令和5年版労働経済の分析第Ⅰ部ダイジェスト

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労働経済の分析は、通常は厚生労働省が毎年、作成公表しており(令和2年版は、コロナ禍の影響で作成せず3年版に統合)、キャリアコンサルタント試験では、ほぼ毎回出題されているといってもよい、頻出資料です。同じ回で2問~3問出題されることもあります。

本資料のボリュームは膨大、精読困難です。精読するというよりは、通読、斜め読み、流し読みで良いですが、その場合には、本文前に記載されている、見出しに注目し、その内容で違和感のあるもの、気になった内容を、じっくり読む方法がおすすめです。

 令和5年版労働経済の分析

気になる出題傾向は

これまでの労働経済の分析に関する出題傾向は、以下のように分析しています。

完全失業率や有効求人倍率などの雇用指標などのデータがまとめられている第Ⅰ部からは、雇用指標や雇用の趨勢に関する出題が1問。

そして、特定のテーマを元にまとめられている第Ⅱ部から、1問出題されるケースがこれまでに何度かあります。

なお、第Ⅱ部のテーマは毎年異なるため、出題テーマによっては年版を遡って出題されることがあります。

また、第Ⅰ部にまとめられている雇用指標や趨勢(トレンド)は、時事問題や、労働市場に関する知識への対策として、非常に有効です。出題可能性の高い時期の(比較的新しい)雇用指標を確認するのに適した資料です。

何年版が出るのか?

こればかりは、神のみぞ知るところで、過年度に遡って出題されたこともあれば、その年度に公開された最新版が出題されたこともあります。

これまでの実績を整理していると、令和5年版と同じく9月末に公開された労働経済白書が、翌年3月の試験に出題されたことがあります。

このケースは過去に一度だけなのですが、実績としては「ある」ので、念の為、その試験に間に合うように、本教材を用意しました。

それでは、ポイントを確認します。参照ページを付していますので、意外に思った内容については、資料の記述を確認することをおすすめします。

 令和5年版労働経済の分析

なお、令和5年版に収載されているデータ等は「2022年12月」までのデータであるため(資料P2に記載)、本資料が直接の出典ではない場合にも、本資料に記載の内容が出題される可能性があります。

第Ⅰ部:労働経済の推移と特徴

2021年以降の雇用情勢は、感染拡大前と比べて求人数の回復に遅れがみられる産業もあるものの、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。また、求人の回復基調が続く中で、女性高齢者等の労働参加が着実に進展している。

労働時間は、働き方改革の取組の進展等を背景に長期的には減少傾向で推移しているものの、2020年の大幅減から2年連続で増加の動きがみられる。

賃金は、名目賃金は増加しているものの、物価上昇の影響により、実質賃金が前年比でマイナスとなっている。(P5)

第1章 一般経済の動向

・2022年の実質GDPは小幅ながらも前年より増加した。(P6)

・企業の業況は、製造業では厳しさがみられた一方で、非製造業では好調な状況がうかがえた。(P8)

・製造業・非製造業ともに、全規模で経常利益は増加傾向となった。(P10)

・設備投資計画の前年度比は、2022年度は例年を上回る水準で推移した。(P11)

・企業の倒産件数は3年ぶりに前年を上回った。人手不足関連倒産や物価高倒産に加え、感染拡大時の支援策である「実質無利子・無担保融資(ゼロ・ゼロ融資)」の返済期限が迫っている企業等の倒産が考えられる。(P12)

第2章 雇用・失業情勢の動向

雇用情勢は、2021年以降、感染拡大前と比べて求人数の回復に遅れがみられる産業もあるものの、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。特に女性高齢者等の労働参加が着実に進展している。(P14)

第1節 雇用・失業の動向

・雇用情勢は、2021年以降、経済社会活動が徐々に活発化する中で持ち直している。(P14)

・2022年平均の有効求人倍率は前年差0.15ポイント上昇の1.28倍となり、完全失業率は同0.2%ポイント低下の2.6%となったが、いずれも感染拡大前の2019年の水準には回復していない。(P14)

◇2019年から2022年の雇用指標の変化(年平均)

雇用指標 2019年 2020年 2021年 2022年
有効求人倍率 1.60倍 1.18倍 1.13倍 1.28
完全失業率 2.4% 2.8% 2.8% 2.6

・2022年の我が国の就業率は約割であり、就業者は約6,700万人、うち雇用者は約6,000万人である。(P16)

・我が国の15歳以上人口に占める就業者の割合(就業率)は約6割であり、就業者のうち、正規雇用労働者は約5割、非正規雇用労働者は約3割となっている。

・男女別に就業率をみると、男性は約7割、女性は約5割となっている。

【用語の確認】

(テキスト&問題集第3版P122)

