第16回問01~問05の解き方

第16回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開となります。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

【ご注意ください】本問は試験実施後に、下記の追加情報が登録試験機関より発表されました。

問1について適切・不適切の判断がつきかねる文章表現がありました。

本問題には正答がないものとして、問1は受験者全員が正答したものとみなします。

 時事的問題の出題範囲から、第15回に続いて、平成30年版労働経済の分析第2部からの出題でしたが、問題文選択肢の読み取りが困難であり、全員正解の措置が取られました。内容は詳しく解説します。

正答:無し(全員正解)

 平成30年版労働経済の分析

令和3年版には記載の無い内容のため、平成30年版を確認する。

・1つめ:不適切。自己啓発を行うことで、自らの能力の向上を通じて、より高度な仕事を行うことが可能となり、それに伴い収入が増加したり仕事への満足度が高まったりしていることがうかがえる。【P265】

・2つめ:適切・不適切の判断がつきかねる文章表現があったのは本選択肢と思われる。自己啓発実施を「妨げる要因(資料内では「課題」と表現されている)」については、自己啓発の「実施者」と「非実施者」でその課題の内訳が異なる。

自己啓発実施者の課題は、図表から読み取ると、男女ともに「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が最も多く、非実施者の課題は、男性は「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、女性は「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」が最も多い。【P269】

実施者・非実施者どちらかの指示が無いことと、実施者・非実施者での合計での調査結果も資料からは判明しないため回答が出来ない問題である。

・3つめ:適切。自己啓発実施者の1日当たりの自己啓発実施時間をみると、就業時間が長い者ほど、1日の平均時間が短くなっていることが分かる。【P270】

・4つめ:適切。「キャリアコンサルティングを行うしくみ」を設けている事業所や自己啓発に対して「受講料などの金銭的援助」を行っている事業所は、これらの支援を行っていない事業所と比べて自己啓発の実施に与える効果が有意にプラスとなっている。【P271】

2つめの選択肢は、実施者・非実施者の区分がされていたとしても細かな内容で正誤判定が非常に難しく、そもそも捨て問題の位置づけと捉えています。また、試験実施時において最新ではない「平成30年版労働経済の分析」からの出題が15回に続いて、連続出題されました。

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 企業内のキャリアコンサルタントに期待されている役割の一つとして、「職業能力開発推進者」としての役割があります。役割の内容についてよく確認しておきましょう。

1.○:「事業内職業能力開発計画の作成と実施の業務」を行うことは、職業能力開発推進者の役割の一つとして、リーフレットにも明記されている。【厚生労働省:PDF

2.○:厚生労働省のリーフレットには、「職業能力開発推進者には、専門的な知識・技術をもつキャリアコンサルタント等から選任しましょう!」と表記されている。【厚生労働省:PDF

人事・教育訓練等の担当部署の部・課長などを職業能力開発推進者として選任することが「職業能力開発促進法」第12条において、事業主の努力義務となっています。

3.×:事業内職業能力開発計画には決まった様式や記載内容の定めといったものはなく、形ではなく会社の独自性がわかりやすく表現されていること、従業員に正しく伝えられるものであることが大切であるとしている。【職業能力開発推進者に求められる能力に係る参考資料:PDF

4.○:「労働者が職業能力開発を受けるための労務管理上の配慮に係る相談・指導」を行うことは、職業能力開発推進者の役割の一つとして、リーフレットにも明記されている。【厚生労働省:PDF

類題した過去問の解説:第13回問18

問3.キャリアに関する理論

 第15回試験と同様に問3より「キャリアに関する理論」が出題されました。これは新しい出題範囲表の影響と思われますが、最近のキャリアコンサルティング技能検定2級の出題順序も同様です。サビカスのキャリアアダプタビリティの4次元に関する出題は頻出です。しっかりと理解しておきましょう。

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。

新版キャリアの心理学(第2版)

1.○:キャリア自信とは、挑戦し障害を克服することによって得られる成功の予期である。【渡辺先生P101】

2.×:キャリア自律は、キャリア・アダプタビリティの四次元には含まれていない。

3.○:キャリア関心とは、未来志向、つまり未来に備えることが重要である、という感覚を意味する。【渡辺先生P98】

4.○:キャリア統制とは、みずからのキャリアを構築する責任は自分にあると自覚し確信することを意味する。【渡辺先生P100】

もう一つの次元は、キャリア好奇心です。キャリア・アダプタビティ4つの次元の覚え方は、「かとうこうじ(関心、統制、好奇心、自信)」と覚えましょう。

なお、サビカスの「キャリア・アダプタビリティの4次元」に関する大問(選択肢4つ分の問題)は、ヨコ解きをしてこのトピックを確認し、知識を固めるのも良いでしょう。[第9回問7第11回問8第13回問9

ヨコ解きとは、同じ出題範囲の過去問題を回数横断的に解くことを言い、その出題範囲の内容を短期間でマスターする、みん合でオススメしている過去問の攻略方法をいいます。詳しくは、「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。

問4.キャリアに関する理論

 スーパーの職業的自己概念に関する出題です。判断の難しい選択肢もありましたが、「分化」という言葉の意味を理解出来ているかが、正答選択の決め手となりました。スーパーは本問のような自己概念(キャリア自己概念)の他に、職業的適合性(vocational fitness)や、5つの発達段階、ライフキャリア・レインボーも要注意です。

1.○:スーパーは、自己概念は一つではないし、特定の発達段階に決定されるものではないとしている。自己と他者、自己と複数の環境との相互作用の中で修正、調整されると仮定している。【渡辺先生P39】

2.○:自己概念は一つではなく、またある時期に決定されるものでもないとしている。【渡辺先生P39】

3.○:個人が職業に関連すると考える自己の特性群であり、これらは職業的好みへと転換されたりされなかったりするものである、としている。【岡田先生P48】※岡田先生の著書については問6で紹介する。

4.×:主観的自己と客観的自己の両者が個人の経験を統合して構築される。【渡辺先生P38】分化とは異質化していくことであり、逆の意味である。

問5.キャリアに関する理論

 シャインの3つのサイクルに関する問題はこれまでにも出題されており、落とせない問題です。

1.○:シャインは、人が生きている領域(役割が存在するという意味での領域)について、「生物学的・社会的」「家族関係」「仕事・キャリア」の3つのサイクルが相互に影響し合って存在しているとした。【渡辺先生P153】

2.○:「生物学的・社会的」サイクルは、自らの自己発達を意味している。【渡辺先生P154】

3.×:これは3つのサイクルではなく、特にキャリア関連の用語でも無い。

4.○:「仕事・キャリア」のサイクルは、生物学的・社会的サイクルの段階と課題に密接に関連し合う。【渡辺先生P156】

シャインは、キャリアを外的キャリアと内的キャリアの2つの軸で捉え、外的キャリアは客観的なキャリア仕事の内容や実績、組織内での地位を表し、内的キャリアは主観的な仕事に対する動機や意味づけ、価値観を意味しています。

参考文献・資料

平成30年版労働経済の分析(PDF)

厚生労働省

職業能力開発推進者に求められる能力に係る参考資料(PDF)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

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