発達理論のまとめ

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キャリアに関する理論から、発達論アプローチの発達段階や発達課題に関するまとめです。理論家、学者ごとにその特徴やキーワードをまとめています。

スーパーの理論

スーパー(1910-1994)は、職業的発達段階が5つの段階で構成されるとし、一連のライフ・ステージをマキシ・サイクルと呼んだ。「マキシ」には「長い丈」という意味があり、こちらはある程度、長期的な発達段階である。

そして、それぞれの発達段階の間には、移行期(Transition)があるとしており、そこではミニ・サイクルがある。

・5つの職業的発達段階

発達段階 時期
成長段階 0~14歳
探索段階 15~24歳
確立段階 25~44歳
維持段階 45~64歳
解放段階※ 65歳以降

※下降段階や衰退段階、離脱段階とも言われる。

覚え方は、「せいたかいか」もしくは、「せいたかいっすか」(上記※印を加味した場合)

【参考文献:木村先生⑤P37、⑥P73】

シャインの理論

・シャイン(1928-)は、組織におけるキャリア発達へ焦点をあて、9つ(ナイン)の段階を提唱している。

発達段階 時期
成長・探索・探求 0~21歳
②仕事の世界へのエントリー 16~25歳
③基本訓練 16~25歳
④キャリア初期 17~30歳
⑤キャリア中期 25歳以降
キャリア中期の危機 35~45歳
⑦キャリア後期(指導者役or非指導者) 40歳~引退
⑧衰え及び離脱 40歳~引退
引退  

【参考文献:木村先生⑤P65、⑥P231】

シャインは、組織とのかかわりのみではなく、人が生きている領域を3つのサイクルにわけ、達成すべき課題の困難度をストレスの高低で示している。

①生物学的・社会的サイクル

家族関係におけるサイクル

③仕事・キャリア形成におけるサイクル

【参考文献:渡辺先生P153】

レビンソンの理論

レビンソン(1920-1994)は、人生を四季に例え、成人の発達は4つの発達期を経ると考えた。 また、それぞれの段階では安定期と過渡期が交互に現れるとしている。

・ライフサイクル論

発達段階  年代 過渡期で直面する課題
児童期と青年期 0~22歳  
成人前期 17~45歳 成人への過渡期→アパシー(無力感)と離人感(自分が自分と思えなくなる)
30歳の過渡期→焦燥感とさまよい
中年期 40~65歳 人生半ばの過渡期→真の自己との折り合いをつける。若さと老い、破壊と創造、男らしさと女らしさ、愛着と分離の両極性の解決
老年期 60歳以降 老年への過渡期→死の受容と新たな生きがいの獲得
レビンソンといえば、「四季」と「過渡期」と覚えましょう。

【参考文献:岡田先生P78】

エリクソンの理論

エリクソン(1902-1994)は、アイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱し、人生を8つの段階に分け、それぞれの発達段階における心理社会的発達課題と危機を整理し、 個体発達分化の図式(漸成的発達段階)を表した。

・各発達段階と発達課題

発達段階 発達課題と危機 強さ(徳)
乳児期 信頼vs不信 希望
幼児前期 自律性vs恥、疑惑 意志
幼児後期 自発性vs罪悪感 目的
学童期 勤勉性vs劣等感 有能感
青年期 同一性vs同一性拡散 忠誠
成人前期 親密性vs孤立
成人期 世代性vs停滞性 世話
老年期 統合性vs絶望 英知
エリクソンといえば、「アイデンティティ」と「8段階」と覚えましょう。

個体発達分化の図式(漸成的発達理論)は、難しい内容ですが、ご自身やご家族などの歩んできた道、歩んでいく道と照らし合わせながら理解を深めましょう。

仕事を含めたキャリアとの直接的に関連する段階(時期)は青年期以降になります。青年期では、自分らしさの認識を持ち、社会での役割を得るための、アイデンティティ(同一性)の確立がテーマです。また、成人前期では家族関係の構築を意味する親密性がテーマとなり、成人期は次世代を育てていく、世代継承性がテーマとなります。死を意識する老年期では、これまでの過去をすべて受け入れる、自我の統合観がテーマとなります。

また、本来は恐慌時における金融機関の支払猶予を意味していた「モラトリアム」という言葉を、アイデンティティを確立するために模索するための猶予期間として用語を使用したのも、エリクソンです。

【参考文献:岡田先生P79】

その他の理論家、心理学者等

ギンズバーグ

最初に職業発達理論を提唱したのは、エコノミストであったギンズバーグであるとされている(1951年)。ギンズバーグは、職業発達のプロセスを、空想期(11歳以下)、試行期(11~17歳)、現実期(17歳~20歳代初期)の3段階であるとした。

ユング

ユング(1875-1961)は、人の一生を一日の太陽の動きにたとえ、40歳を人生の正午と呼び、この時期を転換期と捉え、危機の時期でもあるとした。

レヴィン

レヴィン(1890-1947)は、社会的に不安定な存在として、青年の「周辺人」、「境界人」(マージナルマン)と呼んだ。

ブロンフェンブレンナー

ブロンフェンブレンナー(1917-2005)は、個人の発達は個人が生活する中での社会システムとの相互作用からなると考え、個人の発達に影響を及ぼす環境を、ミクロシステム、メゾシステム、エクソシステム、マクロシステムの4つに分類している。

ハヴィガースト

ハヴィガースト(1900-1991)は、人間の発達段階を乳幼児期、児童期、青年期、壮年期、中年期、老年期の6つに分類し、それぞれの段階で達成しておくべき発達課題を提唱している。

参考文献・資料

改訂増補版個と組織を活かすキャリア発達の心理学二村英幸著(金子書房2015年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)