第16回問06~問10の解き方

第16回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

 国家試験では初めて問われた「コクラン」にびっくりした方も多かったと思いますが、正答選択肢の内容はサビカスの過去に出題されている内容です。

直近の過去問第15回の内容を確認しておけば、落ち着いて対応することができたでしょう。初めて見るキーワードや人名が試験で出題されたとしても、何か糸口があるはずと捉えて慌てずに対応しましょう。なお、本問の出典は岡田先生の著書になります。

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストではありませんが、キャリア理論も体系的にまとめられている良書です。

1.○:コクランは、キャリア研究のパラダイム(物の見方)として、語り(ナラティブ)の導入を提唱し、意味付けがキャリアの中心的主題であることから、語りの有効性について論じている。【岡田先生P67】

2.○:上記にて語りの有効性について言及している。【岡田先生P67】

3.○:コクランは、物語が人・機動力・機会・意味・場所・出来事といった要素を統合または構成する手段であると指摘している。【岡田先生P67】

4.×:ナラティブ(語り)を重視とする社会構成主義では、コクランよりもサビカスの方が、多くの方に馴染みがあると思われるが、これはサビカスのキャリア構築インタビューの内容であり、第15回でも問われている。【渡辺先生P105】

類似した過去問の解説[第15回問3

サビカスのキャリア構築インタビューの面接構造は、①ロール・モデル②雑誌③お気に入りのストーリー④モットー⑤思い出せる最も昔の記憶の5つからなります。職業相談において、自分自身の就職の希望について上手に言葉にできない求職者の方には、特にキャリア構築インタビューは適していると言わています。

コクランもサビカスも、キャリア研究においては社会構成主義を中心の視点としており、クライエントのナラティブ(語り)を重視しています。

問7.キャリアに関する理論

 様々なキャリア理論家の特徴についての知識を問う横断的な問題です。

1.○:スーパーの発達的アプローチに関する14の命題に記されている。「3.職業に就いている人に多様性が見られるように、個人も多様な職業に就く許容性を有している。」【渡辺先生P52】

2.×:人間の個人差と職業の職業差をうまく合致されることを良い職業選択であると考えたのは、マッチングの理論とも呼ばれ、職業指導の創始者とも呼ばれるパーソンズが有名である。【木村先生P23】なお、類似した選択肢が過去にも出題されている。[第5回問6の3]

なお、レビンソンは、成人期を四季にたとえた発達段階における「人生半ばの過渡期」が有名である。

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版

※木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。なお、2018年10月に出版された5訂版のページ数を表記しています。

3.○:クランボルツは、バンデューラによって提唱された社会的学習理論をキャリア意思決定に応用して理論化しており、キャリア意思決定に影響を与える4つの要因の一つに学習経験をあげている。直接の記述が見当たらないものの、内容は適切である。

4.○:ヒルトンの認知的不協和理論の内容である。意思決定は、外界からの入力と環境との不協和、それに対する耐性、及び再調整によって行われるとしている。【木村先生P24】

問8.カウンセリングに関する理論

 ゲシュタルト療法については、第14回で難しい内容が問われていましたが、今回は比較的解きやすい問題でした。ゲシュタルト療法-パールズ-いま、ここでの気づき-エンプティ・チェアの組み合わせはしっかりとおさえておきましょう。

1.○:ゲシュタルト療法は、パールズによって創始された心理療法である。ゲシュタルトとは、思考・感情(精神)・身体を「統合」するという意味を表している。【日本ゲシュタルト療法学会

エンプティチェアの方法を簡単にお伝えします。椅子を2つ向かい合わせて配置し、片方の椅子に座り、自分にとって理解できない人や、理解したい人を思い浮かべ、その人への不満や日頃思っていることをぶつけます。

そして、今度は反対側の椅子に座り、その思い浮かべた人に自らがなりきり、あなたがその人からどう映っているかを話します。

これを繰り返し行い、相手の視点から自分を眺めることで、自己理解やその他者理解を深める方法です。「いま、ここ」での気持ちや感覚を言葉にすることを大切にします。また、他者ではなく、「もうひとりの自分」や「問題そのもの」を空の椅子に座らせてイメージすることもあります。

