【1級対策】教育指導のまとめ(Part3)

Check Sheet ONOFF

Check Sheet機能をONにしてご確認ください。

Part3では評価の留意点とその影響、態度の変容に関する理論についてお伝えします。これまでの出題項目は、「ウォッシュバック効果」と「精緻化見込みモデル」であり、参考程度の内容もありますが、紹介しておきたいもの、出題が予想されるものがありますので、どのような考え方なのかを、可能な範囲で理解しておきましょう。

評価の留意点とその影響

評価が人の行動や結果に影響を与える現象を6種類紹介します。下のイラストの上の3つは「評価」が及ぼす影響、下の3つは「期待」が及ぼす影響です。

ウォッシュバック効果

ウォッシュバックとは、大きな波が打ち寄せたあとに、その衝撃で後ろへ押し戻され、その水流が地形や砂の状態を変形させることを意味しており、ウォッシュバック効果とは、例えば、テストが存在するために、勉強方法が変わる現象のことをいう。

テストという明確な目標ができることで学習意欲が高まるポジティブ・ウォッシュバックと、テストの点数を取ることが目的化し、テストに出る範囲しか勉強しないなど、本来の学習目的が歪められるネガティブ・ウォッシュバックがある。

グッドハートの法則

ある尺度が目標になると、その時点で良い尺度ではなくなることをいう。

例えば、会社の売上を向上させる目的のもと、営業担当者の評価を新規の顧客獲得数を重視して行うようになると、既存顧客との接点が減り、既存顧客の顧客満足度が低下するようなことである。

なお、グッドハートは法則を提唱した経済学者の人名である。

キャンベルの法則

ある指標が目標として重視されすぎると、その指標自体が不正や歪みの原因となり、本来の価値を失ってしまう。

例えば、学校の予算がテストの平均点で決まるような場合には、危機感を持った教師が出題内容を漏えいしたり、得点が低い傾向の生徒を欠席させるようなことである。

なお、キャンベルは提唱者の人名である。

グッドハートの法則とキャンベルの法則は、どちらも指標を目標にした場合の弊害を指摘しており似ていますが、グッドハートの法則は、統計的な関係性が崩れるなどのシステム的・数理的な文脈で用いられることが多く、キャンベルの法則は、人間の行動や倫理的な文脈で用いられることが多いようです。

ホーソン効果

注目されていると感じると普段よりもやる気が出る現象である。アメリカのホーソン工場で行われた、作業効率向上のための調査により発見された。

ピグマリオン効果

教師や上司が、この人は成長すると期待して接すると、実際に成績が向上する現象のことである。

ピグマリオンは神話に登場する王様の名前が由来である。自らが作り出した女性の彫像に恋をして、人間になるよう願った結果、女神がその願いを叶えたという物語である。

ゴーレム効果

ピグマリオン効果の反対で、教師や上司の期待が低い場合に、実際のパフォーマンスが低下してしまう現象のことである。

ユダヤ教に伝わる「泥人形ゴーレム」が由来である。主人の呪文によって動くが、額の文字を消されると、意思を持たない土の塊になってしまう。

態度の変容に関する理論

態度や行動の変容に関する理論には、1級で出題実績のある「精緻化見込みモデル」のほか、国家試験や2級技能検定でもおなじみの「認知的不協和理論」があります。

認知的不協和理論

認知的不協和理論は、自らの行動と考えが矛盾したときに感じる不協和(不快感や違和感)と、それを解消しようとする心理的な仕組みに関する理論であり、フェスティンガーが提唱し、ヒルトンがキャリア意思決定に応用した。

不協和状態を解消する方法には、行動を変えることや、認知を変えること、新しい情報を加えることがある。

精緻化見込みモデル

精緻化見込みモデルは、説得を受けた際の情報処理(思考)の道筋を、受け手の状態によって、中心ルートと周辺ルートの2つに分類する理論である。

メッセージの内容を論理的に吟味し、長所と短所を比較し、検討するアプローチは中心ルートと呼ばれる。

中心ルートは、例えば、高価なパソコンを購入する際、その性能や価格、購入者のレビューなどを吟味して、どれを購入するか検討するような場合の情報処理の経路であり、情報の受け手の動機づけ(興味)や能力(知識)が高い場合の経路である。

中心ルートは、じっくり吟味をしているため、その判断は安定する傾向がある。

一方で、メッセージの内容よりも、周辺的な手がかりに影響され、判断するアプローチは周辺ルートと呼ばれる。

「インフルエンサーが動画で購入を勧めていたから」や「みんなが買っているから」といった情報処理の経路であり、情報の受け手の動機づけや能力が低い場合には、中心ルートでは処理しにくく、周辺ルートでの処理が用いられやすい。

周辺ルートは、周辺的な手がかりによる判断のため、その判断は不安定な傾向がある。

用語と内容の繋がりが掴みにくいですが、以下のように捉えています。

・精緻化=情報を深く考え吟味すること。
・精緻化の見込みが高い→中心ルートで詳しい仕様を伝える、受け取る。
・精緻化の見込みが低い→周辺ルートで雰囲気やイメージを伝える、受け取る。

ヨコ解きリンク

Part3の内容は次の過去問で出題されています。

第9回問31※ 第11回問30 第14回問31

※どちらも同じ内容です。(選択肢の順序が少し違う)

Part3の内容は以上です。このページで紹介している画像を配布しています。個人的な利用の範囲内で用語の内容確認にご活用ください。

 教育指導のまとめPart3