・ビリーフ)を意味していると思われる。【木村先生⑤P46、⑥P118】

3.×:内観療法は吉本伊信により確立されたが、自由連想(法)はフロイトが創始した、精神分析療法の基本技法である。

4.○:交流分析は、バーンによって開発された心理療法である。交流分析では構造分析、交流パターン分析、ゲーム分析、脚本分析の4種類の分析を行う。【ジルP108】

問10.カウンセリングに関する理論

 行動療法(行動的アプローチ)の特徴に関する出題です。直接同じ文章ではないものの、木村先生の著書に特徴がまとめられています。特徴を確認しましょう。

1.○:個人の病的行動や問題行動は、不適切な行動の学習によって起こされるとするのは、行動療法(行動的アプローチ)の特徴である。【木村先生⑤P48、⑥P120】

2.○:様々な訓練によって、不適切な行動を除去することが、行動療法(行動的アプローチ)の特徴である。【木村先生⑤P48、⑥P120】

3.×:問題の原因、問題解決を妨げている「クライエントの行動」を発見するのが、行動療法(行動的アプローチ)の特徴である。【木村先生⑤P48、⑥P120】

なお、心の内面にアプローチしていくのは、感情的アプローチと呼ばれる来談者中心療法などである。【木村先生⑤P42、⑥P115】

4.○:クライエントの行動と、不適切な反応を引き起こしている状況を明らかにすることが、行動療法(行動的アプローチ)の特徴である。【木村先生⑤P48、⑥P120】

参考文献・資料

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

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