第16回問26~問30の解き方
第16回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識
キャリア教育の問題点に関する出題です。資料自体は初出の資料となりますが、内容的には把握しておきたい問題点です。消去法でアプローチしましょう。
幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)
1.○:職場体験活動のみをもってキャリア教育を行ったものとみなしているのではないか、という点は、試験でもよく出題される「今後のキャリア教育・職業教育の在り方について」(中央教育審議会、平成23年)でも指摘されている問題点である。過去の出題も紹介する。【P55】
類似した過去問の解説:第11回問37
2.○:他には、職業を通じて未来の社会を創り上げていくという視点に乏しく、特定の既存組織のこれまでの在り方を前提に指導が行わているのではないか、といった課題も指摘されている。【P56】
3.○:さらに小・中学校では、特別活動の学級活動を中核としながら、総合的な学習の時間や学校行事、進路相談等の機会も活かしつつ、学校の教育活動全体を通じて行うことが求められるとしている。【P56】
4.×:高等学校の就業体験(インターンシップ)については、これまで主に卒業後に就職を希望する生徒が多い普通科や専門学科での実習を中心に行われてきたが、今後は大学進学希望者が多い高等学校においても、例えば研究者や大学等の卒業が前提となる資格を要する職業も含めた就業体験(アカデミック・インターンシップ)を充実させるなど、多様な展開が期待される。【P57】
キャリア教育の課題が指摘されるようになり、だいぶ時が経過していますが、2020年度からは新たにキャリア・パスポートの仕組みが導入され、キャリア教育は大きな一歩を歩みだしました。
キャリア・パスポートって何?という方は次のまとめもご確認ください。
問27.メンタルヘルスの知識
頻出資料である「職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針」からの出題です。4つのケアの特徴をおさえておきましょう。なお、本問は第2回問50と全く同様の問題でした。
職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針
1.○:セルフケアの内容として適切である。【P7】
2.×:この内容は、事業場外資源によるケアの内容である。【P7】
3.×:この内容は、ラインによるケアの内容である。【P7】
4.×:心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を担うのは、事業場外スタッフではなく、事業場内産業保健スタッフ等である。【P7】
類似した過去問の解説:第1回問49、第2回問50、第10回問50、第12回問50
問28.メンタルヘルスの知識
ストレスチェック制度に関する大問(選択肢4つ分の問題)は、第1回以来の久々の出題となりました。プライバシーの保護が正答選択肢のポイントとなり、比較的答えやすい問題でしたが、仕組みの内容、方法の知識を得るにはストレスチェック制度導入ガイドが役立ちます。移動時間やスキマ時間に一読しましょう。
1.○:ストレスチェック結果の評価方法、基準は、実施者の提案・助言、衛生委員会における調査審議を経て、事業者が決定する。【P8】
2.○:自覚症状が高い者や、自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い者を高ストレス者として選ぶのが原則である。【P8】
3.○:個人のストレスプロフィール、ストレスの程度、面接指導の対象者か否かの判定結果は、ストレスチェックの実施者から労働者に対し、必ず通知しなければならない。【P9】
4.×:結果は実施者から直接本人に通知される。事業者が結果を入手するには、結果の通知後に本人の同意が必要である。【P9】
類似した過去問の解説:第1回問50
問29.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
シャインの「キャリアサイクルの段階と課題」からの出題は、第2回で大問(選択肢4つ分)として出題されたほかには、第9回(問12)、第13回(問12)で出題されています。覚えておくことは大変ですから、「衰え・離脱期」にふさわしい内容を消去法で選択していきましょう。
なお、「キャリアサイクルの段階と課題」は木村先生の著書で、詳しく紹介されています。
1.×:「組織の現実的評価と長期的繁栄に自分の技術と才能を役だてる」ことは、「指導者役にあるキャリア後期」の直面する一般問題としてあげられている。【木村先生P65】
2.×:「他社の努力を統合し、広く影響を及ぼすようになる」ことは、「指導者役にあるキャリア後期」の直面する一般問題としてあげられている。【木村先生P65】
3.○:「衰え及び離脱」の時期は、「仕事が主ではない生活を送れるようになる」ことが直面する一般問題であり、「趣味、家庭、社会及び地域の活動などに、新たな満足源をどのように見つけるか」が特定の課題となる。【木村先生P65】
4.×:「主要部下を選抜し開発する」ことは、「指導者役にあるキャリア後期」の直面する一般問題としてあげられている。【木村先生P65】
類似した過去問の解説:第2回問10
問30.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
エリクソンの心理社会的発達課題は、個体発達分化の図式(漸成的発達理論)として、8つの段階で表現されており、これまでの出題も多いです。こちらも「老年期」に照らして適切なものを選択していきましょう。拙著でのまとめを掲載しておきます。
キャリアコンサルタント学科試験テキスト&問題集(第2版)P152より
1.×:親密性対孤立が発達課題となるのは、成人前期である。【岡田先生P81】
2.×:同一性対同一性拡散、つまりアイデンティティの確立を目指すのは、青年期である。なお、アイデンティティの概念を提唱したのは、エリクソンである。【岡田先生P79】
3.○:統合性対絶望が発達課題となるのは、老年期である。統合とは、自分自身の人生に必然性を持ち、自分の人生は自分の責任であるという事実を受け容れることである。【岡田先生P82】
4.×:世代性対停滞性が発達課題となるのは、成人期である。世代性とは、次の世代の確立と指導に対する興味や関心を指す。【岡田先生P82】
類似した過去問の解説:第5回問11、第8回問11、第14回問11
参考文献・資料
幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(PDF)
職場における心の健康づくり〜労働者の心の健康の保持増進のための指針(PDF)
ストレスチェック制度導入ガイド(PDF)
働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)
キャリアコンサルタント学科試験テキスト&問題集第2版原田政樹著(翔泳社2021年)