第22回問06~問10の解き方

第22回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

 キャリア構築インタビュー(キャリアアストーリーインタビュー)の項目については、渡辺先生の著書に列挙されていますが、仲間外れを探すのは比較的容易だったのではないでしょうか。ここでは「親の養育態度」について、特に解説します。

正答:2

1.○:幼少期の思い出は、質問項目として適切である。【渡辺先生P104】

2.×:親の養育態度が職業選択に影響を及ぼすと考えるのは、キャリア行動を精神力動的なアプローチで分析する捉え方であり、サビカスとは特に関係がない。【渡辺先生P23】

渡辺先生の著書では、キャリア行動を分析するアプローチ法について、特性論からのアプローチ、精神力動(精神分析)的なアプローチ、発達論からのアプローチ、学習理論からのアプローチに大別をしている。

著書には記述は無いが、親の養育態度が職業選択に影響すると捉えた理論家は、精神力動(精神分析)的なアプローチの「ロー」の理論である。

ローは、パーソナリティの個人差は親の養育態度によってもたらされるとし、親の養育態度を情緒型、拒否型、受容型の3つに分け、パーソナリティの個人差と職業選択との関係について関連づけている。

この理論がすべて実証されているわけではないとしているが、職業選択における家族の心理的影響、親子の欲求充足のメカニズムがキャリア形成に強い関係があることは否定できない、としている。

【木村先生⑤P28、⑥記載無し】

上記のローの理論は、木村先生の著書の5訂版では記載があったのですが、6訂版では残念ながら記載がありません。

キャリアコンサルティング理論と実際

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。

3.○:好きなストーリーは、質問項目として適切である。【渡辺先生P104】

4.○:指針となる言葉は、質問項目として適切である。【渡辺先生P104】

なお、「ストーリー」や「指針」という表現は渡辺先生の著書には直接的には無く、ニュアンスが読み取れる程度だが、木村先生の6訂版の方が、より直接的な表現がある(5訂版には無い)。【木村先生⑤記載無し、⑥P84】

問7.キャリアに関する理論

 スーパーの発達的アプローチの14の命題について、本格的に内容が問われることは国家試験ではあまりありませんでしたが、似たような出題は、2級技能検定でありました[2級第20回問32]。

発達的アプローチの14の命題は文字も多く、読みやすいとは言えないが、各文章の一行目だけでも読んでおくと、職業的自己概念の発達について理解が深まります。

正答:4

1.○:発達的アプローチの14の命題の内容である(1)。【渡辺先生P52】

2.○:発達的アプローチの14の命題の内容である(10)。【渡辺先生P52】

3.○:発達的アプローチの14の命題の内容である(13)。【渡辺先生P52】

4.×:14の命題の内容ではない。自己効力感は社会的学習理論で知られるバンデューラの理論であり、スーパーの理論とは関係がない。

キャリア・アダプタビティはサビカスのキャリア構築理論の3大テーマとしてよく知られるが、スーパーは、成人期以降のキャリア成熟にとって、職業選択と適応の重要性を提唱しており、キャリア・アダプタビリティの概念を最初に提示している。

サビカスはこのスーパーの研究を引き継ぎ、キャリア構築理論の中心概念として取り入れたと理解しておく。【渡辺先生P94】

問8.カウンセリングに関する理論

 難しい選択肢もありましたが、ナラティブ・アプローチがクライエントの語りが客観的なものではなく、物語的真実であることを理解していれば、正答選択肢の判断は比較的しやすい問題でした。

ちなみに、選択肢3、4の文章に少しの違いありましたが、第13回問33とほぼ同じ内容でした。

正答:1

1.×:ナラティブ・アプローチにより語られた内容は、「物語的真実」であるため、客観的な、歴史的な事実とは異なる場合もある。【渡辺先生P103】

2.○:「キャリアストーリーを語ることは、個人にとっての意味を作り出し、将来を形作るための能動的な試みである。」【渡辺先生P103】

3.○:ナラティブ・セラピーにおいては、社会通念(ディスコース)や専門的知識を一旦、脇に置き、カウンセラーは、クライエントの内的世界に対して好奇心を持ち続ける。【ジルP158:PDF

