第21回問31~問35の解き方

第21回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.個人の多様な特性の知識

 発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的とした専門的機関です。都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。

なお、同センターに関する出題は、初めてです。事業内容について確認をしておきましょう。

発達障害者支援センターの事業内容

1.○:発達障害児(者)とその家族に対して相談に応じアドバイスをしたり、知的発達や生活スキルに関する発達検査を実施している。

2.×:センターでは発達検査などを実施したり、就労を希望する発達障害者に対する支援を行っており、各種支援については、障害者手帳の取得や発達障害の診断を受けた人のみに限定しているわけではない。

3.○:発達障害などの一次障害を原因として、うつ病、不安障害、ひきこもりなどの二次障害が生じることがあり、就労支援を受ける前段階として取り組むべき課題を抱えている人もいる。

4.○:就労に関する相談、労働関係機関と連携した情報提供のほか、必要に応じてセンターのスタッフが就労先等を訪問し、障害特性や就業適性に関する助言作業工程や環境の調整などを行うこともある。

問32.個人の多様な特性の知識

 報告書の中から切り取られた用語や表現で、客観的な判断をすることが難しい内容もありましたが、若者の就労における問題点や、抱える悩みから消去法でアプローチしましょう。

 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書

1.×:社会や家庭で様々な役割を一人で抱え込んで行き詰まる傾向があるのは、若者よりも育児期の女性にみられる。【P39】

2.○:若者向け支援に関する内容として適切である。【P35】

3.×:現状をネガティブに捉えている場合には、変化に柔軟に対応できるとはいえず、ポジティブリフレーミング(物事を捉える枠組みの変容)や内発的動機づけのスキルの涵養が必要である【P38】

4.×:職業経験に恵まれず、正社員として働くための技能が不足していると思われる場合には、能力・スキルの目処を思い込みで立てるべきではない。

問33.個人の多様な特性の知識

 障害者の就職支援について、就業支援ハンドブック(初出題)からの出題で、初見では判断の難しい選択肢もありましたが、支援の基本姿勢から正答自体は容易に選択することが出来ます。

そのような問題も本試験ではあることを、念頭に入れておきましょう。

就業支援ハンドブック(デジタルブック)

1.○:就業支援の3つのプロセスとして適切である【P2

2.○:アセスメントの進め方として適切である。【P3

3.×:「支援者」が考える価値観やプランの理解を求めることを重視するのは支援の基本姿勢から不適切である。【P10

4.○:ケース会議は支援に関わる関係機関の支援者に集まってもらうとともに、可能な限り利用者本人や家族等の出席を求める。【P25

問34.カウンセリングの技能

 國分康孝先生の「カウンセリングの技法」にある応答技法に関する出題です。なお、同じような趣旨の問題は、前回を含めて、次の回で出題されており、出題可能性は高いとは言えないのですが、國分先生の著書の中でもこちらの「技法」は、実技試験対策としても、とてもおすすめです。

第4回問32 第9回問28 第20回問34(第4回問32と同じ問題)

「カウンセリングの技法」は、肩肘張らずに気軽に読めて、面接技法や心構えが学べる本です。約40年も前に書かれた本ですが、表現が明快で今でも新鮮に感じることも多い、目からうろこの一冊で、合格でも良いので、是非お読みください。なお、國分先生は2018年4月にご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。

カウンセリングの技法 國分康孝著

1.×:これは支持ではなく、受容である。

カウンセラーは自分の考えに固執することなく、クライエントを受容することで、クライエントはカウンセラーを受け入れる。【P27】

2.×:これは明確化ではなく、支持である。支持をすることによって、クライエントはカウンセラーに受容されているという思いが促進される。【P33】

3.○:繰り返しの内容として適切である。クライエントから聞いたことを繰り返すことにより、クライエントの自問自答を促すことができる。【P37】

4.×:受容ではなく、明確化である。クライエントは言葉にしていないが気づいていることをカウンセラーが言葉にして明確することで、クライエントの思いを明らかにする。【P42】

問35.グループアプローチの技能

 グループアプローチの種類に関する出題でしたが、第16回問35と全く同じ内容でした。

1.○:セルフヘルプ・グループは、自助グループとも呼ばれる。

病気や同じ問題、悩みを抱えている人たちが、各自の思いや体験を聞き、話すことで共有し、悩みや苦しみを分かち合い、自分らしく生きていく力を得るために集まるグループのことである。自分は一人ではないということを知り、癒やされていく。【参考サイト:コトバンク

2.×:サイコドラマではなく、Tグループの内容である。レヴィンが提唱したTグループは、Training Groupの略であり、参加者相互の自由なコミュニケーションにより、自己理解、他者理解、リーダーシップなどの人間関係に気づきを得て、人間的成長を得るための学習方法である。【参考サイト:INVENIO

3.×:Tグループではなく、サイコドラマの内容である。サイコドラマは、心理劇とも呼ばれ、クライエントが抱える問題を、演技を通じて理解を深めて解決を目指す集団心理療法であり、精神科医のモレノにより創始された。

4.×:ベーシック・エンカウンター・グループは、あらかじめエクササイズなどの課題は用意せずにフリートークを主体に行う。それに対して構成的グループエンカウンターでは、あらかじめエクササイズなどの課題が用意されている。参考サイト【心理学用語集サイコタム

参考文献・資料

発達障害情報・支援センター

労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書(PDF)

就業支援ハンドブック(デジタルブック)

コトバンク

INVENIO

心理学用語集サイコタム

カウンセリングの技法國分康孝著(誠信書房1979年)

問36~問40へ進む

全50問の目次