第29回問26~問30の解き方

第29回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【C】社会情緒的能力は、育成すべき資質・能力の3つの柱の一つである、「学びに向かう力・人間性」に深く影響し、無関係とはいえないため、完全に不適切とは言えないのではないかと捉えています。

正答:2

学習指導要領では、育成すべき資質・能力を、次の三つの柱で整理している。【文部科学省

①個別の知識・技能:何を知っているか、何ができるか
②思考力・判断力・表現力等:知っていること・できることをどう使うか
③学びに向かう力、人間性等:どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送れるか

1.○:「学びに向かう力、人間性」は、①、②の資質・能力を、どのような方向性で働かせていくかを決定付ける重要な要素である。

2.×:社会情緒的能力とは、自己と他者の感情を理解し、適切に管理し、他者と良好な関係を築き、目標を達成するために必要な能力の総称である。【参考サイト:国立教育政策研究所

社会情緒的能力は、上記の③に影響するため、無関係ではなく、不適切とは言い切れないところもあるが、柱や方向性として学習指導要領に明記されているわけではないため、最も不適切な選択肢として判断している。【参考サイト:Sky

3.○:「知識・技能」は、各教科等に関する個別の知識や技能などであり、身体的技能や芸術表現のための技能等も含む。

4.○:「思考力・判断力・表現力」は、問題発見・解決や協働的問題解決に必要な力である。

問27.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【A】自己理解の支援での出題範囲ではなく、学校教育の出題範囲の中で、アセスメントの留意点、活用法などが問われたのは初めてですが、検査結果へ誘導するような支援は適切ではありません。

まず、職業レディネス・テストの特徴を確認しておきましょう。

職業レディネス・テストは、ホランド理論に基づく6つの興味領域に対する興味の程度と自信度を表示する。職業興味を測定するA検査と基礎的志向性を測定するB検査、職務遂行の自信度を測定するC検査からなる。

正答:3

1.○:職業レディネス・テストの実施効果の内容として適切である。

2.○:職業レディネス・テストにより、様々な職業を知ることにも繋がり、期待される効果として適切である。

3.×:検査には限界があり、拡大解釈をしてはならない。

特に、教員が生徒がその適性に沿った職業に興味・価値観を合わせるよう導くことは不適切である。

4.○:グループワークによるふり返りや、フィードバックを行うことは適切である。

問28.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【B】学校基本調査については、模試などでは常にマークをしていましたが(第29回対策でも出題)、国家試験では第21回問25以来の出題でした。なお、2級では最近も出題がありました(第33回問21)。

なお、今回の出題は「令和5年度」でしたが、「令和6年度」の結果も反映しました。令和6年度に照らし合わせると、正答無しに変化します。

 令和5年度学校基本統計結果の概要

 令和6年度学校基本統計結果の概要

正答:2※

1.○:高等教育機関への進学率は84.0%で、前年度より0.2ポイント上昇し、過去最高であった。【P5】

高等教育機関への進学率は87.3%で、前年度より3.3ポイント上昇し、過去最高を更新している。【令和6年度P5】

2.×:専門学校進学率は21.9%で、前年度より0.6ポイント低下している。【P5】

専門学校進学率は24.0%で、前年度より2.1ポイント上昇し、過去最高であった。【令和6年度P5】

※令和6年度調査に照らし合わせると適切な選択肢であり、正答は無しとなる。

3.○:短期大学(本科)進学率は、平成6年の13.2%をピークに、令和5年には3.4%まで低下している。【P5】

短期大学(本科)進学率は、平成6年の13.2%をピークに、令和6年には3.1%まで低下している。【令和6年度P5】

4.○:大学(学部)進学率は57.7%で、前年度より1.1ポイント上昇し、過去最高であった。【P5】

大学(学部)進学率は59.1%で、前年度より1.4ポイント上昇し、過去最高を更新している。【令和6年度P5】

問29.メンタルヘルスの知識

【A】「職場復帰支援の手引き」については、国家試験では第22回問27以来、出題がありませんでしたが、2級の直近回(第34回問23)や、第29回対策みん合☆総仕上げ模試(問28)でも出題していました。

 改訂 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

正答:3

1.○:労働者が病気休業期間中に安心して療養に専念できるよう、これらの情報提供等の支援を行うことは適切である。【P2】

2.○:職場復帰の可否について、診断書の内容だけでは不十分な場合、産業医等は労働者の同意を得た上で、必要な内容について主治医からの情報や意見を収集する。【P2】

3.×:職場復帰が可能か、事業場内産業保健スタッフ等が中心となって判断を行う。【P3】

4.○:職場復帰後のフォローアップの内容として適切である。【P4】

問30.メンタルヘルスの知識

【A】選択肢4は、発達障害者に対するものでないにしても、適切な指導とは言えません。職務上の注意や指導に、本人が「非難された」と感じさせる必要はありません。

正答:4

1.○:事業者側の負担が重すぎない範囲内で、発達障害のある人の特性を活かしやすい職務を提供したり、新たな作業などを組み合わせることで、雇用するための職務を創り出すことは適切である。

2.○:発達障害者の職場定着、職場適応を容易にするため、きめ細かな人的支援を行うジョブコーチを活用することは適切である。【厚生労働省

3.○:これらの感覚過敏の人に対しては、サングラスや耳栓・ヘッドフォンの使用を認める、衝立を用意して周囲と遮断された空間を用意する等の配慮を行っている事例がある。【合理的配慮指針事例集(第3版)P72:PDF

4.×:本人が非難されたと感じるほど、強い口調や大きな声ではっきりと注意することは適切ではない。

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