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

4.○:選択肢の文章は難しい表現だが、次のような意味と思われる。

ナラティブ・アプローチは、問題を抱えているクライエントがもつ支配的なストーリー(問題が染み込んだストーリー)を、望ましく代替されたストーリー(問題から解放されたストーリー)へと書き換えることによって、クライエントにとって意味のあるストーリーを語れるように支援する。【ジルP157】

問9.カウンセリングに関する理論

 選択肢1の積極的を適切と判断しづらい場合には、消去放でアプローチすることが有効な問題でした。選択肢2、3、4については、積極的に誤りを指摘することができるようにしておきたい内容です。

正答:1

1.○:難しい表現だが、理想自己を、仮に「自己概念」、現実自己を、仮に「経験」に置き換えると読み取りやすい。木村先生の著書にある、領域Ⅱの「歪曲された部分」、領域Ⅲの「拒否された部分」に該当する。

ロジャーズの来談者中心療法は、自己概念と経験が不一致を起こしており不適応状態にある場合に、それが一致する方向へ援助するのがカウンセリングの役割であるとしている。【木村先生⑤P42、⑥P115】

2.×:これは行動療法の内容である。行動療法では、個人の病的症状や問題行動は、不適切な行動の学習や、適切な行動の未学習によって引き起こされるとしている。【木村先生⑤P48、⑥P120】

内観療法は、身近な人について「してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたこと」を調べ、心の問題を改善する日本の精神療法であり、吉本伊信が提唱した。

3.×:ヒステリー研究は、アドラーではなく、ジークムント・フロイトが研究、提唱した。【ジルP102】

4.×:論理療法は、不快な感情は非論理的信念(イラショナル・ビリーフ)によってもたらされるとした。【木村先生⑤P47、⑥P118】

この文章だけでは判断は難しいが、文章の内容はこれまでにも何度か出題されているシステムズ・アプローチによる家族療法を示している可能性がある。

システムズ・アプローチによる家族療法は、家族成員に原因を求めるのではなく、家族全体を対象とし、「家族システムの問題」と捉え解決を図る。個(部分)の問題ではなく、全体(システム)の問題として捉える特徴がある。

問10.カウンセリングに関する理論

 理論家と理論名、キーワードの繋がりを問う、このようなタイプの問題は第9回から毎回出題されており、理論家、理論について出尽くされています。十分に対策をしておきましょう。

正答:1

1.○:交流分析はバーンによって開発された心理療法で、構造分析、交流パターン分析、ゲーム分析、脚本分析の4つの分析により、人格的成長や、不適応などの変容を図る。

2.×:来談者中心療法と実現傾向といえば、ロジャーズ。来談者が本来持っている自ら自己実現しようとする力に着目して、自己概念と経験が一致する方向へ、カウンセラーは援助を行う。

シュルツは、自己暗示の練習によって段階的に全身の緊張を解いていく訓練法である自律訓練法を開発したドイツの精神科医である。第21回でも出題されている。

3.×:ゲシュタルト療法、「今、ここ」での気づきといえば、パールズである。

4.×:自律訓練法は、選択肢2で人名が登場したシュルツが開発した、自己催眠によって全身の緊張を解いていくリラクセーション法であり、レスポンデント条件づけによる行動療法に位置づけられる。

受動的注意集中とは、意識をすることなく、あくまで受動的に感じることいい、自律訓練法によるリラクセーションを図るための自己コントールの方法である。

【参考サイト:ウェルリンク

心理療法の名称と提唱者、キーワードに関する出題は、これまでに出尽くされた感があり、拙著の総仕上げ問題集初版(P94~P97)にて、これまでに出題された人名やキーワードを、総ざらい確認することができます。お持ちの方はご活用ください。

シュルツは載っていませんが…(汗)

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構2016年)

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