第17回問06~問10の解き方

第17回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

 理論家横断型の問題で、人名とキーワードの結びつきに違和感のあるものを、消去法で除外していくタイプの問題でしたが、何せ、ボーディンやブリルは初出題でしたので、初見では獲得できなくてもやむを得ないでしょう。ちなみに、どちらもみん合☆一問一答ではほぼ的中!でした。

選択肢1〜3の内容は、最頻出参考書である、木村先生の著書からの出題です。

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版

※木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。なお、2018年10月に出版された5訂版のページ数を表記しています。

1.○:ボーディンらは、「複雑な成人の職業選択活動は、単純な幼児期とまったく同じ本能的な源泉を含んでいる」という仮説をたて、乳幼児期における欲求に向かうタイプが、青年期の職業選択行動と対応しているとした。【木村先生P28】

2.×:フロイトの提唱した快楽主義と現実主義を適用して、職業選択はこの2つの原則を結びつけ、または妥協を図る行動領域であるとしたのは、ホランドではなく、ブリルである。【木村先生P27】

3.×:ローは親の養育態度を情緒型、拒否型、受容型の3つに分けたが、問題文の6つの類型に分類したのは、ホランドである。【木村先生P28】

4.×:サビカスのキャリア構築インタビューは、アドラー心理学の考え方を取り入れて開発したキャリア・スタイル・インタビューがルーツであり、構造化された面接により、クライエントから人生の目標やライフスタイルに関する情報を引き出すことが目的である。【ジルP55】 

なお、ユングの提唱する元型(アーキタイプ)とは、夜見る夢のイメージや象徴を生み出す源になる存在とされている。【参考サイト:臨床心理学辞典

問7.キャリアに関する理論

 キャリア理論家の人名と特徴に関する横断的な問題です。選択肢1の「4Sシステム」という呼び名や、選択肢4の元の文章は、岡田先生の著書で確認することができました。4以外は、積極的に適切と判断しやすい問題でした。

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストではありませんが、キャリア理論も体系的にまとめられている良書です。

1.○:転機を乗り越えるための資源として4Sシステム(Situation、Self、Supports、Strategies)の内容を吟味していくことにより、対処資源としての活用の可能性と脆弱さを明らかにできると考えた。【岡田先生P59】

2.○:クランボルツは、バンデューラの提唱した社会的学習理論を基礎におきながら、キャリア意思決定における社会的学習理論(SLTCDM:Social Learning Theory of Career Decision Making)を提唱した。【渡辺先生P136】

3.○:ハンセンの統合的人生設計(Integrative Life Planning)は、仕事をほかの生活上の役割との関係のなかで、または人生の中で捉える。【渡辺先生P208】

4.×:スーパーは、思春期におけるキャリア発達の中心的なプロセスが成熟であるとして、キャリア成熟(career maturity)の概念を見出し、キャリア成熟は「個々のライフ・ステージに相応しい発達課題について対処するためのレディネス」と定義した。【岡田先生P51】

問8.カウンセリングに関する理論

 出題の素材は、アイビイのマイクロカウンセリングであり、「積極技法」に関する内容理解を問う問題でした。養成講座テキストなどのマイクロカウンセリングの階層表の説明を確認しましょう。

養成講座テキストが無い、もしくは載っていないという方は、日本におけるマイクロカウンセリング研究の第一人者である、福原先生の著書で確認をしましょう。

マイクロカウンセリング技法-事例場面から学ぶ-

本書には、良い例、悪い例の逐語録やDVD(面談ロープレ)が収載されており、論述対策、面接対策にも活用できる、おすすめの一冊です。アイビイのマイクロカウンセリング技法は、どちらの登録試験機関の実技試験でも、共通的に活用できると捉えています。

1.×:積極技法における「情報提供」は、カウンセラーからクライエントに新しい情報を与えることである。【福原先生P14】

福祉、医療、法律に関することは「必ず」リファーした方が良いというのは極端であり、不適切である。これらの内容であっても、出来る情報提供はある。

2.○:積極技法における「自己開示」は、カウンセラーが自分の考えや経験などをクライエントに伝えることをいう。【福原先生P13】

3.×:積極技法における「フィードバック」はカウンセラーあるいは第三者がクライエントをどう見ているかという資料を与えることである。【福原先生P13】カウンセラーの感想や感情、意見という主観的な内容を積極的に伝えるのは適切とは言えない。

