第29回問31~問35の解き方
第29回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問31.人生の転機の知識
【A】転機に関する理論家横断型の問題で、第19回問32の一部改題でした。この問題は、それ以前にも出題があり、アレンジしながら繰り返し出題されています。
正答:4
1.○:シュロスバーグの4Sの内容として適切である。【渡辺先生P193】
2.○:スーパーは、職業的発達段階において、発達段階の間には、歴年齢にゆるく関連した「移行期(Transition)」があるとした。【渡辺先生P45】
過去には「ゆるく」ではなく、「強く関連した」と出題されたこともあり、その場合には不適切である。
3.○:ブリッジズの転機は終わりから始まる。【岡田先生P86】
4.×:「予期せぬ出来事」は、クランボルツのプランドハプンスタンス理論を、「過渡期」はレビンソンの発達段階を思わせる。
ジェラットは積極的不確実性を提唱した。【渡辺先生P119】
問32.個人の多様な特性の知識
【A】国家試験で大問として出題されるのは8回目です。ガイドラインのP3からの出題が特に多いですが、非常に良く出題されていますから、可能な範囲でヨコ解きしておくと安心です。
正答:4
1.○:これらの就業上の措置や、治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。【P3】
2.○:これらの労働者本人の取組も重要である。【P3】
3.○:疾病に関する情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならない。【P3】
4.×:治療と仕事の両立を図るための事業者による取組は、労働者の健康確保という意義とともに、組織としての社会的責任の実現、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現といった意義もある。【P2】
申出がない場合でも、申出のあった際に適切に対応ができるよう、あらかじめ組織としての対策を講じたり、取組みを行う必要がある。
最近の試験では次の回で出題されています。よく出ています。出題のポイントは両立支援における留意事項です。
問33.個人の多様な特性の知識
【B】障害者がハローワークで就労支援を受けるにあたって、障害者手帳の有無は問われない点は、過去にも出題がありました。次の定義をインプットしておきましょう。
障害者雇用促進法では、「障害者」の定義を次のように定めている。
「身体障害、知的障害、発達障害を含む精神障害、その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」【障害者雇用促進法第二条】とされており、障害者手帳の有無は問わない。
正答:3
1.○:ハローワークに「精神・発達障害者雇用サポーター」を配置し、精神障害や発達障害等のある求職者に対する障害特性を踏まえた、専門的な就職支援や職場定着支援を実施している。【厚生労働省】
なお、「精神・発達障害者雇用サポーター」は、「精神・発達障害者しごとサポーター」とは別のものである。
2.○:選択肢1と趣旨は同じである。
ハローワークに「精神・発達障害者雇用サポーター」を配置し、精神障害や発達障害等のある求職者に対する障害特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援を実施している。【厚生労働省】
3.×:ハローワークにおける障害者への就労支援は、障害者手帳のない人も利用できる。【ハローワークインターネットサービス】
なお、選択肢に表記されている精神福祉保健センターは、正しくは「精神保健福祉センター」と思われる。【厚生労働省】
4.○:テレワークによる勤務を行う場合は、原則3か月のトライアル雇用期間を最長6か月まで延長できる。【厚生労働省:PDF】
問34.カウンセリングの技能
【B】カウンセリングにおける「はげまし」とは、一般的に使われる「がんばれ、がんばれ!」と激励することではなく、「私はあなたの話を聞いていますので、お話してください」とクライエントを勇気づけ、発言を促すことを意味しています。
なお、はげましの選択肢1は、第29回対策みん合☆総仕上げ模試(問35)が、ズバリお役に立てました。
正答:1
1.○:最小限のはげましの内容であり、クライエント側からすると、自分の話を聞いてもらえているか、自分に関心を向けてくれているかを感じ取る重要な応答である。【ジルP99】
2.×:これは確認である。
確認は、話し手の曖昧な話をできるだけ具体的にしていく作業のことである。【ジルP101】
3.×:これは要約である。
要約はカウンセラーが、ある程度聴いたクライエントの話のポイントをつかんで、自分が理解した内容をカウンセラー自身の言葉で要約してクライエントに伝え返す作業のことである。【ジルP101】
4.×:これは明確化である。
明確化は、クライエントがある感情を抱いているのにその感情を曖昧にしか感じられないとき、あるいは気づいていないときに、その気持ち(感情)をカウンセラーが汲み取って、カウンセラーの言葉でフィードバックする技法のことである。【ジルP101】
問35.カウンセリングの技能
【A】翻訳の表現が難しい内容もありますが、来談者中心療法は、人がそもそも持つ実現傾向を重視することから、その支援の形は「非指示的」になることを理解しておけば正答を導くことができます。
第29回みん合☆総仕上げ模試では「十分に機能する人間」を出題しており(問10)、お役に立てましたが、第19回問35、第12回問32でも全く同じ内容が出題されています。
正答:3
1.○:クライエント中心療法は、自己概念と経験の不一致により、本来持っている実現傾向が妨げられていると捉え、それが一致する方向へと支援する。
2.○:共感的理解の内容であり、適切である。
カウンセラーは、クライエントの内的世界を共感的に理解し、それを相手に伝える。【木村先生P116】
3.×:クライエント中心療法では、正しい方向へ導くといった「指示的」ではなく、「非指示的」なリードが行われる。【木村先生P116】
4.○:ロジャーズはカウンセリングの最終的な目標、理想像として「十分に機能する人間」を提示した。つまり、人がそもそも持っている「実現傾向」により、人は、その人らしく「十分に機能する人間」になろうとしていると捉えている。