官公庁資料を制する者は…
官公庁資料対策の有無が、合否を左右します。
というのも、第32回試験では官公庁資料や調査の名前を冠した大問(だいもん:選択肢4つ分の問題)は14問出題されており、ほかに資料名は明記されていないものの、官公庁資料に根拠のある問題は2問ありました。
全50問中、合計16問が資料に由来する問題でした。
第31回は19問、第30回や第29回は16問ありましたので、学科試験問題の約3分の1は、資料問題であると捉えておきましょう。
とはいえ、これまでに出題されている資料は154種類!もあります(みん合調べ)。
ただし、その出題傾向には大きな偏りがあり、過去に1度しか出題されたことがないものが、実際にはとても多いです。
そこで、出題回数が多く、対策をしておきたい、Sランクの4種類、Aランクの8種類、Bランクの4種類、ランク外ではあるものの気になる5種類の合計21種類を紹介します。
これまでの出題資料数とその割合
まずは、ランキング上位の資料と出題割合に関するデータを紹介します。
資料数全体の約2.6%ほどであるベスト4のSランク資料の出題割合は、約3分の1(31.8%)を占めます。
また、ベスト12の資料で出題の約半数(50.7%)を占めています。
そして、ベスト22の資料で出題の約6割(63.5%)。
全体の約22%に相当するベスト34の資料で7割以上(72.8%)の出題を占めています。
また、154種類中、約6割を占める94種類は一度しか出題されていません。これらの初出題資料に備えることは、事実上、不可能に近いです。
80:20のパレートの法則ほどではないものの、全体の約2割の資料から約7割の出題があります。先月公開した理論家ランキングと同様、頻出度合いを意識した対策をしましょう。
重点的に対策をしておくべき資料と、過去問や問題集で遭遇したときに内容を確認すればよい資料があります。メリハリをつけて対策をしましょう。
ランキングではそれぞれの資料対策に役立つ、テキストや問題集の参照ページ、楽習ノートプラスへのリンク、最近の過去問(直近3回分ずつ)の過去問解説へのリンクを付しています。対策学習にご活用下さい。
ランキングは第1回~第32回のキャリアコンサルタント試験での出題の出典となった、選択肢数でのカウントです。( )内の数字は選択肢数です。
官公庁資料 出題ランキング(Sランク)
それでは、ランキングを発表します!
労働経済の分析(193)
「労働経済の分析」は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して毎年分析・公表している報告書であり、厚生労働省が、原則として毎年公表しています。
なお、労働経済の分析は直近の雇用指標等のデータがまとめられた第Ⅰ部と、毎回テーマが異なる第Ⅱ部から構成されています。
第31回試験(2026年3月)から「令和7年版」が出題されており、次回も「令和7年版」が軸となります。
第Ⅰ部にまとめられている雇用指標の趨勢は、令和6年版(令和5年の状況)と令和7年版(令和6年の状況)ではあまり変化はありません。そのため、第1部は令和7年版を確認しておくとよいでしょう。
第Ⅱ部は、年版が遡って出題されることもありえますので、令和7年版だけではなく、令和6年版も確認しておいた方が安心です。
【書籍】テキスト&一問一答(第4版)P6~
【書籍】合格問題集(第3版)P48~
【楽習ノートプラス】
[無料公開]令和7年版労働経済の分析第1部ダイジェスト
【最近の過去問】
能力開発基本調査(168)
能力開発基本調査は、企業、事業所及び労働者の能力開発の実態を正社員・正社員以外別に明らかにし、職業能力開発行政に資することを目的として、厚生労働省が毎年公表しています。
6月末に公表されるのが通例でしたが、最新の令和7年度版は公表遅延が発表され、1ヶ月後の7月末に公表されました。
そのため、例年通りの6月末公表→11月試験で初出題となるかどうかの予測は難しいですが、タイミング的には出題があっても不思議はありません。
「令和7年度」で対策をしましょう。楽習ノートプラスのまとめでは、令和6年度との差異についてもお伝えしています(それほど多くありません)。
また、この資料は、複数の出題、また細かな内容まで出題されることがありますので、下記のまとめなどを参照しながら、プリントアウトをして内容を精査しておくことをおすすめしています。(全73ページ)。
