第24回問01~問05の解き方

第24回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開です。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

【B】出題御三家資料の一つ、労働経済の分析からの出題です。労働経済の分析からの出題は、今回も前回と同様、3問出題されました(問1、問18、問19)。

 令和4年版労働経済の分析

正答:2

1.×:産業間の労働移動は男女ともに大学・大学院卒以上の学歴が高い層でやや活発化している可能性がある。【P155】

2.○:同一産業内への労働移動性向をみると、同一産業内での労働移動は他産業への労働移動と比較すると行われやすく、とりわけ「情報通信業」でその水準が顕著に高い。【P157】

3.×:各産業から「情報通信業」「医療、福祉」への労働移動性向はおおむね1を下回っており、2019年以前から低水準で推移している。

2020年以降についても、いずれの産業からの労働移動性向も大きく高まってはおらず、感染症の影響下でこれらの産業への他産業からの労働移動が行われやすくなった傾向はみられない。【P158】

4.×:組み合わせが異なる。

職種間の労働移動性向は、「販売従事者」と「サービス職業従事者」の間や、「生産工程従事者」と「運搬・清掃・包装等従事者」の間で比較的高い。【P164】

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

【B】こちらも御三家、能力開発基本調査からの出題です。予想通り、現時点で最新の令和4年度版からの出題です。この調査からは、今回は2問が出題されました(問2、問11)。

選択肢1など、表現方法に、一捻りありましたが、キャリアコンサルティングが役立ったことの第1位は、即答できるようにしておきましょう。

 令和4年度能力開発基本調査

正答:3

1.×:令和3年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、「労働者全体」では10.5%であり、「正社員」では13.5%、「正社員以外」では5.1%であった。【P57】

つまり、正社員で約7人に1人の割合である。

2.×:キャリアに関する相談をする主な組織・機関については、「職場の上司・管理者」を挙げる者の割合が、正社員、正社員以外ともに最も高くなっている。【P57】

3.○:キャリアに関する相談が役立ったことの内訳は、「仕事に対する意識が高まった」を挙げる者の割合が、正社員、正社員以外ともに最も高くなっている。【P57】

4.×:キャリアコンサルタントに相談したい内容は、正社員では、「将来のキャリアプラン」が最も多く、正社員以外では、「適切な職業能力開発の方法(資格取得、効果的な自己啓発の方法等)」が最も多い。【P60】 

問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

【A】出題御三家資料が、冒頭に出揃いました。この資料からの出題は、このような「記載の有無」に関する問いが多い傾向があります。

読んだことがないと、選択ができませんので、通読必須の資料と位置づけましょう。楽習ノートプラスのまとめや問題もご活用ください。

 第11次職業能力開発基本計画

正答:4

1.○:「ITや新たな技術を活用した職業訓練等の推進」のための施策として適切である。【14スライド目】

2.○:「企業・業界における人材育成の強化」のための施策として適切である。【15スライド目】

3.○:「女性の職業能力開発」のための施策として適切である。【31スライド目】

4.×:「若者の職業能力開発」のための施策として、次の施策があげられている。

学校生活から就労への円滑な移行のため、キャリア教育を行う専門人材の養成が求められていることから、キャリア教育に資するキャリアコンサルタントを養成する。【33スライド目】

問4.キャリアに関する理論 

【A】しばらく大問(選択肢4つ分の問題)として出題されておらず、このところ毎回、予想トピックにあげていた、シャインがようやく出題されました。大問での出題は第20回以来です。内容はキャリア・アンカーの種類を問う、標準的な内容でした。

ご自身のキャリア・アンカーも確認しながら、もしくは周囲の方のキャリア・アンカーを想像しながら、内容を理解しましょう。

正答:1

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。

新版キャリアの心理学(第2版)

1.×:制限や規則に縛られず.自律的に職務が進められることを重要とするのは、「自立/独立(自由)」の内容である。【渡辺先生P161】

なお、「起業家的創造性」は、新規にみずからのアイデアで起業・創業することを望む。【渡辺先生P161】

2.○:「純粋な挑戦」の内容として適切である。【渡辺先生P161】

3.○:「全般管理コンピテンス」の内容として適切である。【渡辺先生P161】

4.○:「保障/安定」の内容として適切である。【渡辺先生P161】

問5.キャリアに関する理論

【A】大問でのパーソンズの出題は、これまであまり多くありませんが(第7回問6、第14回問8)、パーソンズの特性因子理論、マッチング理論の理解があれば、正答選択肢の選択は比較的容易な問題でした。

正答:2

1.×:個人のレディネス(対処のために個人がどの程度準備できているか)の程度を重視することについては、スーパーの「発達的アプローチに関する14の命題」の7で言及している。【渡辺先生P53】

2.○:パーソンズの理論は、マッチングの理論とも呼ばれ、「人間には個人差があり、職業には職業差がある。両者をうまく合致することが可能であり、そのことが良い職業選択や職業適応である」としている。【木村先生⑤P23、⑥P64】

キャリアコンサルティング理論と実際

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上にぜひご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。

3.×:個人と環境はいずれも 6つのタイプに分類されると主張したのは、ホランドである。【木村先生⑤P30、⑥P154】

4.×:6領域に基づいたキャリア・アセスメントツールとして、VPI 職業興味検査を開発したのは、ホランドである。【木村先生⑤P30、⑥P154】

参考文献・資料

令和4年版労働経済の分析(PDF)

令和4年度能力開発基本調査(PDF)

第11次職業能力開発基本計画(PDF)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年) 

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