【技能検定】第34回問31~問35の解き方
第34回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
問31.個人の多様な特性の知識
【A】リハビリテーション・カウンセリングは両試験でたびたび出題はありますが、国家試験では第23回問33、2級では第28回問30以来の久々の出題です。なお、出題内容は、2級第28回問30と全く同じでした。
リハビリテーション・カウンセリングにおける支援の基本姿勢は、全米リハビリテーションカウンセラー認定委員会による定義が参考になるため、一読しておきましょう。
リハビリテーションカウンセリングとは、身体障害、知的障害、発達障害、認知障害、情緒障害のある人の個人的な目標や、職業及び自立生活における目標を、最も統合化された場で達成するために体系化された支援過程のことである。
このカウンセリング過程とは、本人自身による権利擁護の促進や、心理学的・職業的・行動学的な介入を通じて、コミュニケーション、目標設定、望ましい発達や変化を促すものである。
(2003年Commission for Rehabilitation Counselor Certification 全米リハビリテーションカウンセラー認定委員会による定義:八重田訳2008.05.31)
正答:2
1.○:自立した生活が送れるよう環境調整を行うことは、リハビリテーション・カウンセリングの理念として適切である。
2.×:リハビリテーション・カウンセリングの理念は、障害のある人の自立を目指すのであって、リハビリテーション・カウンセラーが主導して、サービスを提供するものではない。障害者の主体的な意思決定が大切である。
3.○:環境への働きかけを本人が行うことも重要である。
4.○:障害者自らが自分の力で生きていけるよう力を与えること、エンパワーメントは、リハビリテーション・カウンセリングの理念として適切である。
問32.カウンセリングの技能
【B】ブリーフセラピーに関する問題は、国家試験第18回問35で、用いられる質問の種類に関する本格的な出題がありましたが、2級では初めての出題です。出典はジル資料に見出せますので、馴染みがない方は一読しておくと良いでしょう。
正答:1
1.×:ブリーフセラピーは、治療に要する時間や期間が短く、面接回数が少ない一方で、十分な効果、成果が得られ、それに対して時間、費用、労力が見合っているという特徴がある。【ジルP141】
そのため、問題の根本的な原因を突き詰めたり、長期的視野での本質的解決を図るのはブリーフセラピーの意味としては、不適切である。
2.○:人は困った状態に陥るほど、いつも使っている解決行動にしがみついてしまう傾
向にあり、それに本人が自ら気づくことは難しいため、この悪循環を断つことがセラピーの目的となる。【ジルP141】
3.○:クライエントの変化を引き起こす援助を行う準備として、「問題は何か」を明らかにする。【ジルP142】
4.○:「ポジション(問題に関わるクライエントの主立った価値観・態度・動機)は何か」を明らかにし、それをカウンセリングにおいて利用する。【ジルP142】
援助を行う準備として、他には「解決努力(今までにやってきた対処で効かなかったもの)は何か」、「最低目標は何か」がある。
問33.カウンセリングの技能
【B】表現が難しい選択肢もありますが、選択肢2は積極的に適切と判断できます。
「治療的人格変化の必要にして十分な条件」は、ロジャーズが提唱する、クライエントのパーソナリティ変容のための6つの条件のことをいう。
【人を変える6つの条件】
1.2人の人間が心理的な接触を持っていること
2.第1の人(クライエント)は不一致の状態、傷つきやすい状態、または不安な状態にあること
3.第2の人(セラピスト)はその関係の中で一致している状態、統合している状態であること
4.セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
5.セラピストはクライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、この経験をクライエントに伝えようと務めていること
6.セラピストの理解と無条件の肯定的配慮が、最大限、クライエントに伝わっていること
【参考サイト:臨床心理学用語事典】
正答:2
1.×:2人の人間が心理的な接触を持っていることが条件なのであって、身体的なふれあいは条件ではない。
2.○:ラポールをつくり、無条件の肯定的配慮、共感的な理解があり、それがクライエントへ伝わっている関係性を重視している。
3.×:是正しようとする関係性ではなく、クライエントの内的準拠枠を共感的に理解していることが必要である。
4.×:クライエントを治すのではなく、クライエントの自己実現を支援する。
問34.グループアプローチの技能
【B】ファシリテーターのスキルに関する出題は国家第22回問36で出題されているのみで、珍しいタイプの問題です。
正答:2
1.○:知的相互作用の場づくりを行うことは適切である。
2.×:ファシリテーターやメンバー間でのラポールが出来ていない場合には特に、言葉通りにそのまま受け止めることが適切ではない場合もある。
3.○:問題解決型のファシリテーションに求められる方法として適切である。
4.○:選択肢3でも言及しているように、問題解決や組織やメンバーの合意形成に有効なスキルである。
問35.グループアプローチの技能
【A】問34と同様にグループワークを企画、運営をする視点で「そんなグループワークは嫌だ」という尺度でアプローチしましょう。なお、2級第27回問34を一部改題しているようです。
正答:4
1.×:「やりたいと思うこと」は不適切である。
プログラムはメンバーの属性や心理的状況に合わせて、柔軟に構成する。【木村先生P410】
もちろん、そもそものグループワークの目的に合わせることは言うまでもない。
2.×:「できるだけ多くの内容」を詰め込んでも、十分なワークができず、成果に繋がらない可能性がある。時間的な制約もあり、適切ではない。
3.×:態度・行動の仕方や考え方に焦点を当てたプログラムに対して、能力がわかるような評価的要素を取り入れるのは適切ではない。
4.○:プログラムの内容だけでなくプロセスにも焦点を当てて組み立てることは適切である。