4.×:積極技法における「指示」は、カウンセラーがクライエントにどのような行動をとってほしいかを明確に示すことである。【福原先生P12】

なお、クライエントの行動によって、予測される良い結果、悪い結果の両方について考えるように促すことは、積極技法における「論理的帰結」という。【福原先生P13】

マイクロカウンセリングに関しては、これまでも定期的に出題されていますので、過去問を横断的にヨコ解きするのがおすすめです。[第1回問30第6回問31第8回問40第10回問29第12回問33

問9.カウンセリングに関する理論

 概ね毎回出題される出題形式で、理論家とキーワードの組み合わせを選ぶ問題ですが、選択肢の1にはやや違和感を感じるのと、選択肢の4はどの点が不適切なのかが不明な状況です。

1.×:森田療法は森田正馬(もりたまさたけ)が創始した日本独自の精神療法であり、神経症(恐怖症、強迫神経症、不安神経症、心気症など)を治療の対象としており、症状へのとらわれから脱し、「あるがまま」の心の姿勢を獲得できるよう援助する。【参考サイト:メンタルヘルス岡本記念財団

森田療法は「あるがまま」を重要なキーワードとしており、浄土真宗においてもまた、「あるがまま」を重視する考え方があるため、繋がりが全く無いと断言することは難しいが、出題意図としては、森田療法ではなく、吉本伊信の内観療法は浄土真宗の修行法である「見調べ」を体験するため、内観療法との違いを選択肢の用語にあげているのではないかと考えられる。

そのため、今後の試験対策を考えると、「吉本伊信-内観療法-浄土真宗」のつながりをおさえておきたい。

2.○:ロジャーズといえば、来談者中心療法であり、エンカウンター・グループはロジャーズが創始した。【Wikipedia

ロジャーズが創始した、エンカウンター・グループは参加者のフリートークを主体とするのに対して、國分康孝が創始した構成的グループ・エンカウンターはその名のとおり、構成的であり、グループ・ワークやエクササイズが行われるのが特徴です。

3.×:パールズ-ゲシュタルト療法のつながりは適切だが、「意味への意志」は、フランクルの著作である。なお、パールズのゲシュタルト療法は2回連続の出題。[第16回問9

フランクルは、ナチスにより強制収容所に送られた体験を「夜と霧」に記したことで有名です。ちなみに「夜と霧」は第10回問32でも出題されていて、その時も「パールズ-ゲシュタルト療法-夜と霧」という形で出題され不適切な選択肢の扱いでした。

4.×※:交流分析はバーンによって開発された対人援助の理論と技法の体系であり、「今、ここ」の感覚や、人間と人間の実存的出会いを土台とするため、人間性心理学の理論として位置づけられる。【ジルP108】

※正答では、不適切な設問(×)とされているのですが、JILPT資料シリーズNo.165(ジル資料)にも上記のように記されており、選択肢の内容のどの点が不適切なのかは判明していません。

また、人間性心理学は感情的アプローチに分類されますが、クライエントの自身の現在の見方、感じ方を重視するのが特徴であり、「今、ここに」集中することを重視します。【木村先生P42】

ちなみに過去には「パールズ-ゲシュタルト療法-『いま、ここ』での気づき」が適切な選択肢として出題されたことがあります。[第12回問28

問10.カウンセリングに関する理論

 前回に続き、フロイトの精神分析に関する出題です。修正情動体験やカタルシスといった用語は初めての出題であり、初見では正答が導けなくてもやむを得ないでしょう。

1.○:前意識は普段は気がついていないが、何かのきっかけで意識にのぼったり思いだそうと努力することで思い出せる領域である。【ジルP102】

2.○:修正情動体験は、幼児期に親との間で体験したことの影響について、カウンセラーとの関係の中で体験し直すことにより、その影響を修正しようとするものである。【参考サイト:心理学用語の学習

3.×:カタルシス(カタルシス効果)とは、自らでは対処することが困難な衝動や欲求、葛藤などを、言語や非言語で表現することによって発散することで、症状などがなくなる現象のことをいう。心の浄化作用とも呼ばれる。【参考サイト:心理学用語集サイコタム

なお、転移は、クライエントが過去に特定の人物に対して持っていた感情や欲求、葛藤などが、カウンセラーなどに向けられるものであり、退行は言動が幼児期に戻ったように子供っぽくなることをいう。

4.○:取り入れは防衛機制の一つで摂取とも言う。例えば憧れの人などを模倣して、相手の属性を自分のものに取り込むことをいう。【ジルP103】

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会2018年)

臨床心理学辞典

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

マイクロカウンセリング技法福原眞知子著(風間書房2007年)

メンタルヘルス岡本記念財団

Wikipedia

心理学用語の学習

心理学用語集サイコタム

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構2016年)

問11~問15へ進む

全50問の目次