キャリアコンサルタントの能力要件の見直し【まとめ&問題】

Check Sheet ONOFF

2018年(平成30年)3月に発表された「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」を受け、2020年度(令和2年度)より養成講座の時間数の増加や、試験範囲の改訂が行われました。このページでは、能力要件の見直しに関する出題内容を整理して、今後の試験対策に役立つまとめをお伝えします。

画面右上のCheck SheetをONにしてご活用ください。

出典資料

まずは、報告書の内容を3枚のスライドにまとめた、見直し概要を確認しておきましょう。必要に応じて報告書を参照すれば良いでしょう。

 キャリアコンサルタントの能力要件の見直し概要

 キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書

見直しの背景

これまでの就職支援という観点に止まらず、一人ひとりのキャリア自立の観点から、 職業生涯にわたる職業生活設計に関わる支援の役割を、より確実に、幅広く担うための能力習得を図ることを期待されるため。

また、キャリアコンサルタント登録制度の安定運用がされた時点で、能力要件の見直しや拡充の検討に着手すべきと、「平成27年度キャリア・コンサルティング研究会報告書」においても指摘されていた。

見直しの主な内容

全体像としては、養成講習(養成講座)の科目・範囲の項目立てについては現行のままとしつつ、養成講習(養成講座)の全体時間数を140時間から150時間程度に増加した。内訳は、演習時間が60時間から70時間程度への増加である。

働き方改革」や「人生100年時代構想」等における新たな政策的課題に対応した役割を的確に担うことができるキャリアコンサルタントの養成及び質の向上を推進するために、次の4つを拡充強化策としてあげている。

4つの拡充強化策

セルフ・キャリアドック等の企業におけるキャリア支援の実施に関する知識・技能

②リカレント教育等による個人の生涯にわたる主体的な学び直しの促進に関する知識・技能

③職業生涯の長期化、仕事と治療、子育て・介護と仕事の両立等の課題に対する支援に関する知識・技能

④クライアントや相談場面の多様化への対応に関する知識・技能

関係制度への反映

この見直しによる関係制度への反映は以下の通りである。

①養成講習、更新講習カリキュラムの拡充

②国家資格試験科目等の改訂

キャリアコンサルタント試験の出題範囲の変更内容についてはまとめを作成している。

試験範囲の変更内容をまとめました。

③キャリアコンサルティング技能検定試験科目等の改訂

④その他の関連施策拡充(技法開発や経験交流の場の拡大など) 

過去の出題(第15回まで)

第12回問3、第13回問1、第14回問2、第15回問2

予想問題

「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」(厚生労働省、2018 年3 月)に基づき、下記の問題の正誤を答えなさい。解説の【 】内のページ数は本報告書のページ数である。

 キャリアコンサルタントは、労働者の職業選択、職業生活設計、職業能力開発・向上に関する相談・助言・指導を行う専門家として、業務独占の国家資格に位置づけられている。

 ×業務独占ではなく、名称独占の国家資格である。【P3】

 拡充・強化すべき事項として、セルフ・キャリアドックをはじめとした、企業内での在職者に対するキャリア支援の環境整備がある。

 企業におけるキャリア支援の円滑な実施にあたり必要となる知識、技能を習得する。【P6】

 拡充・強化すべき事項として、個人の生涯にわたる主体的な学び直しと、これによるキャリアアップの支援において必要となる、関連制度・施策の適切な提案のための知識・技能がある。

 拡充・強化すべき事項にあげられている。なお、学び直しの教育システムのことを、リカレント教育という。【P6】

 長いライフキャリアにおけるキャリア充実については、主に外的キャリアに着目した充実に焦点をあてている。

 ×主に内的キャリアに着目した充実である。【P6】

 仕事と治療の両立等のキャリア形成上の具体的な課題解決への貢献は求められていない。

 ×仕事と治療の両立支援や、子育て・介護と仕事の両立支援のための知識・技能も拡充・強化すべき事項にあげられている。【P6】

 治療と仕事の両立を支援するため、精神疾患の症状や治療法を理解し、疾患の可能性のある相談者への診断ができる能力が求められる。

 ×診断や治療をすることはできない。

 能力要件の見直しにより、2020年度(令和2年度)以降の養成講習の時間数は減少した。

 ×従来の140時間から150時間程度に増加した。【P7】

 今後の社会のあり方として、「ライフ・ワーク&スタディ」のバランスが一層求められるとしている。

 キャリアコンサルタントはクライエントのニーズに応えるとともに、「継続的学び」に従事することが求められる立場にある。【P8】

 キャリアコンサルタントの継続的な学び・能力レベルアップは、登録制度上の仕組みとして更新講習が中心的役割を果たす。

 更新講習が中心的役割を果たすが、他には職務経験や事例指導(スーパービジョンを含む)の充実も必要である。【P9】