【楽習ノートプラス】先日、まとめと問題を公開しました。
[無料公開]令和7年度能力開発基本調査【1.企業調査:まとめ編】
[無料公開]令和7年度能力開発基本調査【1.企業調査:問題編】
【最近の過去問】第32回には出題がありませんでした。
キャリアコンサルタント倫理綱領(127)
官公庁資料と位置づけてよいものかと思うところはありますが、基本的に毎回出題があり、一読必須の資料なのでランキングにも載せました。ボリュームは少なく、対策がしやすい資料とも言えます。
キャリアコンサルタントの行動、実務の指針となるもので、当然、試験においても、その内容を背景とした出題が、毎回1問~2問あります。
倫理綱領からの出題ではない場合も、守秘義務や相談者の利益の尊重、組織との関係などでは、他の問題の正誤選択にも影響します。
まだ読んだことがない方は、一読しましょう、本文は3ページほどです。
【書籍】テキスト&一問一答(第4版)P273~
【書籍】合格問題集(第3版) P258~
【楽習ノートプラス】
[無料公開]新しいキャリアコンサルタント倫理綱領を学ぼう【まとめ編】
職業能力開発基本計画(61)
職業能力開発基本計画は、職業能力開発促進法に基づき、職業訓練や職業能力評価など、職業能力の開発に関する基本となるべき計画を厚生労働省が策定するもので、国や都道府県の労働施策の基本となる計画です。
現状と課題、方向性が示されているため、他の資料や政策への影響力の高い基礎資料の位置づけです。
なお、計画は5カ年計画で、2026年度から新しい第12次職業能力開発基本計画がスタートしました。
6月の2級、7月の国家試験では出題はありませんでしたが、11月の国家試験からは出題可能性が高いと捉えています。
能力開発基本調査と同じく、できれば、プリントアウトをして一読しておきたい資料ですが(48ページ)、各論が多く、重複した内容も度々登場しますので、読むのが大変な場合には、以下のまとめや予想問題を活用しましょう。
なお、合格問題集(第3版)にはまとめや問題を掲載しています。
【書籍】合格問題集(第3版)P34~、P50~
【楽習ノートプラス】
[無料公開]第12次職業能力開発基本計画(第1部・第2部)のまとめ
[無料公開]第12次職業能力開発基本計画(第3部)のまとめ(Part1)
[無料公開]第12次職業能力開発基本計画(第3部)のまとめ(Part2)
ここまでを最頻出のSランク(4種類)と位置付けています。中でも労働経済の分析、能力開発基本調査、職業能力開発基本計画は、官公庁資料御三家と位置づけています。
特に意識して対策しておきたい御三家資料のバージョン。
・労働経済の分析(令和7年版すべて+令和6年版第2部)
・能力開発基本調査(令和7年度)
・第12次職業能力開発基本計画
これらは厚生労働行政における、現状・課題(問題点)・方向性を示している基礎資料の位置づけのため、この3点を念入りに対策しておくと、他の資料に記載されている内容をカバーする効果があります。
官公庁資料 出題ランキング(Aランク)
続いて、5位からのAランク資料を発表します。
Aランク資料については、過去問等の出題内容を中心に資料を参照することをおすすめしています。なお、中にはボリュームの少ない資料もあります。コンパクトなものは、興味に応じてで良いですから、一読しておけるとより安心です。
企業におけるセルフ・キャリアドックの導入のプロセスや実施計画の策定、企業内インフラの整備や実施の手順をわかりやすく整理した資料です。具体的事例や書式などもあり、実務においても活用できます。
第6位:インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方(48)
令和4年の改正により、インターンシップの定義があらためて行われた点には注意が必要です。インターンシップの定義のほか、企業・大学側の留意事項などがよく出題されています。
第7位:事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(44)
最近は出題が落ち着いてきましたが、第20~第29回の10回分のうち、7回で出題がありました。特にP3以降の「留意事項」からの出題が多く、ガイドラインのP1~P10を読んでおくと安心です。
第8位:労働力調査(基本集計2025年)(43)