第2節 就業者・雇用者の動向

・2021年以降は、感染症の影響からの持ち直しの動きがみられ、就業者数及び雇用者数は増加傾向にあり、非労働力人口は減少傾向にある。(P18)

・労働力率、就業率は、2012年以降、上昇傾向で推移しており、2020年には感染症の影響により低下したものの、その後は2年連続で上昇している。(P20)

・完全失業率の推移をみると2009年以降、低下傾向で推移し、2020年には感染症の影響により上昇したものの、2022年は低下に転じた。(P20)

・2020年には感染症の影響により、女性に労働力率の停滞の動きがみられたが、2021年以降回復し、2022年には、男性は71.4%、女性は54.2%となり、男女計では前年差0.4%ポイント上昇の62.5%となった。(P21)

・正規雇用労働者数は、男性では2020年以降は横ばいとなっているが、女性については2020年も含め、堅調に増加傾向を維持している。(P22)

・非正規雇用労働者数は男女ともに経済社会活動の抑制の影響を受け2年連続で減少した後、2022年は若干の増加となったが感染拡大前の2019年の水準を下回っている。(P22)

・15歳以上人口に占める正規雇用労働者の割合は上昇傾向で推移しており、男性は「60~64歳」、女性は「25~34歳」「35~44歳」で顕著である。(P23)

・2022年は、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の雇用者数は増加に転じたほか、「医療、福祉」「情報通信業」では引き続き増加した。(P24)

・2020年は、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「卸売業、小売業」といった対人サービス業を中心に雇用者数は減少傾向で推移した。

・2021年は、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」では弱いものの、4月以降、雇用者総数は増加傾向で推移し、10~11月に一時的に減少したが、12月には再び増加へ転じた。(P24)

・2022年は、「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の雇用者数は増加に転じたほか、「医療、福祉」「情報通信業」では引き続き増加した。(P24)

・「非正規雇用から正規雇用へ転換した者」と「正規雇用から非正規雇用へ転換した者」の差は、2013年以降は増加傾向で推移しているが、2022年の年平均は0となっている。(P24)

・不本意非正規雇用労働者割合は引き続き低下傾向となっている。(P26)

・2022年の雇用障害者数は、61.4万人と19年連続で過去最高となり、実雇用率は、2.25%と11年連続で過去最高となった。(P28)

・障害種別でみると、身体障害者は35.8 万人(前年比0.4%減)、知的障害者は14.6万人(同4.1%増)、精神障害者は11.0万人(同11.9%増)となっており、精神障害者の伸び率が近年大きくなっている。(P28)【参考:精神障害者の算定特例の延長についてPDF

・2022年の法定雇用率の達成割合は企業規模計で48.3%である。

・企業規模別に障害者の法定雇用率の達成割合をみると、従業員数「1,000人以上」の企業では6割、従業員1,000人未満の企業では4~5割程度となっている。(P30)

・2022年10月末の外国人労働者数は約182.3万人となり、2007年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以降の過去最高を10年連続で更新した。(P31)

・外国人労働者数を在留資格別にみると「身分に基づく在留資格」が最も多く、次いで「専門的・技術的分野の在留資格」「技能実習」が多い。(P31)

・外国人労働者数を国籍別にみると、3年連続でベトナムが最も多く、次いで中国、フィリピンが多い。(P31)

第3節 求人・求職の動向

・2022年平均では、新規求人数、有効求人数ともに増加している。(P32)

・2022年平均では、新規求職申込件数、有効求職者数は若干減少している。(P32)

・2022年の新規求人倍率は年平均で前年差0.24ポイント上昇の2.26倍、有効求人倍率は有効求人数が増加傾向で推移したため、年平均で同0.15ポイント上昇の1.28倍となった。(P32)

・2022年の新規求人数は正社員、パートタイム労働者ともに増加。新規求職申込件数は、正社員では減少傾向、パートタイム労働者ではおおむね横ばいで推移している。(P33)

・2022年は、一般労働者、パートタイム労働者ともに新規求人数は全ての産業で増加したが、感染拡大前の2019年と比較すると、「卸売業、小売業」「生活関連サービス業、娯楽業」「宿泊業、飲食サービス業」ではそれぞれ2割程度減少しており、求人の回復に遅れがみられる産業もある。(P35)

・雇用の過不足(過剰-不足)について、2021年12月以降は、全ての産業が「不足」超となり、人手不足感は、感染拡大前の水準まで戻りつつある。(P36)