2.×:スケーリングはスケール、尺度やものさしを表し、スケーリング・クエスチョンとは、「最高の時を10、最悪の時を1で表すと、今の気分はどのくらいですか。」というような感情や思いを測定するときに使う質問方法である。【参考サイト:臨床心理学用語事典

3.×:feltは感覚、フェルトセンスは身体感覚とは異なる、心理的な意味合いを含んだ、からだの感覚、気分をいい、心配事を思い浮かべた際の気持ちの重たさなどをいう。臨床心理学者のジェンドリンの体験過程理論における概念とされている。【参考サイト:臨床心理学用語事典

4.×:ミラクルクエスチョンは、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)と呼ばれる心理療法で使用される技法であり、「奇跡が起こり、あなたの問題がすべて解決した場合、あなたはその奇跡が起こったことを、どうようなことから気づきますか。」といったような非現実的な問いかけをすることである。【参考サイト:臨床心理学用語事典

未来志向になり、積極的に解決の糸口を探り、現実的な目標設定へと繋げる技法である。

過去の類題の解説:第14回問30

問9.カウンセリングに関する理論

 概ね毎回出ている出題形式で、理論家(療法家)と技法とキーワードの組み合わせを選ぶ問題です。

やや細かな内容が問われていますが、消去法でアプローチしましょう。日本の心理(精神)療法家として、森田正馬(もりたまさたけ)や吉本伊信(よしもといしん)も確認しておきましょう。

1.○:精神分析はフロイトによって創始され、ヒステリー研究、強迫神経症の研究から基本的な理論を示し、無意識の存在を仮定した。【ジルP102】

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジル資料と呼んでいますが、労働政策研究・研修機構(JILPT)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

2.×:Tグループはレヴィンが創始した。ロジャーズと成長の意志の組み合わせは正しく、第13回にも出題されている。[第13回問28の1]ロジャーズの来談者中心療法は個々人の成長と自己実現を重視する。また、レヴィンは境界人(マージナルマン)の概念を提唱している。【Wikipedia

3.×:パールズ-ゲシュタルト療法の組み合わせは正しいが、脚本分析はバーンが提唱した。なお、脚本分析は交流分析の一つである。

交流分析は 「構造分析」「交流パターン分析」「ゲーム分析」「脚本分析」の 4つの分析を通して、人格的成長や不適応問題の変容をはかるものである。【ジルP108】

4.×:内観療法-迷惑をかけたことは、吉本伊信(よしもといしん)の特徴である。【Wikipedia】森田正馬(もりたまさたけ)は、不安障害に対する心理(精神)療法である森田療法を創始した。治療法の絶対臥褥(ぜったいがじょく)は第13回に出題されている。[第13回問28の1]

問10.カウンセリングに関する理論

 問9に続き、フロイトの精神分析に関する出題です。2の治療法の内容はこれまでにあまり出題されておらず難しいものの、不適切な選択肢を選ぶこと自体は比較的容易でした。諦めずに検討しましょう。

1.○:フロイトは、心の世界を①意識、②前意識、③無意識の領域に区分し、精神的な活動がどの領域で行われているかを明らかにしようとした。【ジルP102】

2.○:フロイトの神経症の治療法として適切である。前額法は、目を閉じて寝かせて額に手を当て、心に思い浮かんだことを伝えてもらう方法であり、自由連想法は頭に浮かんだすべての感情や事柄などを、より自由に言葉にしていく方法である。

3.○:フロイトは、心の構造を①自我、②イド(エス)、③超自我の 3 層からなる「心的装置」として捉えた。【ジルP102】

4.×:過去から持ち越してきた対人関係の歪みをカウンセラーに向けて展開する現象を「転移」という。ラポールは、リレーション、信頼関係のことである。

参考文献・資料

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会2018年)

日本ゲシュタルト療法学会

臨床心理学用語事典

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構2016年)

Wikipedia

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