労働力調査は、我が国における就業及び不就業の状態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的としており、総務省統計局が毎月公表しています。完全失業率などがわかります。
なお、労働経済の分析でも労働力調査のデータが紹介、引用されているため、労働経済の分析からの出題も多いです。
なお、令和7年版労働経済の分析には、2024年までのデータが反映されています。2025年のデータも気になるところですが、2024年からの変化はそれほどありません。上記リンクから一読しておきましょう。
楽習ノートプラスにまとめと問題を用意しています。
【書籍】テキスト&一問一答(第4版)P125~
【書籍】合格問題集(第3版)P136~、P140~
【楽習ノートプラス】
[無料公開]2025年(度)までの完全失業率と有効求人倍率のまとめ
【最近の過去問】
第9位は同数で2種類ありました。
第9位:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)(37)
キャリア教育・職業教育の指針として、文部科学省の中央教育審議会が取りまとめた資料です。平成23年に作成の古い資料で、資料自体の出題は減少傾向にあるものの、次の3つのキーワードは要注意です。
特によく出題されるのは、「基礎的・汎用的能力」の4つの内容と、「キャリア教育」と「職業教育」の定義です。これまでの出題内容を考えると、全体を読む必要はないと捉えています。
第9位:職場における学び・学び直し促進ガイドライン(33)
学び・学び直しへの基本的な考え方、労使が取り組むべき事項、公的な支援策の3部から構成されており、リスキリング関連の主要な資料として、近年出題頻度が高まっています。キャリアコンサルタントの伴走支援がキーワードです。
第11位:年次経済財政報告(33)
年次経済財政報告(経済財政白書)は、経済・財政の1年間の動きを総合的に分析し、問題点や今後の展望、政策の方向などについて、内閣府が毎年公表しています。
毎年、テーマや章立てが異なるため、雇用や労働に関するテーマが設定されている章や節には要注意です。なお、第25回以来、出題がありません。また、2級では選択肢レベルでの出題に留まっています。
令和7年度年次経済財政報告(第2章第2節、第3節が気になります)
令和8年度年次経済財政報告(第2章第2節、第3節が気になります)
令和8年度版は令和8年7月に公開のため、国家試験での出題は微妙ですが、2級や1級では出題可能性が高まります。
第12位:男女共同参画白書(32)
男女共同参画白書は、男女共同参画社会基本法に基づき、男女共同参画社会の形成状況や施策について報告する資料であり、内閣府が毎年作成、公表しています。
第31回で大問2問分(8選択肢分)が出題されました。2級技能検定では選択肢レベルでの出題に留まっています。
令和7年版男女共同参画白書(特に第2分野P113~P121)
令和8年版男女共同参画白書(特に第2章P89~P97及び特集)
令和8年版は令和8年7月に公開のため、国家試験での出題は微妙ですが、2級や1級では出題可能性が高まります。
ここまでの12種類がS&Aランクに位置づけられる資料です。
官公庁資料 出題ランキング(Bランク)
Bランク資料は、過去問や問題集などの出題箇所を中心に対策しましょう。
第13位は2種類あります。
第13位:職場における心の健康づくり 労働者の心の健康の保持増進のための指針(26)
職場におけるメンタルヘルス対策を計画的に推進するための基本指針です。事業者は「心の健康づくり計画」を策定し、「4つのケア」を継続的に行うことが重要としています。
かつては非常に出題が多かったものの、第16回・第17回以来、しばらく出題がありませんでしたが、第28回で選択肢レベルでの出題がありました。ただし、それ以降も大問での出題はありません。
よく出題されていた内容は、セルフケア/ラインによるケア/事業場内産業保健スタッフ等によるケア/事業場外資源によるケアの「4つのケア」の特徴の把握です。
【書籍】テキスト&一問一答(第4版)P172~
【書籍】合格問題集(第3版)P170~
第13位:働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書(28)
社会の中で、キャリアコンサルタントが果たすべき役割、普及のための施策、キャリアコンサルタントに求められることなどがまとめられており、今後のキャリアコンサルタントの方向性を示す資料です。定期的に出題があります。