・民間職業紹介の常用求人件数は、人手不足を背景に大幅な増加傾向である。(P38)

・2023年卒の新規学卒者の就職率をみると、高校新卒者、短大新卒者、専修学校(専門課程)新卒者及び大学新卒者の全てにおいて、前年度より上昇した。(P39)

・転職者数は感染症の影響により2020年から2年連続で大幅に減少したが、2022年は3年ぶりの増加となった。(P40)

第4節 失業等の動向

・完全失業率は、男女計と男性は全ての年齢階級で低下、女性は「35~44歳」と「65歳以上」で横ばいとなったほかは全ての年齢階級において低下した。(P41)

・2020年には感染拡大による経済社会活動の停滞から、「非自発的理由」による完全失業者数は全ての年齢階級において大幅に増加したが、2022年は、「非自発的」及び「自発的」な理由による完全失業者は、いずれも全ての年齢階級で減少している。(P42)

・2022年は、全ての年齢階級で1年未満失業者は減少、長期失業者は横ばい又は減少し、特に1年未満失業者は感染拡大前の2019年とおおむね同水準まで減少している。(P43)

第3章 労働時間・賃金等の動向

賃金の動向をみると感染防止策と経済社会活動の両立が図られ、経済活動が正常化に向かっていることなどから、所定内給与、所定外給与、特別給与はいずれも前年と比べて増加し、現金給与総額は感染拡大前の2019年を上回った。

一方で、名目賃金が大きく増加する中でも、実質賃金が前年比でマイナスとなるなど、物価上昇の影響もみられた。(P44)

第1節 労働時間・有給休暇の動向

・月間総実労働時間は、感染症の影響による2020年の大幅減から2年連続で増加したが、働き方改革の取組の進展等を背景に、長期的には減少傾向である。(P44)

・感染拡大前の2019年の労働時間と比較すると、2022年の「所定内労働時間」と「所定外労働時間」はいずれも減少している。(P45)

・2019年まで一貫して上昇していたパートタイム労働者比率は、2020年には低下したが、2021年には上昇に転じ、2022年も引き続き上昇して31.60%と、2019年の31.53%を上回って過去最高水準を更新している。(P47)

・年齢階級別の週60時間以上就労雇用者の割合をみると、おおむね全ての年齢階級で近年低下傾向がみられる。(P48)

・年次有給休暇の取得率は働き方改革の取組を背景に上昇傾向であり、2022年調査(2021年の状況)では過去最高を更新した。(P49)

・2022年における有給休暇の取得率をみると「情報通信業」「製造業」などでは高い水準、「教育、学習支援業」「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などでは低い水準となっている。(P50)

・2022年の現金給与総額は所定内給与の増加などにより、2年連続で増加し、感染拡大前の水準を上回った。(P50)

第2節 賃金の動向

・2022年は、一般労働者及びパートタイム労働者の、所定内給与、所定外給与、特別給与のいずれも増加したため、現金給与総額は32.6万円となり、感染拡大前の2019年を上回った。(P52)

・名目賃金は2022年に上昇したものの、物価の上昇により、実質賃金は減少した。(P54)

・労働分配率は、2020年は多くの企業で業績が悪化、利益が減少したため、全ての資本金規模で労働分配率は大幅に上昇したが、2022年は人件費、付加価値(利益の源)ともおおむね感染拡大前の水準に戻りつつあり、感染拡大前と同様に、労働分配率は低下傾向で推移している。(P56)

第3節 春季労使交渉等の動向

・2022年春季労使交渉では、妥結額、賃上げ率ともに、4年ぶりに前年の水準を上回った。(P58)

・賃上げやベースアップを実施する企業の割合は、2022年は大きく上昇した。賃上げは85.7%、ベースアップは29.9%である。(P60)

・2022年の労働組合員数及び推定組織率の推移をみると、労働組合員数999万人と4年ぶりに1,000万人を割り、推定組織率は16.5%となり、ともに2年連続で低下した。

推定組織率は緩やかに減少傾向である。(P61)

・パートタイム労働者の労働組合員数と推定組織率の推移をみると、2022年は、パートタイム労働者の労働組合員数は過去最高の140万人、推定組織率は8.5%となり、ともに2年ぶりに上昇した。

パートタイム労働者の推定組織率は緩やかに上昇傾向である。(P62)

以上が第Ⅰ部のダイジェストです。

第4章の消費・物価の動向については、雇用や働き方とは直接的な関係が無いためか、これまでに出題がなく、ポイントまとめも省略しました。

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厚生労働省では令和5年版労働経済の分析の動画版を公開しており、約25分で内容を確認できます。