【技能検定1級】第11回問11~問15の解き方

第11回キャリアコンサルティング技能検定1級学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問11.企業におけるキャリア形成支援の知識

 選択肢5などは判断が難しいものの、正答選択肢の2の判断は比較的容易でした。

1.○:地域限定正社員への応募意向は学生全体で72.6%、職務限定正社員への応募意向は学生全体で58.0%である。【大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査(P1):PDF

2.×:自由に変更できるわけではない。

人事権とは、採用や配置転換、出向や転籍、昇格、降格などの労働者の地位の変動や処遇に関する使用者の決定権限のことであり、その行使には様々な法規制がある。たとえば、配転命令や、出向命令の「権利濫用による制約」である。

3.○:解雇権の濫用は、無効とされる。【労働契約法第十六条

4.○:職務給とは、職務の難易度や責任の度合いに応じて給与を支払う制度であり、職務が変わらない限り賃金も変わらないのが原則である。

5.○:この調査では、「職務、勤務地、勤務時間等が限定される正社員」を「多様な正社員」と位置づけており、300~999人の事業所規模では30.6%、1,000人以上の事業所規模では34.0%と規模が大きくなるについて割合が高くなっている。【令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(P6):PDF

問12.企業におけるキャリア形成支援の知識

 資料、データの細かな内容が問われており、初見では正解できなくてもやむを得ない捨て問題です。意外に思うデータがありましたら、特に印象付けておきましょう。

1.○:勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合は、「導入している」が 4.2%、「導入を予定又は検討している」が 15.9%、「導入予定はなく、検討もしていない」が 78.3%となっている。【令和2年就労条件総合調査の概況(P10):PDF

2.×:令和3年3月末時点の資料が見当たらず、令和4年3月末時点の資料を参照しているが、高度プロフェッショナル制度の対象労働者数は665人である。【高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況(令和4年3月末時点):PDF

3.×:フレックスタイム制は、「一定の期間」についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度である。この「一定の期間」を清算期間と呼び、上限はかつては1か月であったが、2019年からは3か月となった。【フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引:PDF

4.×:年次有給休暇の計画的付与制度がある企業割合は 43.2%となっており、1,000人以上の規模の企業でも46.4%であり、1,000人以上の規模の企業でも無い企業の方が多い(53.6%)。【令和2年就労条件総合調査の概況(P7):PDF

5.×:労働基準法第三十八条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、 労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定し、労働基準法上の義務を負うのは、当該労働者を使用することにより、法定労働時間を超えて当該労働者を労働させるに至った使用者であるとしている。【「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A(P1):PDF

問13.企業におけるキャリア形成支援の知識

 出典が不明なものが多かったですが、正誤判断をしやすい易しい問題でした。

1.×:女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主に対して、一般事業主行動計画の策定義務を設けていたり、女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主への認定(えるぼし認定)を設けるなど、企業による支援も重視している。【厚生労働省

2.×:出典は不明だが、OJTの実施者は、人事部門というより、ラインの部門長や管理職の方が一般的と思われる。

3.×:出向は、個々の従業員の特性を考慮したキャリア形成支援として行われることもある。

4.×:出題の意図が、やや不明だがキャリア形成のため能力向上を図っていくには、派遣先の企業で正社員として雇用される以外にも様々な選択肢がある。

5.○:個人の自助努力とともに、挑戦的な仕事の機会の提供など、企業による支援も必要である。

問14.労働市場の知識

 3と5で迷う問題でした。選択肢2などもひと捻りあり、意外性も盛り込まれた難しい問題でした。

1.×:2020年平均の完全失業率は2.8%と前年に比べて0.4ポイント上昇し、有効求人倍率は1.18倍となり、前年に比べて0.42ポイント低下した。

2.×:休業者は、従業者とともに就業者に区分され、完全失業者には含まれない。【総務省統計局

3.○:「非自発的な離職」は2020年平均で54万人で、前年比17万人の増加となり、「自発的な離職」は、73万人と3万人の増加となった。実数は「非自発的な離職」の方が少ないが、増加数では大きく上回っている。【労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約 (P15):PDF

4.×:コロナ禍での特徴とも言えるが、正規雇用は増加、非正規雇用は減少している。【労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約 (P8):PDF

5.×:中小企業の方が、割合が高い。66歳以上まで働ける制度のある企業の割合は33.4%であり、企業規模別では中小企業は34.0%で大企業で28.2%である。【令和2年「高年齢者の雇用状況」(P7):PDF

問15.労働市場の知識

 感覚的に違和感の少ない選択肢が多く、特に正解選択肢の内容は、やはりそうですよね、という内容でした。

1.×:年齢階級別育児をしている女性の有業率は、2012年と比べて全ての年齢階級において上昇しており、45歳以上が最も高い。【平成29年就業構造基本調査 結果の概要(P2):PDF

平成29年就業構造基本調査 結果の概要P2より

2.×:出産・育児のために過去5年間に前職を離職した者の割合は、前回5.8%から、5.1%に低下している。【平成29年就業構造基本調査 結果の概要(P3):PDF

3.○:「介護・看護のため」に前職を離職した者についてみると、9万9千人で、うち男性は2万4千人、女性は7万5千人となっており、女性が約8割を占めている。【平成29年就業構造基本調査 結果の概要(P6):PDF

4.×:育児休業取得率は、女性が81.6%、男性が12.65%である。【「令和2年度雇用均等基本調査」の結果概要(P17):PDF

5.×:男性の育児休業取得率は、2020年度で12.65%だが、近年大きく上昇している。【「令和2年度雇用均等基本調査」の結果概要(P18):PDF

「令和2年度雇用均等基本調査」の結果概要(P18より)

参考文献・資料

大学生・大学院生の多様な採用に対するニーズ調査(PDF)

労働契約法

令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(PDF)

令和2年就労条件総合調査の概況(PDF)

高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況(令和4年3月末時点)(PDF)

フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引(PDF)

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A(PDF)

厚生労働省

総務省統計局

労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)平均結果の要約(PDF)

令和2年「高年齢者の雇用状況」(PDF)

平成29年就業構造基本調査 結果の概要(PDF)

「令和2年度雇用均等基本調査」の結果概要(PDF)

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