第15位:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き【27】
第22回以来しばらく出題がありませんでしたが、第29回、そして第31回で出題がありました。職場復帰支援の5つのステップの内容や本人への支援の留意事項がよく出題されています。
第16位:健康づくりのための睡眠指針2014 / 健康づくりのための睡眠ガイド2023(24)
改訂以前は、健康クイズのような、解きやすい問題が出題される傾向がありましたが、2023年改訂版では、内容がやや専門的になり、医学的な知見なども出題されるようになりました。
【書籍】テキスト&問題集(第4版)P173~
【書籍】合格問題集(第3版)P174~
ここまでをBランクの資料と位置づけています。
これ以降は、高等学校学習指導要領や、ストレスチェック制度導入ガイドなどが続きますが、重点的な対策というよりは、過去問や問題集などで問題に遭遇したときに、内容を確認する姿勢でよいでしょう。
その他の出題が気になる資料
なお、Bランクに出題数が届かない資料のうち、時事的に気になる資料を5種類を紹介します。
・経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会報告書(8)
第32回では、初登場にして大問として2問出題されました。第13位で紹介した、働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書と同じく、キャリアコンサルタントの課題や方向性を示した資料は頻出化することが多いです。
本資料は令和8年1月に公表された資料であり、内容も新しく、今後しばらくの間、出題の定番になる可能性があります。
・副業・兼業の促進に関するガイドライン(17)
副業・兼業は国の方向性としては推進の姿勢ですが、事業主、働く人双方に守るべきルールなどがあります。次の過去問で、副業や兼業の基本的な考え方を確認しておきましょう。
治療と仕事の両立支援、学び・学び直し促進ガイドラインと並び、要注意の3ガイドラインと位置づけています。
・キャリア・パスポートの様式例と指導上の留意事項(9)
国家試験、2級ではかつてはよく出題されていましたが、最近出題がありません。
【書籍】テキスト&一問一答(第4版)P161~
【書籍】合格問題集(第3版)P160~
・令和7年度学校基本統計(13)
少子化が進んでいるなかでも、新しい学校種である「義務教育学校」や「中等教育学校」の生徒数は過去最高を更新し続けている点には注意しましょう。
・外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)(4)
国別労働者数の1位は「ベトナム」。産業別労働者数では「製造業」また、在留資格別労働者数は、かつては「身分に基づく在留資格」が1位でしたが、令和6年、7年のデータは「専門的・技術的分野の在留資格」が1位です。
資料対策の勘どころ
以上、21種類の資料が、頻出資料と気になるプラスαの資料と捉えています。
他には、高齢者や障害者雇用などに関する資料やデータも気になりますが、「労働経済の分析」に含まれている内容も多いです。
その他の資料やデータは、テキスト&問題集+合格問題集や最近の過去問を利用して、登場した際に内容理解を深めましょう。
資料やデータを学習する際に、大切にしてほしいことがあります。それは、ご自身の感覚に照らし合わせてみることです。
「それはそうだ」と違和感のないものは、おそらく出題されても対応ができるでしょう。それに対して「え?そんなに多いの?少ないの?」といった、違和感のある調査結果や未知の内容は、よく内容を確認しましょう。
調査結果や制度の導入状況などは、自らやご家族の勤務先での状況と照らし合わせてみてください。
その視点は、キャリアコンサルタントになった後も役立つことでしょう。私の会社にはこの制度はないとか、この資料を参考に社内制度を提案してみようなど、自分ごとに落とし込むことが大切です。
暗記よりも理解です。
国の目指す方向性を念頭に置くと理解が深まり、正答が導き易くなります。
合格目指して、一緒に頑張っていきましょう。
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